C型肝炎救済のための調査研究及び安全対策等に関する研究

文献情報

文献番号
202125005A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎救済のための調査研究及び安全対策等に関する研究
課題番号
19KC2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(金沢工業大学 加齢医工学先端技術研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 正木 尚彦(国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 中央検査部門)
  • 岡田 義昭(埼玉医科大学 医学部)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった医療機関で製剤投与が確認された患者(病院調査群)及び、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した患者(原告団調査群)を対象として、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与判明者の背景因子を調査することによって、製剤の不活化処理の効果、感染リスクを明らかにすること
研究方法
調査対象は、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった医療機関で製剤投与が確認された患者(病院調査群)及び、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した患者(原告団調査群)の2群を対象として調査を行った。また、2010年3月に最終報告書として公開されている堀内班による原告団調査結果との比較を行った。さらにC型肝炎感染リスクに関する文献のメタアナリシス解析を行い、感染リスクをどのように評価すべきかについて解析した。
 ウエットなC型肝炎ウイルスの不活化効果の評価研究としてβプロピオラクトンの不活化効果の推定を行った。
結果と考察
 データマイニング解析(人工知能)の決定木手法を用いて原告団調査群の特徴を見出すと、下記の2つの集団が抽出された。そのひとつは、診療科が(産婦人科か外科以外)で、かつ使用種別が(静注か糊)で、かつ投与年が(1978年以降)の集団(純度98.0%)であり、もうひとつは、診療科は(外科)で、かつ原疾患は(心臓疾患)で、かつ現在の年齢は(95歳未満)の集団(純度97.1%)であった。
このように、原告団に特徴的な患者背景因子を意識することで、製剤投与者でかつHCV感染者を効率よく診療録の中から見出すことが可能ではないかと考えられた。
 堀内班の調査結果との比較では、東京原告団の協力によって行われた山口班調査結果の対比を行ったところ、被害者の属性、背景因子等に差異のあることが判明した。すなわち、主たる特定血液製剤がフィブリノゲン製剤であること、特定血液製剤投与時期が1985-1989年に集中していることには変わりはないものの、特定血液製剤の投与理由については、堀内班調査では「出産時の出血」がメジャーであったのに対し、山口班調査では「外科的手術」や「その他」へのシフトが認められた。このことは、山口班調査において男性の占める比率が約10%上昇し、特定血液製剤投与時年齢の最頻年代も堀内班調査の20歳代から30歳代へ移行していたことと密接に関連していると考えられた。
結論
フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった4つ医療機関での526名の患者(病院調査群)、及び特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した630名の患者(原告団調査群)、計1156名を対象に、2つの群に共通した9つの患者背景因子(性別、製剤投与時年齢、製剤投与年、診療科、投与量(g)、製剤使用種別、製剤名、2020年時点の年齢、原疾患)を比較検討することにより、HCV感染が確認されている原告団調査群の特徴を検討した。
 HCV感染が確認されている原告団に特徴的な患者背景因子を意識することにより、製剤投与者でかつHCV感染者を効率よく診療録の中から見出すことが可能ではないかと考えられた。
 堀内班の調査結果との比較では 薬害肝炎訴訟への認知が進んでいる可能性はあるものの、いまだ社会に潜在する被害者の掘り起こしには診療録調査の対象とすべき診療科、投与時年齢の拡大が必要であると考えられた

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202125005B
報告書区分
総合
研究課題名
C型肝炎救済のための調査研究及び安全対策等に関する研究
課題番号
19KC2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(金沢工業大学 加齢医工学先端技術研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 正木 尚彦(国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 中央検査部門)
  • 岡田 義昭(埼玉医科大学 医学部)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった医療機関で製剤投与が確認された患者(病院調査群)及び、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した患者(原告団調査群)を対象として、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与判明者の背景因子を調査することによって、製剤の不活化処理の効果、感染リスクを明らかにすること
研究方法
調査対象は、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった医療機関で製剤投与が確認された患者(病院調査群)及び、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した患者(原告団調査群)の2群を対象として調査を行った。また、2010年3月に最終報告書として公開されている堀内班による原告団調査結果との比較を行った。さらにC型肝炎感染リスクに関する文献のメタアナリシス解析を行い、感染リスクをどのように評価すべきかについて解析した。
 ウエットなC型肝炎ウイルスの不活化効果の評価研究としてβプロピオラクトンの不活化効果の推定を行った。
結果と考察
データマイニング解析(人工知能)の決定木手法を用いて原告団調査群の特徴を見出すと、下記の2つの集団が抽出された。そのひとつは、診療科が(産婦人科か外科以外)で、かつ使用種別が(静注か糊)で、かつ投与年が(1978年以降)の集団(純度98.0%)であり、もうひとつは、診療科は(外科)で、かつ原疾患は(心臓疾患)で、かつ現在の年齢は(95歳未満)の集団(純度97.1%)であった。
このように、原告団に特徴的な患者背景因子を意識することで、製剤投与者でかつHCV感染者を効率よく診療録の中から見出すことが可能ではないかと考えられた。
 堀内班の調査結果との比較では、東京原告団の協力によって行われた山口班調査結果の対比を行ったところ、被害者の属性、背景因子等に差異のあることが判明した。すなわち、主たる特定血液製剤がフィブリノゲン製剤であること、特定血液製剤投与時期が1985-1989年に集中していることには変わりはないものの、特定血液製剤の投与理由については、堀内班調査では「出産時の出血」がメジャーであったのに対し、山口班調査では「外科的手術」や「その他」へのシフトが認められた。このことは、山口班調査において男性の占める比率が約10%上昇し、特定血液製剤投与時年齢の最頻年代も堀内班調査の20歳代から30歳代へ移行していたことと密接に関連していると考えられた。

結論
 フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の納入先医療機関において、フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方の診療録(カルテ等)について自主的に調査をおこなった4つ医療機関での526名の患者(病院調査群)、及び特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者で和解が成立した630名の患者(原告団調査群)、計1156名を対象に、2つの群に共通した9つの患者背景因子(性別、製剤投与時年齢、製剤投与年、診療科、投与量(g)、製剤使用種別、製剤名、2020年時点の年齢、原疾患)を比較検討することにより、HCV感染が確認されている原告団調査群の特徴を検討した。
 HCV感染が確認されている原告団に特徴的な患者背景因子を意識することにより、製剤投与者でかつHCV感染者を効率よく診療録の中から見出すことが可能ではないかと考えられた。
 堀内班の調査結果との比較では 薬害肝炎訴訟への認知が進んでいる可能性はあるものの、いまだ社会に潜在する被害者の掘り起こしには診療録調査の対象とすべき診療科、投与時年齢の拡大が必要であると考えられた

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202125005C

収支報告書

文献番号
202125005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,500,000円
(2)補助金確定額
8,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,126,015円
人件費・謝金 2,755,320円
旅費 741,620円
その他 2,877,045円
間接経費 0円
合計 8,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-