新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究

文献情報

文献番号
202125027A
報告書区分
総括
研究課題名
新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究
課題番号
21KC1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿野 千治(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 事業戦略室)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1.血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究、2.若年者の献血推進の方策と教育資材の開発、等4つの研究の柱からなり、エビデンスに基づいた献血施策の基盤となる成果の提示を目指す
研究方法
人口動態、疫学、社会行動確率論、情報マネジメント、社会医学、医歯薬学教育など多岐にわたる研究分野からのアプローチを実施する
結果と考察
1血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究
1) 免疫グロブリン製剤の使用実態と需要予測(中間報告)
令和2年度にNDBの2012年4月~2019年3月(7年間)の匿名レセプト情報を用いて、免疫グロブリン製剤の使用実態を明らかにし、その結果より2025年までの免疫グロブリン製剤の必要量、さらには原料血漿の必要量の将来予測を行った。令和3年度は、新たに2021年3月までのレセプト情報を入手し、将来予測のアップデートを行う予定であったが、NDBの入手に時間を要し、現在解析中であるため、途中経過を報告する。血液製剤の処方を条件に抽出した2012年4月~2020年3月のNDBデータ(2020年4月~2021年3月は解析準備中のため含まず)総データ362.1億件、総レセプト10.9億件、実患者数約1,300万人(ID1換算)を解析し、2019年度の人免疫グロブリン製剤の処方本数は2,297,014本/2.5g換算、前年比13.7%増であった。国内・海外血漿由来別にみると、国内血漿由来が前年比10.1%増、海外血漿由来が前年比83.3%増と海外血漿由来製剤が大きく増加していた。令和2年度に2012年4月~2019年3月のNDBデータを使用して推定した、2019年度の国内血漿由来の人免疫グロブリン製剤の処方本数の予測値は、1,859,375(本/2.5g換算)であったが、令和3年度にNDBで算出した実測値は2,118,394(本/2.5g換算)であり、13.9%多かった。引き続き令和4年度研究にて解析を行う。
2) COVID-19感染拡大前後の免疫グロブリン製剤の使用実態 - 健康保険組合加入者のレセプトデータを使用した実態解析 –
健康保険組合加入者のレセプトデータを用いて、2018年4月~2021年6月(3年3か月)の全期間在籍していた356万人を対象とし、免疫グロブリン製剤の処方があった3,631人について、処方実態を解析した。COVID-19感染拡大前後の免疫グロブリン処方状況は、国内・海外製品別では、国内製品は減少傾向、海外製品は特に増加傾向、年齢群別では、患者数、延べ処方本数ともに、0-9歳が特に減少傾向、30歳以上が若干増加傾向、傷病別では、川崎病が特に減少傾向、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎CIDP・多巣性運動ニューロパチーMMN、無又は低ガンマグロブリン血症が増加傾向であることが明らかとなった。
3) 200ml献血由来の血液製剤の使用実態 - 健康保険組合加入者のレセプトデータを使用した実態解析 -
健康保険組合加入者レセプトデータを用いて、2020年1月~12月(1年間)に在籍していた約864万人を対象とし、200mL献血由来の血液製剤を投与されていた患者902人について解析した。200mL献血由来の血液製剤は、1歳未満の乳児に多く処方されており、赤血球製剤、血漿製剤とも手術で多く使用されていることが明らかとなったが、健康保険組合加入者のレセプトは、高齢層が含まれていないため、令和4年度研究で、NDBで再解析する必要があると考えられた。
2.若年者の献血推進の方策と教育資材の開発とpilot地区を対象としたモデル事業
1) 医療系学生とルーム来訪者を対象とした献血に関する意識調査研究
令和2年度に医学部を有する全国82大学を対象に献血に関連する教育的取組の実態把握調査を行い、回答を得た37大学のうち13大学(35.1%)が「献血制度を含むわが国の血液事業のあゆみに関する講義」を今後導入したいと回答し、医学教育の現場に献血関連教育資材のニーズがあると考えられたことから、広島大学医学部の献血推進学生サークル(Kasumi-Bloodonors)および広島県赤十字血液センターの協力を得て、日本の血液事業及び献血制度を概説する動画コンテンツの開発を行った。若年層はその献血行動において、他の年代と比べ、家族・友人など周囲からの影響を受けやすいことが本研究班のこれまでの意識調査からも示されており、同年代からの働きかけは特に重要である。今回の動画コンテンツ制作には、広島大学において献血推進学生サークルを立ち上げた現役の医学部4年生が中心的に参画し、医学部学生に向けたメッセージを発信していることから、医学部生の献血への意識向上・知識の定着のみならず、学生による献血推進団体の発足、活性化にも繋がることが期待される。
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202125027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,824,154円
人件費・謝金 3,519,475円
旅費 0円
その他 656,371円
間接経費 2,000,000円
合計 9,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
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