乱用薬物の分析・同定に関する研究

文献情報

文献番号
200838038A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物の分析・同定に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 代田 修(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 花尻 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,(1)麻薬関連4法で規制されている化合物や植物類について,薬物の乱用に的確に対応するため,代謝物を検討するとともに合成し,毛髪や尿からの代謝物まで含めた分析と同定方法等を確立する;(2)新たに麻薬・向精神薬指定される蓋然性の高い薬物について,指定後の迅速な取締り等に対応出来るよう,規制範囲の検討,代謝物の検討と分析法の確立を行う;(3)麻薬・向精神薬成分を含有する可能性の高い植物について,規制の範囲を検討するため,調査・分析を行うと共に鑑定法の確立を行う;(4)取締りの現場での諸問題に対応が行えるよう,既存の麻薬・覚せい剤・大麻等について分析法の検討を行う等を目的とする.
研究方法
使用した麻薬,向精神薬,指定薬物等は,主に国立衛研で研究用として合成,入手,保管されているものを用いた.動物はDark-Agoutiラット(♂,5週齢)を使用した.材料植物の収集は,医薬基盤研種子島研究部の協力を得た.
結果と考察
(1)ヒト試料での分析に対応できるように,シロシン代謝物の合成を行った.麻薬であるクエン酸フェンタニル及びその代謝物のUPLC-MS/MSを用いた毛髪中の分析法を確立した. LC-MS/MSを用いて尿中薬物の鑑定を迅速化・省力化するための検討を行った. DART-TOFMSを利用して,複雑な抽出操作なしに尿試料から,覚せい剤やMDMA等を検出する手法を示した.(2) N-OH-MDMAについて,各種条件下での挙動を明らかにし分析法を確立した.(3) Lophophora 属植物について,葉緑体 DNAの塩基配列解析を行い,基原種を検討するとともに,LC-MS 分析によりメスカリンの含有の有無との関係を調べた.エフェドリン類について網羅的合成を行い,一斉分析条件を確立した. MMDA等の前駆体を含有するニクズク科植物の調査研究を行った.(4) 大麻種子について,発芽試験に代わる簡便で迅速な発芽能力鑑別法としてテトラゾリウム塩を用いた呈色反応による判別法を確立した.近赤外分光光度計を用いる乱用薬物の識別法について検討するとともに,異なる分析機関間で GC-MSのデータを相互利用するための基礎的検討を行った.
結論
本研究は,監視指導麻薬対策課と密接な連絡のもと遂行され,その成果は厚生労働省の乱用薬物行政と乱用薬物取締りに直接貢献することになる.


公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
-