文献情報
文献番号
202125021A
報告書区分
総括
研究課題名
妊婦・授乳婦における医薬品の安全性に関する情報提供の在り方の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20KC2009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
村島 温子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)
研究分担者(所属機関)
- 林 昌洋(虎の門病院 薬剤部)
- 濱田 洋実(筑波大学医学医療系 総合周産期医学)
- 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
- 佐瀬 一洋(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学教室)
- 伊藤 直樹(帝京大学 医学部小児科学講座)
- 高橋 邦彦(東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター )
- 登美 斉俊(慶應義塾大学 薬学部)
- 後藤 美賀子(国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
妊娠中ならびに授乳中の薬物治療の安全性について、一般医療者や一般女性が、信頼できる情報にアクセスしやすい環境を整えていくための方法を明らかにすること、製薬会社の市販後調査ないしは妊娠と薬情報センターを中心とする相談事例の症例データベース、リアルワールドデータの解析、薬物動態学的アプローチによる精緻な評価方法まで、それぞれの長所を生かしながら有用な安全性情報を構築していくことを目的とした。
研究方法
一般医療者ならびに一般女性を対象とした妊娠中・授乳中の医薬品の安全性に関する情報提供の在り方の研究では、令和2年度に行ったアンケート調査結果をもとに「医師・薬剤師・一般女性・関係団体などからなるワーキンググループを作り、①若年者教育、②薬学部教育現場からの視点、③臨床現場の視点、④医師への啓発、の4つにわけ、それぞれの問題点と対策を検討し、教育・啓発のための資料を作成した。
産科ガイドライン2023年版の「妊娠・授乳と薬」関連の全5項目について、本研究班で得られた成果を十分に反映させた修正提案を行った。
本邦における市販後調査による妊婦・授乳婦における安全性評価の方法について検討する目的で、日米欧の規制当局により作成された妊婦の市販後調査の方法についてまとめた。妊娠と薬情報センター単独の相談症例データベース、ならびにAMED研究で虎の門病院の相談症例データベースと結合したものを用いて解析を実施し、本邦発のエビデンスの創出を継続した。レセプトデータなどのリアルワールドデータを用いたエビデンス創出の可能性について検討した。
妊娠中・授乳中の安全性に関する評価方法について、昨年度構築したメトホルミン胎盤透過の生理学的薬物動態モデルを基盤として、新たに非還流組織コンパートメントを追加し、より還流実験に即したモデル改良を行った。授乳婦の薬物治療における情報提供において特に問題となることが多い、向精神薬に関する情報収集をおこなった。
授乳婦の薬物治療の安全性について、母乳中への薬剤移行性や乳児側の要因を考慮して評価する方法を検討するとともに、母乳中の薬物濃度の測定を進めた。
産科ガイドライン2023年版の「妊娠・授乳と薬」関連の全5項目について、本研究班で得られた成果を十分に反映させた修正提案を行った。
本邦における市販後調査による妊婦・授乳婦における安全性評価の方法について検討する目的で、日米欧の規制当局により作成された妊婦の市販後調査の方法についてまとめた。妊娠と薬情報センター単独の相談症例データベース、ならびにAMED研究で虎の門病院の相談症例データベースと結合したものを用いて解析を実施し、本邦発のエビデンスの創出を継続した。レセプトデータなどのリアルワールドデータを用いたエビデンス創出の可能性について検討した。
妊娠中・授乳中の安全性に関する評価方法について、昨年度構築したメトホルミン胎盤透過の生理学的薬物動態モデルを基盤として、新たに非還流組織コンパートメントを追加し、より還流実験に即したモデル改良を行った。授乳婦の薬物治療における情報提供において特に問題となることが多い、向精神薬に関する情報収集をおこなった。
授乳婦の薬物治療の安全性について、母乳中への薬剤移行性や乳児側の要因を考慮して評価する方法を検討するとともに、母乳中の薬物濃度の測定を進めた。
結果と考察
ワーキンググループ①の若年者教育のグループでは高校の授業において学校薬剤師などが行う薬教育の中で提供可能な資材として動画の作成を行い、国立成育医療研究センターのホームページで閲覧・ダウンロードできるようにした。②の薬学部教育現場からの視点では、薬学部の実態調査を行い、周産期領域における薬学教育に関する提言をまとめた。③の臨床現場の視点を検討するグループでは、薬局の薬剤師と医師の説明の乖離による患者の混乱を解決するための薬局用のポスターを作成し、日本薬剤師会のホームページからダウンロードできるようにした。日本歯科医師会の協力を得て、歯科医が処方することの多い薬剤の情報を盛り込んだ歯科医向けのポスターを作成し、同会ならびに小児歯科学会のホームページからダウンロードできるようにした。④の医師への啓発グループでは初期研修医や総合診療科の医師への教育を目的として「妊娠と薬の基本的知識」に関する動画を作成し、ワーキンググループメンバーが管理する総合診療医育成のビデオオンデマンドサイトに掲載した。
市販後の妊婦曝露情報収集については、欧米の規制当局からは妊娠登録調査を推進するためのガイダンスが出されているが、本邦で発出されている通知は自発報告のみである。さらには、妊婦禁忌である薬剤は医薬品リスク管理計画(RMP)作成の対象外という状況であり、製薬会社がリスクを把握することの限界を認識する結果となった。
妊娠と薬情報センター症例データベース単独の解析で非定型抗精神病薬について、妊娠と薬情報センターと虎の門病院と結合したデータの解析でトリプタン製剤とロイコトリエン受容体拮抗薬について、それぞれ生物統計スキルを駆使して安全性評価を行い、英文誌に発表した。
妊婦・授乳婦におけるリアルワールドデータ(RWD)源のひとつである保健請求データベースの信頼性、妥当性について、「出生前の抗うつ薬への曝露と新生児の転帰」というテーマで検討した結果が英文誌に掲載され、当該分野においてもRWDを用いたエビデンスが創出できることを示した。
改良した胎盤透過の生理学的薬物動態モデルの妥当性を示すことができた。母乳中への薬剤移行性や乳児側の要因を考慮して評価する方法を検討するために、向精神薬を中心に文献情報を収集し総論としてまとめた。また、6種類の薬剤の母乳中の濃度測定を行い、英文雑誌に発表し母乳育児を両立できる環境作りに貢献できた。
市販後の妊婦曝露情報収集については、欧米の規制当局からは妊娠登録調査を推進するためのガイダンスが出されているが、本邦で発出されている通知は自発報告のみである。さらには、妊婦禁忌である薬剤は医薬品リスク管理計画(RMP)作成の対象外という状況であり、製薬会社がリスクを把握することの限界を認識する結果となった。
妊娠と薬情報センター症例データベース単独の解析で非定型抗精神病薬について、妊娠と薬情報センターと虎の門病院と結合したデータの解析でトリプタン製剤とロイコトリエン受容体拮抗薬について、それぞれ生物統計スキルを駆使して安全性評価を行い、英文誌に発表した。
妊婦・授乳婦におけるリアルワールドデータ(RWD)源のひとつである保健請求データベースの信頼性、妥当性について、「出生前の抗うつ薬への曝露と新生児の転帰」というテーマで検討した結果が英文誌に掲載され、当該分野においてもRWDを用いたエビデンスが創出できることを示した。
改良した胎盤透過の生理学的薬物動態モデルの妥当性を示すことができた。母乳中への薬剤移行性や乳児側の要因を考慮して評価する方法を検討するために、向精神薬を中心に文献情報を収集し総論としてまとめた。また、6種類の薬剤の母乳中の濃度測定を行い、英文雑誌に発表し母乳育児を両立できる環境作りに貢献できた。
結論
本研究により、妊婦・授乳婦における医薬品の安全性に関する情報提供に関する問題を明らかにし、解決方法につながる成果が出せた。
公開日・更新日
公開日
2025-05-26
更新日
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