腎性貧血治療薬開発における臨床評価ガイドライン等の作成に関する研究

文献情報

文献番号
200838074A
報告書区分
総括
研究課題名
腎性貧血治療薬開発における臨床評価ガイドライン等の作成に関する研究
課題番号
H20-医薬・指定-026
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐中 孜(東京女子医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊丹 儀友(日鋼記念病院 腎センター)
  • 岡田 一義(日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野)
  • 樋口 千恵子(東京女子医科大学東医療センター 腎臓内科学・血液浄化部)
  • 樋口 誠(信州大学医学部付属病院血液浄化療法部)
  • 横山 啓太郎(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腎性貧血は、慢性腎臓病の重要な合併症で、その主因は腎障害によるエリスロポエチンの産生低下である。このような腎性貧血患者数は、基礎疾患である慢性腎臓病患者数から類推すると、日本では、GFR30ml/min以上の患者でも腎性貧血があるので、30万人以上と推測される。当然のことながら、治療薬の開発が必要となる。
そこで、これらの有効性と安全性を患者集団において客観的に評価し、その臨床的有用性を確認するための『腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン』の策定を目指す。
研究方法
まず、最新の腎性貧血治療ガイドライン及びその他のガイドライン等を含む関連資料373件について主任研究者および分担研究者5名が精読し、問題点を抽出した上で、各自がたたきの案を作成、これらを主任研究者がまとめた。
次に、2名の研究協力者による査読を受けつつ、頻回に検討会を開き、分担研究者によるpeer reviewを重ねた後、目的とするガイドラインを策定した。
結果と考察
1)対象疾患に対して有効性のある医薬品のスクリーニング、医薬品の特性の明確化、ヒトに投与するに際しての安全性の検討、適切な臨床試験デザイン構築のための情報収集等のために求められる非臨床試験のためのガイドラインを作成した。
2)非臨床試験の成績に基づき、治験薬がヒトにおいて許容される安全性の範囲内で有効性を示すと期待される場合に限って、臨床試験に進むことができると規定したうえで、透析(血液透析、腹膜透析)施行中及び保存期慢性腎臓病患者における腎性貧血を対象として、腎性貧血改善効果(ヘモグロビン値等)を主要評価項目として薬効評価を行うことを臨床試験における評価方法に関する基本的考え方として定めた。
 3)治験薬の承認申請のための臨床試験は、これまでの提案されてきた基本的な医薬品の臨床試験ガイドラインなどを遵守し、臨床薬理試験、探索的試験、用量-反応試験、検証的試験等の実施を求めることとした。
 4)長期投与試験では、治験薬の長期投与の安全性、有効性の確認が重要である。
5)高齢者における試験、小児における試験を追加試験として、別途、実施してもよい。
結論
『腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン』を策定した。治験薬の貧血改善効果を検討する場合には、初期の用法、用量、有効性、安全性を確認する必要がある。本試験では、未治療又は既承認薬を一定期間ウオッシュアウトした患者を対象に治験薬の使用を開始し、ヘモグロビン値の上昇により貧血改善効果を検討する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838074C

成果

専門的・学術的観点からの成果
腎性貧血患者数は、日本では30万人以上と推測される。腎性貧血治療薬が開発されていない時期においては,腎性貧血の治療は輸血療法が主体で、副作用としてのウイルス性肝炎、鉄沈着症などが深刻の極みとなっていた。今回は、腎性貧血治療薬の有効性と安全性を患者集団において客観的に評価し、その臨床的有用性を確認するための最新の腎性貧血治療ガイドライン及びその他のガイドライン等を参考として腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドラインを策定することができた。
臨床的観点からの成果
長期間にわたりプラセボを投与し続けることの倫理的な問題として、比較的重篤な腎性貧血を対象とした治験においては更に慎重な姿勢と十分な配慮が望まれる旨を明記した。また、必要に応じて長期継続投与試験を実施する等、治験参加者に発売までの期間,実薬提供等の救済措置を講じることも求めることにした。更に、後期第Ⅱ相試験以降の実施ガイドラインとして、高齢者における試験、小児における試験についても言及することができた。
ガイドライン等の開発
『腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン』を策定した。ここでは治験計画の立案にあたっては、試験の目的に応じて(1)予測される効果発現時期、(2)予測される副作用発現時期、(3)プラセボ対照群に対する倫理的配慮するよう求めた。これらに加えて、被験者に対する治験終了後の対応として、(1)必要に応じて別途長期継続投与試験を実施し、治験参加者に発売までの期間,実薬提供等の救済措置を講じることも考慮する。(2)この期間の成績は長期投与成績として有効に活用する。などの記載を加えた。
その他行政的観点からの成果
治験薬の承認申請のための臨床試験は、基本的な医薬品の臨床試験ガイドラインなどを遵守し、臨床薬理試験、探索的試験、用量反応試験、検証的試験等の実施を求めることとした。対象疾患に対して有効性のある医薬品のスクリーニング、医薬品の特性、ヒトに投与するに際しての安全性、適切な臨床試験デザイン構築のための情報収集等の非臨床試験の重要性を強調した。すなわち、非臨床試験の成績に基づき、治験薬がヒトにおいて許容される安全性の範囲内で有効性を示すと期待される場合に限って、臨床試験に進むことができると規定した。
その他のインパクト
現時点ではインパクトがどの程度のものであるか、不明である。今後、『腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン』が刊行され、開発者、研究者の視野に入ってくることによい様々な評価が下されると思われる。本項はその時まで保留としておきたいと考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-