ナノマテリアルの胎盤毒性解析とその評価基盤の構築に関する研究

文献情報

文献番号
202126011A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルの胎盤毒性解析とその評価基盤の構築に関する研究
課題番号
21KD1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(大阪大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 彰俊(富山大学 学術研究部医学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
20,513,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、胎盤毒性発現メカニズムを考慮したリスク解析基盤を確立することで、化学物質による胎盤毒性を判断できるよう、(1)胎盤動態、(2)胎盤ハザード、(3)胎盤毒性に係るメカニズムなどの各段階への影響を各々解析し、(1)〜(3)の情報を総合集積することで、統合的に評価できるスキームを構築することを目指す。そのうえで、近年のナノテクノロジーの進展に伴い、香粧品や食品領域をはじめ、既に様々な産業分野の製品に実用化されているナノマテリアルなどの毒性未知化学物質の胎盤毒性情報の収集を試みる。
研究方法
胎盤毒性が疑われる既存化学物質をポジティブコントロール候補として用い、統合的評価スキームの構築と妥当性を検証することで、定量的・高感度な試験法を確立し、これらを組み合わせた統合的胎盤毒性評価スキームを構築する。
結果と考察
令和3年度研究では、(1)胎盤動態に関して、❶トランスウェルにおける胎盤関門単層モデルの作成において、化学物質の胎盤関門透過性を評価するうえでは、ヒト絨毛由来細胞株であるJEG-3細胞株が有用であることを示した。また、(2)胎盤ハザードに関して、❷胎児毒性を示す化学物質の一部は、BeWo細胞株におけるホルモン産生を撹乱し得るものの、その発現変動の程度は化学物質により異なることを示した。さらに、(3)胎盤毒性に係るメカニズムに関して、❸合胞体化前のBeWo細胞株に対するヒストン脱アセチル化剤への曝露は、合胞体化の進行を抑制し得ること、❹オートファジー抑制がトロホブラスト合胞体化における分化・融合を阻害することを見出した。加えて、パイロット的な検討ではあるものの、❺医療・食品分野での利用が多い銀ナノ粒子が、胎盤細胞における合胞体化の進行を抑制することなどを明らかとした。
結論
R3年度研究により得られた成果については、ガイドラインに基づいた生殖発生毒性に係る動物実験との関係性について現在検証中である。以上、化学物質曝露と胎盤毒性に関する科学的根拠の収集と分子メカニズムの解明につながる点で、当初年次計画の予定通り達成できている。また、研究の質的担保、検証過程の確保に加え、利害関係者からの意見聴取を目的として、産学官・病院、ならびに、種々業界関係者と連携し、研究成果に関する意見交換を実施すると共に、論文・学会での成果公表を推進している。

公開日・更新日

公開日
2022-07-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202126011Z