粘膜投与等の新投与経路ワクチン研究における品質管理に関する研究

文献情報

文献番号
200838041A
報告書区分
総括
研究課題名
粘膜投与等の新投与経路ワクチン研究における品質管理に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
板村 繁之(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 横田 恭子(国立感染症研究所 免疫部)
  • 笠井 道之(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 谷本 武史((財)阪大微生物病研究会観音寺研究所 研究・技術部研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来のワクチンの多くは皮下などの接種経路で実施されている。ところが、インフルエンザに代表される感染が身体の表層部分で起こる急性の感染症に対する有効な生体防御応答を誘導するには、現行の接種経路のワクチンは適していない。本研究では、アジュバント添加不活化インフルエンザ経鼻接種粘膜ワクチンを新しい投与経路ワクチンのモデルとし、安全性が高く高品質のワクチンを製造するために必要な品質管理方法の確立を目的とした。
研究方法
本年度は昨年度に開発したワクチン有効成分を測定する方法やその生体応答を測定する方法について精度や感度また、測定値とワクチン効果との関連性について検討を行った。
結果と考察
ワクチンの有効成分であるH5亜型のHA蛋白特異的なモノクローナル抗体を使用したサンドイッチELISA法によるHA蛋白含量の測定法について、検出感度の向上のためにモノクローナル抗体の組合せの検討と検出感度の測定をしてシステムの至適化を行い、ワクチンの有効成分の含量測定に有用であることを明らかにした。免疫原性としてワクチンの力価を測定するために、TLRリガンドに由来する免疫誘導能について転写因子NF-kB遺伝子の下流にレポーター遺伝子を組み込んだモノサイト細胞株を用いて免疫誘導能を評価した。ワクチンの免疫原性の指標として有用であることが示唆された。さらにアジュバント添加ワクチンについて安全性を評価するための試験項目を検討するために、カニクイザルを用いてアジュバント添加ワクチンの経鼻接種後の末梢血中の白血球数、好中球数、血小板数、ヘマトクリット値などを測定し、非接種群との比較を行った。本指標はひとつの品質管理の指標となり得ることが分かった。

結論
(1) 合成二本鎖RNAをアジュバントとした高病原性鳥インフルエンザ(A/H5N1)に対する全粒子不活化ワクチンをカニクイザルに経鼻投与後、末梢血中の白血球数、リンパ球数、好中球数、血小板数、好酸球数を調べたところ、非接種群と比較してそれぞれの血算の値に有意な差はなくワクチン接種に伴う血球の変化は認められず、本指標はひとつの品質管理の指標となり得る。
(2) H5亜型HA特異的なモノクローナル抗体を組み合わせてH5亜型特異的なHA含量を定量検出するサンドイッチELISAシステムの至適化を行い、ワクチンの有効成分の含量測定に有用であることを明らかにした。
(3) TLRリガンド感受性を有する指示細胞を使用してNF-κB活性誘導能を指標として不活化型全粒子ワクチンについて測定したところ、ワクチンの免疫原性の指標として有用であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-01-18
更新日
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