保健師活動の展開推進及び統括保健師の役割遂行力開発

文献情報

文献番号
202127001A
報告書区分
総括
研究課題名
保健師活動の展開推進及び統括保健師の役割遂行力開発
課題番号
19LA1004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
井伊 久美子(香川県立保健医療大学 保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 真理子(愛知医科大学 看護学部)
  • 髙嶋 伸子(香川県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
  • 鳩野 洋子(九州大学 医学研究院保健学部門看護学分野)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 成木 弘子(日本赤十字看護大学 さいたま看護学部)
  • 吉岡 京子(東京大学大学院 医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野)
  • 森永 裕美子(岡山県立大学 保健福祉学部 看護学科)
  • 辻 よしみ(香川県立保健医療大学 保健医療学部)
  • 植原 千明(香川県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和元年度に実施した「保健師活動指針に基づく保健活動の展開に関する調査」と令和2年度に実施した令和元年度調査の詳細分析で明らかになった実態から保健師活動の課題に対する取り組み等,自治体種別・人口規模別に保健師活動推進策につながる内容を明らかにすることを目的とする.また,令和2年度に作成した市町村統括保健師育成のための研修ブログラム試案に基づいた研修の手引き案を修正・完成することを目的とする.
令和2年度に引き続き,本年度も研究体制を「保健師活動の展開推進・人材確保育成」と「統括保健師の役割遂行力開発」の2班構成とした.
研究方法
【保健師活動の展開推進・人材確保育成】
北海道から九州の16市町村にヒアリングを実施し,各自治体のヒアリング調査結果報告書を作成した.また,「地区活動推進ポイント」「地区活動推進体制と統括保健師の役割」「小規模市町村の強み」「保健師人材確保育成の課題」「効果的な保健師人材確保育成」の項目ごとに各自治体のヒアリング調査結果報告書の内容を分類・整理した上で,各自治体の共通事項や保健師活動を推進する上で重要な留意点について検討した.
【統括保健師の役割・育成班】
都道府県の研修担当者5組,一般市町村の統括的立場にある保健師5名に対してヒアリングを実施し,統括保健師研修プログラム案,教材案,研修プログラムの実施手引き案の修正を行った.対象者の選定は,全国のブロックを考慮し,対象者のブロックが重ならないように配慮した.ヒアリングは事前に作成したヒアリングガイドに従い,複数の究班員が実施した.
結果と考察
【保健師活動の展開推進・人材確保育成】
本研究を通して,以下の主な結果と今後の課題が明らかになった.
〇地区活動の課題には,地域に出向く時間の減少,意識の希薄化,地域保健に関わる職種や関係者が多種多様となり,マネジメントを保健師が担っている等があった.現在,様々な地区活動バリエーションが求められており,今後,多様な地区活動のGood Practice を共有し,効果的な保健師活動の推進を図るべきである.
〇小規模自治体は,人材確保・育成の工夫には限界があり,都道府県のサポートが不可欠であるが,都道府県の統括的な立場の保健師は,そのポジションには位置付けられていない現状があった.本研究を通して,県庁に配置される統括保健師は,県所属の保健師の統括のみではなく,県下の市町村の保健師の体制整備に関わる統括的な役割を担うことが求められていると明らかになった.今後の課題として,都道府県庁の統括的立場の保健師の役割として,県下の保健師の人材確保・育成をサポートすることを明記し,その立場を位置づけ,地域格差を解消する方策として検討をすべきである.
【統括保健師の役割・育成班】
「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」を作成した.10名以上の対象から意見が得れたことにより,この手引きは一定の妥当性が担保されたと考えられるが,今後,実際に手引きを活用した研修を実施して評価を行うことが必要である.
結論
ヒアリング調査を実施し,各自治体の共通事項や保健師活動を推進する上で重要な留意点について検討した結果,保健師活動の方向性を示す「保健師活動推進ガイド」を作成した.また,令和2年度に作成した統括保健師研修プログラム案,教材案,研修プログラムの実施手引き案の修正を行い,「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」を作成した.

公開日・更新日

公開日
2022-10-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-10-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202127001B
報告書区分
総合
研究課題名
保健師活動の展開推進及び統括保健師の役割遂行力開発
課題番号
19LA1004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
井伊 久美子(香川県立保健医療大学 保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 真理子(愛知医科大学 看護学部)
  • 髙嶋 伸子(香川県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
  • 鳩野 洋子(九州大学 医学研究院保健学部門看護学分野)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 成木 弘子(日本赤十字看護大学 さいたま看護学部)
  • 吉岡 京子(東京大学大学院 医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野)
  • 森永 裕美子(岡山県立大学 保健福祉学部 看護学科)
  • 辻 よしみ(香川県立保健医療大学 保健医療学部)
  • 植原 千明(香川県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,「地域における保健師の保健活動に関する指針」(以下,「活動指針」)を踏まえた活動を展開するための促進要因や阻害要因を明らかにし,さらなる保健活動の推進策を整理した「保健師活動推進マニュアル(仮称)」,活用事例集を作成することを目的とする.また,市町村の統括保健師の資質向上のためのプログラム開発を目的とする.
研究方法
令和元年度は,活動指針に基づく保健活動及び人材確保・育成,統括保健師の配置や役割について各自治体の取り組み状況及び課題を把握することを目的に,活動指針に関する全国的な「保健師活動指針に基づく保健活動の展開に関する調査」を実施した.自記式質問紙を作成し,令和2年1月24日~令和2年3月13日に郵送調査を実施した.調査対象は全国都道府県及び市町村の統括保健師1,788名,回答は810件で,回収率は45.3%であった.
令和2年度は,令和元年度調査の詳細分析を実施した。また,「保健師活動の展開推進・人材確保育成」と「統括保健師の役割遂行力開発」の2班の研究活動とした.
令和3年度は,令和元年度・2年度の調査結果に基づき,16市町村にヒアリングを実施した.そして,ヒアリング結果から推進策として考察できた事項について整理し,「保健師活動推進ガイド」として取りまとめた.また,都道府県の研修担当者,一般市町村の統括的立場にある保健師に対してヒアリングを実施し,令和2年度に作成した統括保健師研修プログラム案,教材案,研修プログラムの実施手引き案の修正を行い,手引きとして取りまとめた.
結果と考察
○活動指針に関する取り組みは,指針発出後も現在も取り組んでいる割合は高かった.しかし,地区活動等地域を基盤にした活動は,全体に低調であり,国や都道府県の方針による実施が義務付けられている事業を優先していると示唆された.
○地区活動等の地域を基盤とした保健師活動に係る取り組みは,地域包括ケアシステムの構築など,指針④⑥⑧の実施が低い状況で,自治体種別・規模に差はなかった.しかし,④と⑥については地区担当制により取り組みが推進されていることが伺えた.
○保健師活動方法は,活動指針10項目の実施事項数が多いほど,活動方法留意点の取り組みも多く,活動指針に沿った留意点として有用であることが示唆された.
○保健師活動推進に関する課題は,保健師確保や配置と人材育成,及び地区活動について自治体種別規模別に関わらず,強い課題認識があった.人材育成は,全期において課題があった.また,地区活動は,保健師活動の方法論としてもそのあり方を改めて検討する必要が示唆された.
○保健師活動の取り組み状況は,自治体種別及び自治体規模による差があり,特に人口規模5万以下の自治体と以上の自治体では取り組み事項に差があった.
〇活動指針10項目は,自治体規模による差があり,政令中核市など規模の大きい市は取り組みの事項数が多く,人口規模5万から3万以下の市町村は取り組み事項数が少ない傾向だった.また,活動方法留意点についても,政令市中核市及び規模が大きい市の取り組みは実施事項数が多く,5~3万以下の市町村については,実施事項数は少ない結果であった.
○小規模自治体は,統括保健師の配置もなく,保健師数も少なく,人材確保・育成計画も立てにくい状況が反映した結果であった.一方で,保健師活動については,「実践を通じて,地区の特性に合わせた保健活動になっているか検討する」「住民ニーズの変化を反映させながら事業評価を行い,継続の必要性について精査」は取り組みが多かったことから,小規模自治体に応じた保健師活動のあり方が示される必要が認められた.
○人材育成や小規模町村の支援など都道府県庁の保健師の役割機能が重要であるが,本庁の役割遂行については,配置部署や職位,業務量等多大な課題があり,役割遂行を困難にしている状況が伺えた.
○統括保健師については,経験年数による取り組み状況の差が認められた.統括保健師の年齢が50歳以上の方が取り組み事項数は多い傾向であり,今後,「統括保健師育成のための研修プログラム」等の活用などで,経験に加えて統括保健師の強化が求められる.
結論
活動指針を踏まえた保健活動の展開には,統括保健師の位置づけと役割,地域ベースの活動に係る取り組み,人材育成・確保,自治体種別・人口規模の差,本庁の役割遂行が課題であった.課題を踏まえ,各自治体の共通事項や保健師活動を推進する上で重要な留意点について整理・検討し,活動の方向性を示した「保健師活動推進ガイド」を取りまとめた.また,市町村の統括保健師が,所属自治体の健康課題の解決に向けて組織横断的な調整を行い,自治体全体の保健活動を推進できるための能力を獲得することを目的とした研修プログラムについて,統括保健師研修プログラム案,教材案,研修プログラムの実施手引きを作成した.

公開日・更新日

公開日
2022-10-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-10-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202127001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「地域における保健師の保健活動に関する指針」(以下、活動指針)に基づく保健活動について、大規模調査を実施し、効果的な保健活動を展開するための推進策を「保健師活動推進ガイド」として打ち出した。今後、ガイドを活用して、活動指針を踏まえながら、変化する社会情勢や生活実態に対応した保健活動が推進されることが期待される。また、今後の活動指針見直しの資料としての活用も期待される。
臨床的観点からの成果
活動指針に基づく保健活動について、大規模調査を実施し、市町村統括保健師の資質向上のための「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」を作成した。今後、手引きを現場で使用することにより市町村統括保健師の資質向上につながる。
ガイドライン等の開発
効果的な保健活動を展開するための「保健師活動推進ガイド」を作成した。また、「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」を作成した。今後、全国の地方自治体に普及し、活用できるようする。
その他行政的観点からの成果
「地域における保健師の保健活動に関する指針」に基づく保健活動について、全国模調査を実施し、保健活動の実態、効果的な保健活動を展開するための要因を明らかにした。これらの結果をガイド、手引きとしてまとめ、都道府県に普及・啓発することで効果的な保健活動の推進に貢献した。
その他のインパクト
今後、学会の自由集会等を活用して、「保健師活動推進ガイド」、「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」を広く周知する。また、研究機関等のホームページから「保健師活動推進ガイド」、「市町村統括保健師の能力育成研修手引き」をダウンロードできるようにする予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-24
更新日
2023-06-22

収支報告書

文献番号
202127001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
8,536,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,464,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,312,088円
人件費・謝金 2,541,124円
旅費 129,806円
その他 2,303,032円
間接経費 2,250,000円
合計 8,536,050円

備考

備考
その他(利息)50円

公開日・更新日

公開日
2022-10-19
更新日
-