治験審査委員会のあるべき方向性に関する研究

文献情報

文献番号
200838050A
報告書区分
総括
研究課題名
治験審査委員会のあるべき方向性に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
  • 景山  茂(東京慈恵会医科大学 薬物治療学)
  • 楠岡 英雄((独)国立病院機構 大阪医療センター)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学 薬理学)
  • 大橋 京一(大分大学医学部 臨床薬理学)
  • 熊谷 雄治(北里大学医学部 薬理学)
  • 小野 俊介(東京大学大学院 薬学系研究科)
  • 藤原 康弘(国立がんセンタ-中央病院 臨床試験・治療開発部)
  • 斉藤 和幸((独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第三部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国における治験審査委員会(以下IRB)のあり方を参考にしつつ、わが国の治験環境を考慮して、被験者の保護と信頼性を保証する基盤となるIRBの審査の質を維持し、さらに向上させるための方策を提案する事を目的とした。本研究ではGCP省令第27条に基づき設置されるIRBの、設置、任務、運営及び調査審議に関わる事項を対象とする。
研究方法
 わが国のGCP信頼性調査の現状を把握するためWebを用いたアンケート調査を行い、521件からの回答を解析対象とした。また、米国規制当局、治験実施施設、製薬企業を直接訪問し、米国におけるIRBのあり方を現地調査し、欧州(EU)については関連する文献、出版物を収集分析した。研究期間中、研究の内容と進展度について検討を加えるため、合計5回の研究班会議を開催した。
結果と考察
 改正GCP省令により実施医療機関の長の判断のもと、実施医療機関の内外問わずにIRBを選択することが可能となった。外部 IRBに調査審議を依頼する場合には、治験に係る事故が生じた際の対応すべきIRBの明確化やその責任の範囲などを実施医療機関あるいは実施医療機関IRBと事前に協議しておかなければならない。さらにIRBの設置者の対象が拡大したが、安易な調査審議により被験者の安全性が侵害されることのないように、IRBの登録制度の義務化、IRBへの監査システム構築などについても検討する必要がある。IRBの審査の質とは、それを構成する審査委員の質にほかならず、調査審議の均質化をはかるためIRB委員への継続的な教育機会を提供する社会的システム構築が求められる。さらに改正GCPでは、IRBの審議の透明性を向上させるため、IRBの手順書、委員名簿や審議記録の概要を公開する事となった。本研究班ではIRB 調査審議の透明性向上という目的と、審査委員のプライバシー確保と委員会での自由活発な審議の尊重、および依頼者の知的財産権の確保、それぞれの要素を考慮し、審議記録の概要公表のモデル案を作成し、公表した。
結論
 本研究の成果が、多くの治験実施医療機関で活用され、IRB調査審議の透明性向上、安易な調査審議の回避、Central IRB審議の活用による治験の効率化、につながる事が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838050C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 治験における被験者の保護と信頼性を保証する基盤となる治験審査委員会(以下IRB)のあり方を提案した。Web 調査による500施設以上の回答結果から、わが国におけるIRBの設置状況、構成、活動状況等の現状を明らかにし、平成16年度の同様の調査結果と比較した。IRB 調査審議の透明性向上という目的と、審査委員のプライバシー確保と委員会での自由活発な審議の尊重、および依頼者の知的財産権の確保、それぞれの要素を考慮し、改正GCP省令で求められるIRBの会議の記録の概要のモデル案を作成し、公表した。
臨床的観点からの成果
 IRBにおける調査審議は、治験に参加する被験者の人権、安全性を確保し、治験の倫理性を担保するとともに、試験の科学性を確認するために重要である。本研究は、今後のわが国でのIRBのあるべき方向性を提案するものであり、この方向性は臨床研究全体に敷衍可能であり、臨床的観点からも、被験者保護、治験の科学性保証に資するものと考えられる。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
 本研究班で作成したIRBの会議の記録の概要のモデル案が、厚生労働省医薬食品局審査管理課から平成21年2月5日に事務連絡として発出されたQ & Aに盛り込まれ、公表された。
その他のインパクト
 日本公定書協会主催の薬事エキスパート研修会(平成21年2月4日)において、研究成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-