文献情報
文献番号
202125008A
報告書区分
総括
研究課題名
「医療用医薬品の販売に係る情報提供ガイドライン」の施行に伴う企業側実体の調査研究
課題番号
19KC2010
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 伸一(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 山浦 克典(慶應義塾大学 薬学部 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、医療用医薬品に関する販売情報提供活動において、口頭説明等の証拠が残りにくい行為、明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用を助長すると考えられる行為、研究論文など企業側の関与が直ちに判別しにくく広告該当性の判断が難しいものの提供といった行為が行われ、医療用医薬品の適正使用に影響を及ぼすおそれが懸念されている。
このような状況を踏まえ、平成30年9月、厚生労働省は、販売情報提供活動において行われる広告又は広告に類する行為を適正化することにより、保健衛生の向上を図ることを目的として、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下、単に「ガイドライン」という。)を策定し、平成31年4月から適用された。
ガイドライン策定に当たって、厚生労働省は、パブリックコメントを行うなどして、広く意見を募っているものの、実際にガイドラインが適用された後は、種々の課題が発生することも想定される。
本研究では、ガイドライン適用後に、企業側の受け止め及び対応状況を調査し、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題を洗い出し、我が国の医療用医薬品販売情報提供活動に係る規制制度への提言及びガイドラインの遵守率が低い場合にはガイドライン遵守率向上に向けた提言を行う。
このような状況を踏まえ、平成30年9月、厚生労働省は、販売情報提供活動において行われる広告又は広告に類する行為を適正化することにより、保健衛生の向上を図ることを目的として、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下、単に「ガイドライン」という。)を策定し、平成31年4月から適用された。
ガイドライン策定に当たって、厚生労働省は、パブリックコメントを行うなどして、広く意見を募っているものの、実際にガイドラインが適用された後は、種々の課題が発生することも想定される。
本研究では、ガイドライン適用後に、企業側の受け止め及び対応状況を調査し、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題を洗い出し、我が国の医療用医薬品販売情報提供活動に係る規制制度への提言及びガイドラインの遵守率が低い場合にはガイドライン遵守率向上に向けた提言を行う。
研究方法
1 地域医療支援病院の医薬品情報業務に対する医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン施行の影響
(1)調査方法
本研究は郵送法による自記式質問紙調査として行った。調査期間は2021年7月9日から2021年7月23日とした。
(2)調査対象
地域医療支援病院625施設に在籍するDI業務の責任者もしくはDI業務の現状を詳しく把握している薬剤師を調査対象とした。
2 医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言
1年目(令和元年度)から3年目(令和3年度)に実施した調査の結果等に基づき、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言の検討を行った。
(1)調査方法
本研究は郵送法による自記式質問紙調査として行った。調査期間は2021年7月9日から2021年7月23日とした。
(2)調査対象
地域医療支援病院625施設に在籍するDI業務の責任者もしくはDI業務の現状を詳しく把握している薬剤師を調査対象とした。
2 医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言
1年目(令和元年度)から3年目(令和3年度)に実施した調査の結果等に基づき、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言の検討を行った。
結果と考察
1 地域医療支援病院の医薬品情報業務に対する医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン施行の影響
調査票の回収率は40.0%(250/625)、有効回答率は97.6%(244/250)であった。
回答した施設の99%がDPC対象病院であり、病床数は200~399床が39%、400~999床が56%であった。また、薬剤師数は21人以上の施設が59%と最も多く、次いで11~20人の31%であった。
2 医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言
1年目(令和元年度)から3年目(令和3年度)に実施した調査の結果等に基づき、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制について、以下の3項目について、検討を行った。
(1)医薬品製造販売業者及び医薬品卸売販売業者によるガイドラインに規定される社内体制の整備
(2)医薬品製造販売業者によるガイドラインに規定される審査、報告等の運用
(3)医薬品製造販売業者から病院薬剤師に対する情報提供
調査票の回収率は40.0%(250/625)、有効回答率は97.6%(244/250)であった。
回答した施設の99%がDPC対象病院であり、病床数は200~399床が39%、400~999床が56%であった。また、薬剤師数は21人以上の施設が59%と最も多く、次いで11~20人の31%であった。
2 医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制の課題と提言
1年目(令和元年度)から3年目(令和3年度)に実施した調査の結果等に基づき、医療用医薬品の販売情報提供活動に係る規制について、以下の3項目について、検討を行った。
(1)医薬品製造販売業者及び医薬品卸売販売業者によるガイドラインに規定される社内体制の整備
(2)医薬品製造販売業者によるガイドラインに規定される審査、報告等の運用
(3)医薬品製造販売業者から病院薬剤師に対する情報提供
結論
ガイドライン策定のきっかけの一つとなった、医療用医薬品に関する販売情報提供活動において、明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用を助長すると考えられる行為、企業側の関与が直ちに判別しにくく広告該当性の判断が難しいもの(研究論文等)の提供といった行為を防止するための企業側の体制等については、概ね、整備されていることから、今後も、これらの体制が維持され、適切に運用されるよう、各企業が自己点検するとともに、各企業が加盟する業界団体も、適切な時期に、会員企業の状況を確認することが必要である。
ガイドライン施行が理由で、患者に対する薬物治療に必要な情報を適切に入手できない状況が生じているかについては、さらに、医療関係者、製薬企業等に対して確認し、現状把握を行うことが必要である。仮に、そのような状況が生じていることが確認された場合には、真に情報提供が必要と考えられる情報について、ガイドライン策定の目的を損なうことなく、円滑に医療関係者に提供される条件を検討し、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境を整備する必要がある。
ガイドライン施行が理由で、患者に対する薬物治療に必要な情報を適切に入手できない状況が生じているかについては、さらに、医療関係者、製薬企業等に対して確認し、現状把握を行うことが必要である。仮に、そのような状況が生じていることが確認された場合には、真に情報提供が必要と考えられる情報について、ガイドライン策定の目的を損なうことなく、円滑に医療関係者に提供される条件を検討し、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境を整備する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2022-06-14
更新日
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