医薬品等のインターネット販売に対する監視手法の研究

文献情報

文献番号
202125029A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等のインターネット販売に対する監視手法の研究
課題番号
21KC1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 直子(金沢大学 医薬保健研究域附属AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 和子(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
  • 前川 京子(同志社女子大学 薬学部)
  • 秋本 義雄(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
  • 坪井 宏仁(金沢大学 医薬保健研究域 薬学系)
  • Rahman Mohammad(ラーマン モハンマド)(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
  • Zhu Shu(シュ シュ)(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国外の医薬品等のインターネット販売に係る規制ならびに監視指導例を調査するとともに、日本国内のインターネット販売サイトにおける出品時確認の実態と国内のインターネットを介した医薬品等の個人間取引の実態を明らかにすることによって、医薬品等のインターネット販売に対するより効果的な監視手法の検討に資する。本年度は、①アメリカとフランスを対象とした規制調査、②国内個人間取引サイトを対象とした出品時確認事項調査、ならびに、③SNSサイトを対象とした医薬品の個人間取引実態調査を行った。
研究方法
①アメリカとフランスにおける消費者への医薬品のオンライン販売・譲渡に係る法律政府ホームページや文献検索で収集した。②国内で展開している事業者(メルカリ、ラクマ等)を対象に、出品禁止品目規定、利用時に登録が必要な情報について調査した。③代表的なSNSのうち、YouTubeとTwitterを対象に、医薬品個人間取引が疑われる投稿の検出法を検討するとともに、Twitterの医薬品取引に係るタグとして知られる「お薬もぐもぐ」で抽出される投稿における頻出単語を調査した。
結果と考察
①アメリカでは、消費者への医薬品販売等は各州で規制され、ネバダ州では薬局および店舗、オレゴン州では薬局および登録販売店、フランスでは薬局のみとされており、ともに消費者個人による医薬品販売等は認めていないことを確認した。インターネットによる消費者への医薬品販売等は国または州により異なる規定ではあるが、店舗による販売を基として規制の範囲内で認めていた。消費者への医薬品販売等規制に違反した場合、フランスおよび米国(ミネソタ州およびコロラド州)で懲役や罰金が規定されていた。②日本での実態を把握するため、国内のオークションサイトにおいて、一部の条件を満たした場合の一般用医薬品を除き、医薬品の出品は禁止されていた。しかし、その通知方法は、サイトによって様々であり、利用者が正しく理解できない可能性が示唆された。③本研究用に開発したクローリング(プログラムがインターネット上のリンクを辿って web サイトを巡回し、Web ページ上の情報を複製・保存する)プログラムを用いて、不適正流通が指摘されているアナボリックステロイド、成長ホルモン、各成分名等をキーワードに、過去7日間のTwitter中の投稿を検索したが、個人間取引に繋がる投稿は見つからなかった。「お薬もぐもぐ」をキーワードとして抽出された投稿において、製品・成分名の前方のみや一部記号化されたワードでの投稿が散見された。検索期間やキーワードを適切に設定する等、抽出ロジックを詳細に検討する必要性が示唆された。YouTubeについては、クローリングプログラムを実行するため、API(application programming interface)制限解除申請を行った(審査中)。
結論
フランスと米国(ネバダ州・オレゴン州)では、消費者個人による医薬品販売等は認められておらず、インターネットによる消費者への医薬品販売等は国または州により異なる規定ではあるが、店舗による販売を基に規制の範囲内で認めていた。主に国内で展開している個人間取引サイトにおいて、医薬品の出品は利用規約において禁止されていた。また、Twitter上では、一部の医薬品について取引が疑われる投稿が見つかった。その他に不適切流通が指摘されている医薬品の取引を監視するためには、クローリングプログラムを有効に稼働させるための適切な抽出ロジックを導出する必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2022-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202125029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,308,450円
人件費・謝金 8,550円
旅費 0円
その他 1,760,000円
間接経費 923,000円
合計 4,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-06-06
更新日
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