献血血の安全性確保と安定供給のための新興感染症等に対する検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究

文献情報

文献番号
200838055A
報告書区分
総括
研究課題名
献血血の安全性確保と安定供給のための新興感染症等に対する検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 睦生(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
  • 田島 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 百瀬 俊也(日本赤十字社 血液事業本部 安全管理課)
  • 岡田 義昭(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、ヒトや物の国際間の頻繁な移動によって感染症が拡大し、これまで日本には存在しなかった病原体が国内に持ち込まれている。ウエストナイル熱やシャーガス病に対する献血制限等を検討し、輸血の安全性に貢献すること、また、血液からのプリオン除去法を開発することによって、安全性の向上を目指す。本研究によって献血血の安全性確保と安定供給に貢献することを目的とした。
研究方法
献血血の安全性確保と安定供給のため、変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査•スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。
結果と考察
異常プリオン除去法の開発については異常プリオン感染細胞由来の培養上清にキレート剤を添加することによって安定した感染価が得られるようになった。また、異常プリオン感染細胞由来の培養上清に含まれる異常プリオンは20nmのウイルス除去膜によって効率よく除去できることが可能であった。シャーガス病キャリアーの把握については医療現場、ラテンアメリカ人側双方に、シャーガス病に対しての関心が高まり、献血スクリーニングキットに関しても実用は可能であった。ウエストナイルウイルスの国内感染が認められた場合の献血者への対応について検体搬送シミュレーション案を検討した。フラビウイルス媒介蚊であるアカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカの吸血源動物の解析において、アカイエカ種群の2種は野鳥とほ乳動物の両方からほぼ同率で吸血すること、ヒトスジシマカは哺乳動物吸血嗜好性が高いが、一部野鳥からも吸血することが示された。蚊の飛翔範囲に関しては、最も離れた再捕獲地点は1,200mであった。
結論
異常プリオン除去法の開発についてはBSE感染細胞由来の培養上清にキレート剤を添加することによって安定した感染価が得られるようになった。また、BSE感染細胞由来の培養上清に含まれる異常プリオンはウイルス除去膜によって効率よく除去できることが可能であった。シャーガス病キャリアーの把握と献血スクリーニングキットに関しても実用は可能であった。フラビウイルス媒介蚊であるアカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカの吸血源動物の解析において、アカイエカ種群の2種は野鳥とほ乳動物の両方からほぼ同率で吸血すること、ヒトスジシマカは哺乳動物吸血嗜好性が高いが、一部野鳥からも吸血することが示された。

公開日・更新日

公開日
2009-07-23
更新日
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