献血者の増加に資する教育教材の開発とその効果の検証

文献情報

文献番号
200838047A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者の増加に資する教育教材の開発とその効果の検証
課題番号
H19-医薬・一般-033
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 常彦(東邦大学 医学部)
  • 岩本 晋(徳山大学 福祉情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 H20年度はH19年度の輸血現場のレポートを提示した初回献血者増加の実証研究の7ヶ月後の調査を行い、資料提示の効果を検討した。また献血経験者に資料を提示する効果を、同じ資料でネット上と沖縄赤十字血液センターで行ないその効果を検討した。
研究方法
 対象は全国の19―26歳の献血未経験者で、調査内容は献血への理解の程度、献血への協力の意思などである。また、今まで献血にいかなかった理由とどうすれば参加するかなどを質問した。回答者全員に、1.簡単な資料の提示、2.輸血現場レポートの提示をし、その後に1.読む前よりも献血の必要性を強く思う2.今は献血に協力する気持ちがある3.今後、実際に献血に行く4.献血会場や献血バスを見かけた場合の協力意向5.時間的余裕がある場合の協力意向 の1-5の内容を質問した。
 同様に献血経験者400人を対象にネット上で調査を行った。また沖縄赤十字血液センターの協力で献血会場に来た878人に同様の調査を行った。
結果と考察
 献血未経験者は最終的に965人が回答し59人が献血をした。H19年度の日本赤十字社の初回献血の数と国政調査の人口の組み合わせから初回献血者の回帰式を求め、対象の年代人口での初回献血者数を7ヶ月で9人と推定した。資料提示と献血の有無のオッズ比と95%信頼区間は O.R.= 6.92 (C.I. 3.41-14.03)と有意に上昇した。これより具体的な輸血現場レポートの提示が、献血未経験者からの初回献血者確保に有効であると考えた。
 献血経験者を対象にしたネット上調査、沖縄県赤十字センターでの調査では、資料の提示による献血回数の増加は観察されなかった。その一方で過去の献血回数、自分の検査結果が健康管理のためになるから、と答えた者が献血をするオッズ比は有意に上昇した。
結論
 献血未経験者への輸血現場のレポート提示で実献血率は上昇した。保健体育の授業で献血の意義を学ぶ機会は皆無に等しく、若年者がそれらの知識を得る機会も乏しい。従来の献血者募集活動では若年者が納得して理解する具体的情報を提示しているとは言いがたいため、今後、広報メディアで、どのような理由で献血が必要か、輸血により症状がどのように変化するか、などの具体的情報の提供が必要である。
一方、献血経験者は検査結果を自分の健康管理に役立てている人が多いので、どの検査項目をどのように用いたら何の役にたつか、などの具体的な情報を提供する必要がある。今後は献血者の役に立つ情報をベネフィットとして提供するべきであろう。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200838047B
報告書区分
総合
研究課題名
献血者の増加に資する教育教材の開発とその効果の検証
課題番号
H19-医薬・一般-033
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 常彦(東邦大学 医学部)
  • 岩本 晋(徳山大学 福祉情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、献血未経験者に具体的な輸血現場のレポートの提示をし、実献血が変化するかを検討することである。H19年度に最初の資料提示をし、H20年度に7ヶ月後の調査を行った。また献血経験者への資料提示効果を、同様の資料でネット上と沖縄赤十字血液センターで検討した。
研究方法
 未経験者の対象は全国の19―26歳の献血未経験者で、調査内容は献血への理解の程度、献血への協力の意思などである。また、今まで献血にいかなかった理由とどうすれば参加するかなどを質問した。同様に献血経験者400人を対象にネット上で調査を行った。また沖縄赤十字血液センターの協力で献血会場で献血した878人に同様の調査を行った。
結果と考察
 献血未経験者は最終的に965人が回答し59人が献血をした。H19年度の日本赤十字社の初回献血の数と国政調査の人口の組み合わせから初回献血者の回帰式を求め、対象の年代人口での初回献血者数を7ヶ月で9人と推定した。資料提示と献血の有無のオッズ比と95%信頼区間は O.R.= 6.92 (C.I. 3.41-14.03)と有意に上昇した。これより具体的な輸血現場レポートの提示が、献血未経験者からの初回献血者確保に有効であると考えた。
 献血経験者を対象にしたネット上調査、沖縄県赤十字センターでの調査では、資料の提示による献血回数の増加は観察されなかった。その一方で過去の献血回数、自分の検査結果が健康管理のためになるから、と答えた者が献血をするオッズ比は有意に上昇した。
結論
 献血未経験者への輸血現場の情報提示で実献血率は増加した。従来の献血者募集活動は未献血者が納得して理解する具体的情報を提示しているとは言いがたいため、今後、広報メディアで献血の必要性、輸血による疾患の改善、などの理解されやすい具体的情報提供が必須である。
 一方、献血経験者では検査結果を自分の健康管理に役立てる者が年齢と共に増加したため、検査項目の意味、健康管理への応用方法などの具体的な情報をベネフィットとして提供する必要がある。今後は輸血現場の資料を提示して献血者数が増加するかの実証研究が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838047C

成果

専門的・学術的観点からの成果
献血未経験者への輸血現場の資料提示で実献血率は上昇した。従来の献血者募集活動では若年者が納得して理解する具体的情報を提示しているとは言いがたいため、今後、広報メディアで、どのような理由で献血が必要か、輸血により症状がどのように変化するか、などの具体的情報の提供が必要である。
臨床的観点からの成果
一方、献血経験者は検査結果を自分の健康管理に役立てている人が多いので、どの検査項目をどのように用いたら何の役にたつか、などの具体的な情報を提供する必要がある。今後は献血者の役に立つ情報をベネフィットとして提供するべきであろう。
ガイドライン等の開発
08/10/29 第2回献血推進のあり方に関する検討会議事録
08/11/20 第3回献血推進のあり方に関する検討会議事録
その他行政的観点からの成果
第3回献血推進のあり方に関する検討会において、具体的な活動が紹介される
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
血液事業学会
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
血液製剤調査機構だより
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
日本輸血細胞治療学会、日本病院管理学会、日本行動計量学会、日本血液事業学会など
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
田久浩志
初回献血者の増加を目指して
血液製剤調査機構だより ,  (107) , 2-5  (2008)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-