質量分析、分子イメージング、リンパ組織構築等を有効活用した機能性人工タンパク質製剤の高感度な安定性評価法、抗原性試験法の確立

文献情報

文献番号
200838026A
報告書区分
総括
研究課題名
質量分析、分子イメージング、リンパ組織構築等を有効活用した機能性人工タンパク質製剤の高感度な安定性評価法、抗原性試験法の確立
課題番号
H19-医薬・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤研究部 創薬プロテオミクスプロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 水口 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 末松 佐知子(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 吉岡 靖雄(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、疾病治療効果や安定性に優れた“機能性人工タンパク質”を創出し、これらを医薬品として応用しようとする試みが注目されており、タンパク質のアミノ酸配列改変体や各種融合タンパク質、ポリエチレングリコール(PEG)化タンパク質、糖鎖修飾タンパク質などが開発されている。このような機能性人工タンパク質製剤は、第一/二世代のタンパク質製剤とは異なり、分子的に不均一であるうえ、抗原性の危険性を有することが問題となっている。しかし、この第三世代のタンパク質製剤の品質を評価するための基盤技術は未だ不十分と言わざるを得ないのが現状である。そこで本研究課題では、機能性人工タンパク質製剤のレギュレーションを定め、その抗原性ならびに安定性を評価しうる標準試験法確立のための基礎検討を行った。
研究方法
本年度は、昨年度の研究結果を背景として、機能性人工タンパク質の抗原性を試験する上で必要な要素技術である、HLA精製技術・人工リンパ節構築技術の構築を推進した。また、この技術をもとにして、抗原性を評価する上で必須と考えられる、新規遺伝子導入技術の開発を行った。
結果と考察
本研究では、人工リンパ組織構築有用となるリンパ管内皮細胞の特性解析を行い、リンパ管誘導制御法開発に向けての評価系、およびタンパク質の簡便な構造解析法に関する有用な知見を得ることができた。また質量分析を用いたタンパク質の構造変化解析法に関する基礎検討を行い、タンパク質製剤の活性が構造変化に相関していることを明らかにした。また、siRNA発現カセットを搭載したguttedアデノウイルスベクターは、従来のアデノウイルスベクターと比較して、よい高いRNAi効果を発揮した。人工リンパ節の作製において、A細胞株から分泌されるサイトカインの一種が人工リンパ組織へのリンパ球の遊走と集積に重要な役割を果たしている事を明らかにした。さらに、熱処理したタンパク質製剤には、マクロファージの活性化を惹起する活性を持ち、さらにMHCクラスⅡとペプチドの結合性を指標とした抗原性評価システムの構築に向けて、機能的なMHCクラスⅡの精製に成功した。
結論
本結果から得られた基盤技術の有用性を検証すると共に最適化することで、今後、機能性人工タンパク質の品質(抗原性・安定性)評価法が確立できるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-