薬剤師の役割と倫理規範の実態に関する研究

文献情報

文献番号
200838068A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師の役割と倫理規範の実態に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
久保 鈴子(財団法人 日本薬剤師研修センター 事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、薬剤師が薬剤師法第1条に掲げられている薬剤師の任務を確実に遂行し、質の高い医療を担うとともに患者・国民から信頼されることをめざした倫理上の基本的要素を探り、薬学教育の中での倫理に関する教育や行政処分を受けた薬剤師の再教育、さらに今後の薬剤師のあり方等を考える際の参考となる基礎資料を作成するものである。
 平成20年度は、薬剤師が自らの任務を国民に問い、薬剤師に求められているものは何か、薬剤師が果たすべき役割は何か、についての課題や問題点等を把握することを目的とした。
研究方法
Webを利用したアンケート調査を平成20年10月に実施した。対象は、医療関係者を除く20歳から69歳までの男女1,000人とした。全国を12ブロックの地域に分け、ブロックごとの人口比率に合わせて年齢層と性別を考慮して回答者数を割り付けた。調査内容は、薬剤師法第1条に規定される「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生」に係る業務や責任に関連する事項を62項目列挙し、薬剤師と接した経験からみる薬剤師像、薬剤師職能に関する認知、現在の薬剤師の行動に対する評価、薬剤師への期待を把握することとした。回答尺度は経験と認知を2段階尺度、評価と期待は5段階尺度とした。
結果と考察
薬剤師の業務は、調剤・OTC薬販売等については概ね認知され、評価されていたが、薬害防止への貢献度について評価したのは、25%弱であった。その他の薬事衛生に関わる業務、すなわち薬物乱用防止や地域衛生環境への貢献等についても評価が低い傾向であった。一方で、70%強の人が薬に関する情報は薬剤師に聞きたいなど、期待も高いことが分かった。5段階尺度で回答を求めた薬剤師の行動に対する評価の平均は3.44、薬剤師への期待の平均は3.54であった。性別、年齢、地域による差はみられなかった。薬剤師と関わったことのある人は、認知度や評価も高い傾向にあったことから、従来指摘されているように薬剤師は自らの職能を一般消費者に対してアピールする努力が不足していると考えられた。
結論
薬剤師の職能や責務に対する一般消費者の認識は、研究班が期待したほど高くないことが分かった。特に薬の専門家が貢献すべきである薬害防止への関わりや昨今の薬物乱用防止への関わりに対する評価が低いという結果は、今後、薬剤師が行動変容を考える際の貴重なデータとして真摯に受け止めなければならない。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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