ナノ物質等を配合した化粧品及び医薬品部外品の安全性及び品質確保に係わる試験法に関する研究

文献情報

文献番号
200838049A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ物質等を配合した化粧品及び医薬品部外品の安全性及び品質確保に係わる試験法に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
酸化チタン及び酸化亜鉛は、サンスクリーン製品やファンデーション等に白色顔料及び紫外線散乱剤として使用されている。これらは白色度を減少して透明性を出すように微粒子化して配合されていることから、化粧品や医薬部外品はナノ物質の曝露源の一つと考えられる。また、化粧品は複数成分の混合製剤であり、ナノ物質等を配合することによる他成分への影響も考慮する必要がある。本研究は、ナノ粒子を配合した化粧品及び医薬部外品の安全性及び品質確保に係わる試験法や評価方法について検討する。
研究方法
微粒子酸化チタンの各種媒体中での粒子分布を測定した。生体中酸化チタンの定量法として、マイクロウェーブ分解装置による試験溶液の調製条件を検討した。酸化チタンを高用量静脈内投与して生体内分布を調べた。線維芽細胞に対する障害性を調べるとともに、in vitro三次元培養ヒト皮膚モデルを用いて皮膚透過性を評価した。マウスを用いて皮膚アレルギー反応に対する影響についても検討した。
結果と考察
微粒子酸化チタンは、媒体に懸濁させ超音波処理しても数百nm以上に凝集しており、ナノ粒子としての評価は困難と思われた。チタンの微量分析では容器の洗浄性が重要であり、マイクロウェーブ分解液としては硝酸が良かった。静脈内投与された酸化チタンはほとんどが肝臓に集積した。ライソソーム中に取り込みが確認され、酸化チタンの消失に関連していると考えた。皮膚透過性試験では、酸化チタンの透過は認めなかった。理論的には10-9 cm/s以下の透過係数を示す物質は皮膚透過しないが、微粒子酸化チタンの皮膚透過係数はこれ以下と算出された。微粒子酸化チタンの線維芽細胞への障害性は高濃度で認められた。非放射性LLNAでは、酸化チタンに皮膚感作性を認めなかった。
結論
微粒子酸化チタンの懸濁液にはナノサイズの粒子はほとんど存在しなかった。動的光散乱法で粒度分布を求めるには希釈が必要で、実製品中の酸化チタンの分散度を評価することは困難と考えられた。生体組織中のチタンは硝酸で分解してICP-MSで定量する方法を検討した。酸化チタンは静脈投与すると肝臓へ集積した。酸化チタンの皮膚透過係数は角質の落屑速度より低値を示し、健常皮膚での表皮や真皮への移行の可能性は低いと考えられた。皮膚感作性物質に対する影響については更に検討が必要であった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-03
更新日
-