植え込み型生命維持装置の不具合情報等の集積・伝達手法の確立等に関する研究

文献情報

文献番号
200838035A
報告書区分
総括
研究課題名
植え込み型生命維持装置の不具合情報等の集積・伝達手法の確立等に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
笠貫 宏(特定非営利活動法人 日本医療推進事業団)
研究分担者(所属機関)
  • 田中茂夫(医療法人 狭山中央病院)
  • 杉浦敏文(静岡大学 電子工学研究所)
  • 加納 隆(埼玉医科大学 医療保健学部)
  • 平尾見三(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 豊島 健(日本メドトロニック株式会社 カーディアックリズムディジーズマネージメント)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
植込み型生命維持装置は、機能の複雑化とともに、装置、電極、装着補助器具等にも、新たなものが登場している。医師は装置の機能の理解に加え、新器具固有の危険因子についても熟知しておく必要がある。この中には、未知の不具合が含まれている可能性もあり、国際規模での情報交換により、既知となった時点での速やかな情報入手と伝達が不可欠になる。本研究では、このために利用可能な情報源の特定と、各事例の臨床的影響の正確に判断し、速やかに情報伝達するための体制および手法の確立を目指している。
研究方法
国際的に不具合情報を公開している組織の情報を集め、情報を入手する手段を把握する。海外の不具合情報から、本邦で未知の不具合事例を検索し、その根本原因の検討と、健康被害に関する検討を行う。内外の不具合事例で発生頻度の多い内容を特定し、その健康被害予想分析に関する情報を入手し、本邦でも適用可能かを検討する。装置の製造販売業者、関連学会と上記情報の補填と情報伝達システムの有り方を討議する。不具合情報伝達者に必要な不具合の発生率、評価方法、健康被害予想分析等に関する知識の内容を特定する。不具合情報を入手しうる者、情報を伝達すべき者が、客観かつ科学的に不具合を評価し、適正に情報伝達できる体制の確立とガイドラインの作成を行う。
結果と考察
FDAとPMDAの不具合情報の比較から、米国ではICDおよびCRT-Dの不具合発生の割合が多い結果となった。また除細動リード関連の不具合の割合も日本より多かった。これは日米での病態分布の相違を示していると思われた。日本で未知の不具合は見出せなかった。FDAとPMDAのデータ間で不具合発生割合を比較した結果、日本では心穿孔の割合が多いことが分かった。学会等での啓蒙活動の継続が必要と思われた。行政、関連学会、製造販売業界、医療機関、患者等による公開シンポジウムを開催した結果、医療機関だけで患者管理を行うには限界があり、製造販売業者からの情報が重要であることが確認された。今後日本不整脈学会のCDR認定制度が有用と思われた。
結論
日本で未知な不具合を検索するにはFDAのデータベースが有用と判断された。日米の不具合の発生割合の比較から、日本ではリードによる心穿孔の発生が多いことが分かった。医療機関で生命維持装置の患者管理を行うにしても、製造販売業者の情報が重要で、CDR認定制度への期待が大きいことが分かった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200838035B
報告書区分
総合
研究課題名
植え込み型生命維持装置の不具合情報等の集積・伝達手法の確立等に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
笠貫 宏(特定非営利活動法人 日本医療推進事業団)
研究分担者(所属機関)
  • 田中茂夫(医療法人 狭山中央病院)
  • 杉浦敏文(静岡大学 電子工学研究所)
  • 加納 隆(埼玉医科大学 医療保健学部)
  • 平尾見三(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 豊島 健(日本メドトロニック株式会社 カーディアックリズムディジーズマネージメント)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
植込み型生命維持装置は、機能が複雑化し、電極、補助器具にも、新たなものが登場している。医師は装置の機能の理解に加え、新器具固有の危険因子も熟知しておく必要がある。しかし、現在未知のものが含まれている可能性もあり、国際規模での情報交換により、その問題シグナルの検出と既知となった時点での迅速な情報の入手と伝達が不可欠になる。本研究では、このための情報源の特定、各事例の臨床的影響の判断、迅速、正確な情報伝達の体制およびその手法の確立を目指した。
研究方法
国際的不具合情報源となる組織を探索し、情報入手手段を把握する。海外の不具合情報から、本邦で未知の事例を検索し、その原因と健康被害に関する検討を行う。同様に発生頻度の多い不具合を特定し、健康被害予測に関する情報を入手し、本邦に適用可能か検討する。行政、製造業界、関連学会等で上記情報の補填や情報伝達システムの有り方を討議する。不具合情報伝達者に必要な、不具合の発生率、評価方法、健康被害予測等に関する知識の内容を特定する。不具合情報を入手しうる者、情報を伝達すべき者が、客観かつ科学的に不具合を評価し、適正に情報伝達できる体制の確立とガイドラインの作成を行う。
結果と考察
国際的不具合情報源として、探索された組織の検討の結果、FDAのものが最も組織立っていた。日米の事例比較から、米国ではICD、CRT-D、除細動リードの不具合が多く、病態分布の相違を示していた。日本で未知の不具合は見出せなかった。また、日本では心穿孔の割合が多く、学会等での啓蒙活動の継続が必要と思われた。不具合報告に必要な不具合発生率の正しく算出するために信頼性工学の教本を作成した。各組織が参集した公開シンポジウムでは、医療機関で患者管理を行うには限界があり、製造業者からの情報が重要であることが確認され、日本不整脈学会のCDR認定制度が有用になると思われた。また、重大な不具合が発生した場合、CDRが正確な情報を交換し、分かりやすい解説を発信するためのWEBサイトを構築した。
結論
日本で未知な不具合を検索するにはFDAのデータベースが有用であった。日米の不具合の比較から、日本ではリードによる心穿孔の発生が多いことが分かった。医療機関で生命維持装置の患者管理を行うにしても、製造販売業者の情報が重要で、CDR認定制度への期待が大きいことが分かった。目的の一部は今後の研究を待ちたい。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
海外での不具合情報を入手する手段を把握できたことで、国際的視野で植込み型生命維持装置に発生する不具合を掌握できるようになった。その結果、日本では未知の不具合等が発生した場合、本邦で生じた場合の対策等を事前に検討することも可能となり可能性も高くなった。
臨床的観点からの成果
海外と本邦での不具合発生頻度を比較することで、本邦特有の不具合の内容を知ることができ、必要に応じて手技上の問題等を分析し、教育、啓蒙活動等に活用することが可能となった。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
海外での不具合情報を入手する手段が把握されたことで、日本で生じた不具合等の評価を国際的な視野のもとで行える可能性が高くなった。また、不具合報告書で求めている不具合発生率を正しく算出するための信頼性工学の教本を作成したことで、報告書がより科学的、客観的に書かれるようになることが期待できる。
その他のインパクト
行政、関連学会、医療機関、代理店を含む植込み型生命維持装置の製造販売業界、患者を含め、公開シンポジウム「ペースメーカー等の患者さんの安心・安全のために -CDRとは-」が開催され、140名が参加した。この席で、医療機関で患者を管理する体制で、日本不整脈学会のCDR認定制度で認定されたCDRの役割の重要性が浮き彫りにされた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-