薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究

文献情報

文献番号
202125007A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究
課題番号
19KC2008
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
山田 清文(名古屋大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 橋田 亨(地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療職の卒後研修は、医療現場における実践力を習得する上で重要であり、その後のキャリア形成にも影響する。医師の卒後研修のように、薬剤師も免許取得後に一定の研修を受けるべきとの指摘がある。薬剤師の卒後研修制度(レジデント制度)を導入している医療機関はあるものの、その目的はジェネラリストの養成からスペシャリストの養成まで多種多様である。
本研究の目的は、薬剤師の卒後研修の実態を把握し、その課題を明らかにするとともに、今後の薬剤師に求められる機能・役割を踏まえ、卒後研修で必要とされるカリキュラムの考え方を示すことである。
最終年度である令和3年度には、以下3項目の調査研究を実施した。
(1)レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
(2)卒後研修に関するカリキュラムの考え方の作成
(3)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会の開催
研究方法
(1)レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
令和1年度の本調査研究で作成した薬剤師卒後研修プログラム自己評価調査票を用いて、昭和大学統括薬剤部・臨床研修薬剤師制度および千葉大学医学部附属病院薬剤師レジデント制度の自己評価および相互チェックを実施した。
(2)卒後研修に関するカリキュラムの考え方の作成
令和2年度に提案した卒後研修カリキュラム骨子案に基づいて実施される卒後研修を評価するための評価基準案(薬剤師卒後研修プログラム評価票)を日本病院薬剤師会の「卒後臨床研修の効果的な実施のための調査検討事業」特別委員会と共同して作成した。
(3)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会の開催
令和4年1月23日(日)、オンラインにて「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会-薬剤師の卒後研修の在り方を考える-を開催した。
結果と考察
(1)レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
レジデント制度の自己評価・相互チェックに必要な評価基準案(薬剤師卒後研修プログラム自己評価調査票)を作成し、これまでに合計4つの医療機関(福岡大学病院、神戸市立医療センター中央市民病院、昭和大学病院、千葉大学医学部附属病院)のレジデント制度の自己評価と相互チェックを実施した。その結果は、何れのレジデント研修も概ね適切に実施されているとの評価となった。一方、評価基準案(薬剤師卒後研修プログラム自己評価調査票)の中項目「卒後研修病院としての教育研修環境が適切である」、「修了者の生涯にわたるフォロー体制がある」等の内容については、各医療機関の現状と労力などを考えると、今後見直しなどの検討が必要と思われる。
(2)卒後研修に関するカリキュラムの考え方の作成
本研究班から提案した卒後研修カリキュラム骨子案を踏まえ、日本病院薬剤師会により「卒後臨床研修の効果的な実施のための調査検討事業」が実施され、現在、その取り纏めが行われている。全国8施設におけるモデル事業の評価には、今回作成した薬剤師卒後研修プログラム評価票が活用される。モデル事業の結果を踏まえ、卒後研修カリキュラム骨子案および薬剤師卒後研修プログラム評価票の最適化を図ることが、薬剤師の卒後研修の質向上とその普及に重要であると思われる
(3)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会の開催 
オンラインによる事後アンケート調査の結果、本調査研究の成果報告会として第一部で報告した卒後研修の現状、課題およびモデル事業に関する参加者の理解度は概ね良好であった。
第二部の討論会では、熱心な討論が行われ、視聴者からも多くの質問が寄せられた。したがって、薬剤師の卒後研修の現状と課題について、関係者で情報共有し理解を深めるという成果報告会の目的は概ね達成できたと考えられる。
結論
(1) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
 相互チェックでは、両医療機関で実施されているそれぞれのレジデント制度は概ね適切に運用されていると評価された。同時に各レジデント制度の改善すべき点あるいは検討すべき点を指摘し、プログラムの改善・充実を図ることを提案した。
(2) 卒後研修に関するカリキュラムの考え方の作成
 令和2年度に提案した卒後研修カリキュラム骨子案に基づいて実施される卒後研修を評価するための評価基準案(薬剤師卒後研修プログラム評価票)を日本病院薬剤師会の「卒後臨床研修の効果的な実施のための調査検討事業」特別委員会と共同して作成し、同事業における卒後研修の評価に用いた。
(3) 薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会の開催
薬剤師の卒後研修の現状と課題について、関係者で情報共有するという成果報告会の目的は概ね達成できたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202125007B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究
課題番号
19KC2008
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
山田 清文(名古屋大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 橋田 亨(地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、薬剤師の卒後研修の実態を把握し、その課題を明らかにするとともに、今後の薬剤師に求められる機能・役割を踏まえ、卒後研修で必要とされるカリキュラムの考え方を示すことである。
研究方法
(1)欧米における薬剤師の卒後研修に関する調査
1. 米国のレジデント制度の現地調査
2. 欧州における卒後研修のアンケート調査と文献調査
(2)卒後研修に関する医療機関、薬学生、レジデント等へのアンケート調査
1.医療機関に対するアンケート調査
2. 薬学生、薬剤師レジデント、レジデント修了者、若手薬剤師に対するアンケート調査
(3)薬剤師レジデント制度の自己評価・相互チェックの体制整備と実施
1. 卒後研修プログラムの自己評価調査票の作成
2. 合計4つの医療機関(福岡大学病院、神戸市立医療センター中央市民病院、昭和大学病院、千葉大学医学部附属病院)のレジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
(4) 卒後研修に関するカリキュラムの考え方の取り纏め
1. 卒後研修プログラムの骨子案の作成
2. 卒後研修を評価するための評価基準案(薬剤師卒後研修プログラム評価票)の作成
(5)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会-薬剤師の卒後研修の在り方を考える-の開催
結果と考察
(1) 欧米における薬剤師の卒後研修に関する調査
アメリカおよびイギリスで行われている薬剤師免許登録後の自律的な卒後研修は、本邦における卒後研修制度とそのプログラムを考える上で参考になると思われる。さらに、日本で薬剤師の卒後研修制度を検討する場合、アメリカやイギリスなどと同様に日本薬剤師会および日本病院薬剤師会の積極的な関与が必要である。
(2) 卒後研修に関する医療機関、薬学生、レジデント等へのアンケート調査
卒後研修制度については、薬学生、若手薬剤師、レジデント、レジデント修了者の全てが、高い割合で必要と感じていた。特に病院に就職しない場合においても、卒業後に一定期間にわたる病院研修のニーズが明らかとなったことは、今後の薬剤師卒後研修制度を検討する上で最も留意すべき点であると考える。
(3) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
卒後研修プログラムの自己評価調査票を用いて、4つの医療機関のレジデント制度の自己評価と相互チェックを実施した結果、何れのレジデント研修も概ね適切に実施されているとの評価となった。自己評価および相互チェックの結果をホームページ等に公表することにより、薬剤師レジデント制度の認知度や信頼性の向上に繋がるものと考えられる。
(4) 卒後研修に関するカリキュラムの考え方の取り纏め
研修項目については、全ての薬剤師が必ず習得すべき業務を必修項目、選択可能な項目から一つを必修として行う選択必修、各研修施設の状況に応じて可能な範囲で行う選択項目の3種類に分け、具体的な研修プログラムの骨子案を作成した。今後、本プログラム骨子案が、薬局を含めた全国の様々な機能・規模の医療機関等において実施可能かどうか検討する必要がある。
(5)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会
薬剤師の卒後研修の現状と課題について、関係者で情報共有するという成果報告会の目的は概ね達成できたと考えられる。
結論
(1) 欧米における薬剤師の卒後研修に関する調査
アメリカおよびイギリスで行われている薬剤師免許登録後の自律的な卒後研修は、本邦における卒後研修制度とそのプログラムを考える上で参考になると思われる。さらに、日本で薬剤師の卒後研修制度を検討する場合、アメリカやイギリスなどと同様に日本薬剤師会および日本病院薬剤師会の積極的な関与が必要である。
(2) 卒後研修に関する医療機関、薬学生、レジデント等へのアンケート調査
研修内容の作成にあたっては、職能団体や学会、行政をも含めた場で議論深めることが、課題を解決する糸口になると考える。現在、卒後研修の充実と均てん化が求められており、均一で質の高い卒後研修を提供するためには、中小病院でも実施可能な一定期間のカリキュラムの策定が喫緊の課題である。
(3) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
4つの医療機関で実施されているそれぞれのレジデント制度は概ね適切に運用されていると評価された。同時に各レジデント制度の改善すべき点あるいは検討すべき点を指摘し、プログラムの改善・充実を図ることを提案した。
(4) 卒後研修に関するカリキュラムの考え方の取り纏め
今回作成したプログラムの骨子について全国的に実施可能なものかどうか引き続き検討する必要がある。
(5)「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」成果報告会
薬剤師の卒後研修の現状と課題について、関係者で情報共有するという成果報告会の目的は概ね達成できたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202125007C

収支報告書

文献番号
202125007Z