日本における血液製剤の副作用サーベイランス体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200838058A
報告書区分
総括
研究課題名
日本における血液製剤の副作用サーベイランス体制の確立に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口一成(国立感染症研究所 血液・安全性研究部 )
  • 高本滋(愛知医科大学 輸血部)
  • 加藤栄史(愛知医科大学 輸血部)
  • 佐川公矯(久留米大学 臨床検査部)
  • 藤井康彦(山口大学 輸血部)
  • 米村雄士(熊本大学 輸血・細胞治療部)
  • 岩尾憲明(山梨大学 輸血部)
  • 田中朝志(東京医大 八王子医療センター)
  • 岡崎仁(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 大日康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では信頼性のある輸血副作用情報として国際的な診断基準のみならず、臨床の現場における初発症状に着目し、本邦初の輸血製剤由来副作用をモニターし、情報を解析・管理するシステムの構築整備を目指す。
研究方法
国立感染症研究所、感染症情報センターで稼働している情報管理システムを参考に、日本輸血・細胞治療学会の協力のもと、全国7施設においてシステムの構築および管理を行った。
結果と考察
1年間の本パイロットスタディーにおいて、7大学から、675件の副作用報告があった。この件数より推定される全副作用件数は日本赤十字社の年間集計件数の30倍以上に達すると推定される。また輸血副作用の大半を占める非溶血性副作用の内訳を見ると、薬事法に基づき、日本赤十字社へ中等症以上の副作用が多く報告されていることがわかる。これらのことから、本パイロットスタディーでは、これまでデータの集計及び解析が行われていない軽症の副作用もモニターできると考えられる。またこれらのデータから施設間の比較解析を行うことができ、輸血医療の安全性向上に役立てることができる。これまでのところ、報告システムは概ね良好に機能しており、今後、多くの施設で利用できるように問題点を把握し改善を進める。またベッドサイドでの症状把握の標準化をさらに進めるために、副作用把握を目的とした、テキストや16の症状項目の解説等の作成を行った。
結論
輸血副作用の全数把握を目的とした、本パイロットスタディーの解析結果より、これまでのところ、以下の結論が見いだされた。1)製剤別の副作用発生率は赤血球で0.53%, 血漿で0.64%, 血小板で3.46%であった。また日本赤十字社へ報告されている副作用件数の30倍以上の件数が全国で発生していると推測される。2)副作用の多くは軽度な非溶血性副作用であり、蕁麻疹等が62.3%を占めており、原因製剤は61.6%が血小板であった。3)初発症状に注目した簡便なオンラインによるデータバンクを試験的に作成することにより、副作用症状や診断項目のトレンド解析が可能となるとともに、自施設の発生状況と登録施設全体との比較の情報などが解析可能となった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
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