文献情報
文献番号
202125033A
報告書区分
総括
研究課題名
生物学的製剤基準のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KC2004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
石井 孝司(国立感染症研究所 品質保証・管理部)
研究分担者(所属機関)
- 深澤 征義(国立感染症研究所 細胞化学部)
- 藤田 賢太郎(国立感染症研究所 品質保証・管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,010,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生物学的製剤基準(生物基)は、薬機法第42条に基づいて制定された生物学的製剤の基準集であり、通則、医薬品各条、一般試験法からなる。生物基は日本の生物学的製剤の品質管理の根幹となっている基準であるが、制定以来50年以上が経過し、多数の改正が繰り返されている。これまで、各項目の記載に統一性が乏しい点、日本独自の試験の存在などWHO Recommendations/Guidelines等との齟齬が出てきている点、改正が計画的に行われない点など、複数の問題点が存在する。また、日局との重複や齟齬が存在することも指摘されている。本研究班での検討により、このような生物基が抱える問題点を明らかにすることができ、日本薬局方との連携や、WHO Recommendations/Guidelines等とのハーモナイゼーションにも配慮した、統一性のとれた生物基の構築が期待できる。さらに、本研究班では、従来から生物基に収載されている試験項目の意義や、近年の新しい技術に基づく試験法についても検討を行う予定で、生物製剤の品質管理に関する技術の進歩に対応した、新たな体系の生物基の構築も目指していく予定である。
研究方法
昨年度に行われた生物基の中改正の際に、各製剤の試験項目の記載について表記の揺れ(例えば、温度の記載を1点表記とするか、あるいは幅で表記するかなど)の存在が認識されている。この中改正の際のまとめを活用するなどして表記の揺れをピックアップし、統一的な基準を作成して記載を揃える。さらに、収載されている各条の粒度が大きく異なる点の改善をはかるため、記載について統一した方針(標準的な記載のフォーマット)を検討し、この方針に沿った形に現在の生物基の記載を揃える。
生物基案作成における感染研の役割の整理を行う。現在は、専門委員の意見として提示するものなのか、所としての意見を提示するものなのかが明確でない。感染研の生物基作成における役割は意見の提示と位置づけ、作成に係る手順、スケジュールを明確化した手順書の制定を行う。
生物基案作成における感染研の役割の整理を行う。現在は、専門委員の意見として提示するものなのか、所としての意見を提示するものなのかが明確でない。感染研の生物基作成における役割は意見の提示と位置づけ、作成に係る手順、スケジュールを明確化した手順書の制定を行う。
結果と考察
各製剤の試験項目の記載について表記の揺れ(例えば、温度の記載を1点表記とするか、あるいは幅で表記するかなど)の存在が認識されていたが、このような表記の揺れをピックアップし、統一的な基準について検討を行った。さらに、収載されている各条の粒度が大きく異なる点の改善をはかるため、記載について統一した方針(標準的な記載のフォーマット)を検討し、この方針に沿った形の記載を検討した。試験法としては、まずマイコプラズマ否定試験法を取り上げた。生物基に収載されている試験法、日本薬局方に収載されている試験法と、欧州薬局方に収載されている試験法を比較検討し、3局調和の考え方に基づいた試験法への改正を目標として生物基試験法の改定案を検討した。
・生物基案作成における感染研の役割の整理を行った。現在は、専門委員の意見として提示するものなのか、所としての意見を提示するものなのかが明確でない。感染研の生物基作成における役割は意見の提示と位置づけ、作成に係る手順、スケジュールを明確化した手順書を検討している。
・生物基案作成における感染研の役割の整理を行った。現在は、専門委員の意見として提示するものなのか、所としての意見を提示するものなのかが明確でない。感染研の生物基作成における役割は意見の提示と位置づけ、作成に係る手順、スケジュールを明確化した手順書を検討している。
結論
本研究では、今後の生物基原案の作成や生物基のあり方の検討に資することを目的として、生物基全体の精査を行い、問題点、課題の抽出及び検討を行った。その結果、表記、記載の不統一や不整合等が多く認められ、また、用語の定義や規定の適用範囲、適用方法、運用上の取扱い等が不明確で読み手によって異なる解釈につながるおそれがある事項も存在した。したがって、生物基原案の作成や生物基の規定の解釈、運用等に係る指針のような公的文書が必要と考えられた。また、近年の生物学的製剤を取り巻く状況の変化を踏まえ、生物基に規定すべき事項を含め、生物基のあり方の検討、見直しを行う必要があると考えられ、どのような組織がそれを行うか等についても、更なる検討が必要と考えられた。
生物基のマイコプラズマ否定試験法について、三薬局方との調和のために考慮が必要なポイントについて検討した。記載されている3つの試験法(培養法、指標細胞法、核酸増幅法)について、選択の条件についての検討が必要なこと、特に生物基と他の薬局方とで大きな違いがある培養法について、国内メーカーの状況も踏まえた検討を行うことが必要と思われた。
生物基のマイコプラズマ否定試験法について、三薬局方との調和のために考慮が必要なポイントについて検討した。記載されている3つの試験法(培養法、指標細胞法、核酸増幅法)について、選択の条件についての検討が必要なこと、特に生物基と他の薬局方とで大きな違いがある培養法について、国内メーカーの状況も踏まえた検討を行うことが必要と思われた。
公開日・更新日
公開日
2022-08-03
更新日
-