文献情報
文献番号
202126010A
報告書区分
総括
研究課題名
エクソソームRNAを毒性指標とした次世代型催奇形性評価法の開発に資する研究
課題番号
21KD1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
小野 竜一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部 第五室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、細胞間情報伝達の1つとして、細胞から分泌される小胞であるエクソソームが注目されている。エクソソームは体液中(血液、髄液など)を循環し、細胞特異的なマイクロRNAを内包することから、研究分担者の東京医大・落谷らは、腫瘍細胞に特異的なマイクロRNAを指標にした、血液1滴による13種類の早期がん診断法(精度 95 % 以上)を開発した経験を持つ。
我々は、エクソソームRNAを指標とした迅速かつ高感度な次世代型毒性試験法の開発を、厚労科研・化学物質リスク事業(H30-R2年度)において行い、成獣雄マウスに対して、血液1滴から全身の病理組織学的診断を検出しうる高感度な系の確立に成功している (Ono R. et al., Toxicology Reports 2020)。
本研究は、これまでの実績、経験を活かし、エクソソームRNAを指標にした次世代型の催奇形性評価法の確立と催奇形性の発現メカニズムの解明を目的とする。
我々は、エクソソームRNAを指標とした迅速かつ高感度な次世代型毒性試験法の開発を、厚労科研・化学物質リスク事業(H30-R2年度)において行い、成獣雄マウスに対して、血液1滴から全身の病理組織学的診断を検出しうる高感度な系の確立に成功している (Ono R. et al., Toxicology Reports 2020)。
本研究は、これまでの実績、経験を活かし、エクソソームRNAを指標にした次世代型の催奇形性評価法の確立と催奇形性の発現メカニズムの解明を目的とする。
研究方法
本研究においては、毒性発現メカニズムを考慮した次世代型の生殖発生毒性評価法を確立することを目的に、以下の概要を行う。
● エクソソームRNAを腹単位の毒性指標とする次世代型催奇形性評価法を開発するために、妊娠マウスに既知の催奇形性化合物を経口投与し、胎児に発現する形態変化から毒性指標となるエクソソームRNAの同定を次世代シーケンス解析により行う。
● 本研究で同定された催奇形性のバイオマーカーとなるエクソソームRNAのノックアウトマウスおよび過剰発現マウスを作製することで、催奇形性の発現メカニズムを解明する。
● in vivoの特性を高度に保存したin vitroモデルとされるオルガノイド3D培養法の培養上清中に細胞より分泌されるエクソソームを毒性指標として利用可能かを検討し、動物実験によらない次世代型代替法の開発を行う。
● エクソソームRNAを腹単位の毒性指標とする次世代型催奇形性評価法を開発するために、妊娠マウスに既知の催奇形性化合物を経口投与し、胎児に発現する形態変化から毒性指標となるエクソソームRNAの同定を次世代シーケンス解析により行う。
● 本研究で同定された催奇形性のバイオマーカーとなるエクソソームRNAのノックアウトマウスおよび過剰発現マウスを作製することで、催奇形性の発現メカニズムを解明する。
● in vivoの特性を高度に保存したin vitroモデルとされるオルガノイド3D培養法の培養上清中に細胞より分泌されるエクソソームを毒性指標として利用可能かを検討し、動物実験によらない次世代型代替法の開発を行う。
結果と考察
令和3年度においては、催奇形性のバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA を単離するための基盤的研究を行った。最初に、妊娠動物を利用した次世代型催奇形性評価法を確立するための動物実験系の確立を行った。具体的には、種々の妊娠状態にある雌マウスを対象とした、採血方法の検討、血清単離法の検討、胎児由来の羊水の採取方法の検討、用水由来のエクソソーム単離方法の検討である。
次に、発生・発達段階に特異的なエクソソーム RNAの単離、雌雄に特異的なエクソソーム RNA の単離、妊娠に特異的なエクソソーム RNA の単離を行った。
これまでに、老齢マウスのバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、若齢マウスのバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、雄特異的バイオマーカーとなりうるエクソソームRNA の単離、雌特異的バイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、妊娠・非妊娠のバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、慢性炎症に特異的なエクソソーム RNA の単離に成功している。
次に、発生・発達段階に特異的なエクソソーム RNAの単離、雌雄に特異的なエクソソーム RNA の単離、妊娠に特異的なエクソソーム RNA の単離を行った。
これまでに、老齢マウスのバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、若齢マウスのバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、雄特異的バイオマーカーとなりうるエクソソームRNA の単離、雌特異的バイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、妊娠・非妊娠のバイオマーカーとなりうるエクソソーム RNA の単離、慢性炎症に特異的なエクソソーム RNA の単離に成功している。
結論
(1)マウスの正常な発生・発達段階に特異的に誘導されるエクソソーム RNA の同定、雌雄に特異的なエクソソーム RNA の同定、妊娠の有無に特異的なエクソソーム RNA の同定に成功した。
(2)遺伝子改変動物をモデル動物として利用することにより、慢性炎症に特異的なエクソソーム RNA の同定に成功した。
(3)今年度はエクソソーム解析候補時期の1つである妊娠15日マウスを用いて、解剖および子宮内容物採取の流れを確立した。また、来年度実施予定のVPA
動物実験における分析法も確立した。
(4)化学物質投与をすることなく、胎児に形態形成異常を引き起こす遺伝子改変マウスの導入および作製にも成功した。
(5)オルガノイド 3D 培養法を利用した代替法の検討のために、マウスの肺、肝臓、大腸よりオルガノイドの樹立することに成功した。
本研究を推進することで、エクソソームRNAを指標としたリスク評価により、常に一定の判断基準による評価が可能な次世代型催奇形性評価法を開発すると同時に、生殖発生毒性のメカニズムの解明にも繋げられると考えられ、厚生労働行政に貢献しうる研究開発となっている。
(2)遺伝子改変動物をモデル動物として利用することにより、慢性炎症に特異的なエクソソーム RNA の同定に成功した。
(3)今年度はエクソソーム解析候補時期の1つである妊娠15日マウスを用いて、解剖および子宮内容物採取の流れを確立した。また、来年度実施予定のVPA
動物実験における分析法も確立した。
(4)化学物質投与をすることなく、胎児に形態形成異常を引き起こす遺伝子改変マウスの導入および作製にも成功した。
(5)オルガノイド 3D 培養法を利用した代替法の検討のために、マウスの肺、肝臓、大腸よりオルガノイドの樹立することに成功した。
本研究を推進することで、エクソソームRNAを指標としたリスク評価により、常に一定の判断基準による評価が可能な次世代型催奇形性評価法を開発すると同時に、生殖発生毒性のメカニズムの解明にも繋げられると考えられ、厚生労働行政に貢献しうる研究開発となっている。
公開日・更新日
公開日
2022-07-13
更新日
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