フィブリノゲン製剤等の納入先医療機関における製剤の使用実態及び当該製剤を使用された患者における肝炎ウイルス感染等の実態に関する研究

文献情報

文献番号
200838078A
報告書区分
総括
研究課題名
フィブリノゲン製剤等の納入先医療機関における製剤の使用実態及び当該製剤を使用された患者における肝炎ウイルス感染等の実態に関する研究
課題番号
H20-医療・指定-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 義昭(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 田中 純子(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学)
  • 八橋 弘(独立行政法人 国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター 治療研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
148,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
フィブリノゲン製剤等の納入先医療機関における製剤の使用実態及び当該製剤を投与した患者における肝炎ウイルス感染の有無等の実態を明らかにすることを目的とする。
研究方法
該当医療機関の協力のもと、郵送によるアンケート調査をおこなった。
結果と考察
平成19年度と平成20年度に行った調査結果を比較すると、フィブリノゲン製剤等の投与が確認された施設数、投与が判明した患者数、そのうちのC型肝炎ウイルス(HCV)感染状況が判明した患者数は、この1年間でいずれも増加した。 
フィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎ウイルス感染のリスクの検討は、① 製剤投与が判明した調査対象者のうちHCV感染状況が不明である者が多いこと、② HCV感染者での輸血歴の頻度が71.4%であったこと、③ 製剤の製造時期により感染性が異なっていたと考えられたことから、一律に感染リスクを論じることはできないと考えられた。また、輸血歴の有る患者では、その当時の輸血による感染リスクとフィブリノゲン製剤投与による感染リスクが重なっていると考えられた。
フィブリノゲン製剤又は凝固因子製剤を投与され、かつHCV感染が判明している患者の特徴/投与の状況/現況等を調査した。投与時の年齢や男女比については、フィブリノゲン製剤では、20-30代女性が約38%(303/800)を占め、血液凝固因子製剤では男女とも0-9歳が半数以上(52.4%)(33/63)を占めた。現在の患者の状況については、投与時年齢が生存・死亡といった転帰に関連していると考えられた。
得られた調査結果を総合的に判断すると、(製剤投与-HCV感染-無症候性キャリア-慢性肝炎-肝硬変-肝癌-肝炎関連死亡)といった一連の流れを確認されている者の頻度は、現時点では少ないと考えられた。製剤を投与されかつHCV感染が判明している患者のC型肝炎の病態に関しては、慢性肝炎、無症候性キャリアという、C型肝炎の病期としては初期の段階に留まっている例が多く、インターフェロン等の抗ウイルス療法等によるC型肝炎ウイルス持続感染状態からの離脱、肝病期の進展抑止が十分可能であると考えられた。
結論
フィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎ウイルス感染のリスクを一律に論じることはできないと考えられた。製剤を投与されかつHCV感染が判明している患者のC型肝炎の病態に関しては、初期の段階に留まっている例が多いと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838078C

成果

専門的・学術的観点からの成果
フィブリノゲン製剤等を投与された方の感染実態等について、医療機関の協力を得ながら、追跡的に詳細な調査を行った。フィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎ウイルス感染のリスクについては、複数の要因が重なっており、一律に感染リスクを論じることはできないと考えられた。
臨床的観点からの成果
製剤が投与された元患者を特定するに至った診療録、手術記録・分娩記録等の記録の保管状況等についての実態調査を行うことにより、調査の過程を通じ、製剤投与の事実が判明した方への投与の事実のお知らせと検査の受診勧奨の推進に貢献すると期待される。
製剤を投与され、HCV感染が判明している患者のC型肝炎の病態に関しては、慢性肝炎、無症候性キャリアという、C型肝炎の病期としては初期の段階に留まっている例が多く、治療によるC型肝炎ウイルス持続感染状態からの離脱、肝病期の進展抑止が十分可能であると考えられた。
ガイドライン等の開発
本研究はガイドライン等の作成を目的としたものではないが、製剤が投与された元患者を特定するに至った診療録、手術記録・分娩記録等の記録の保管状況等について、実態調査を行うことにより、調査の過程を通じ、製剤投与の事実が判明した方への投与の事実のお知らせと検査の受診勧奨の推進に貢献すると期待される。
また、納入先医療機関における、製剤の投与方法・投与時期やHCV感染者の状況等について、可能な限り追跡調査を行った。
その他行政的観点からの成果
調査の過程を通じ、また、調査結果を公表することにより、製剤投与の事実が判明した方への投与の事実のお知らせと検査の受診勧奨の推進が期待される。
その他のインパクト
フィブリノゲン製剤等納入先医療機関における、製剤の投与方法・投与時期やHCV感染者の状況等について、可能な限り追跡調査を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-