妊活者を対象としたいわゆる健康食品(保健機能食品を除く)の提供・消費の実態把握と課題抽出、及び安全確保のためのリスクコミュニケーション方策の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202124045A
報告書区分
総括
研究課題名
妊活者を対象としたいわゆる健康食品(保健機能食品を除く)の提供・消費の実態把握と課題抽出、及び安全確保のためのリスクコミュニケーション方策の確立に向けた研究
課題番号
21KA3004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
和田 安代(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上岡 洋晴(東京農業大学 地域環境科学部教養分野)
  • 吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科)
  • 逸見 治(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,957,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる「健康食品」(以下、健康食品)のうち、その他のいわゆる「健康食品」に関しては、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品)とは異なり、審査・届出の公式書類がなく、かつ法律の定義がないこと等から、その実態は把握しにくく、安全性や有効性のエビデンスは不明である。健康食品を購入する層は様々であるが、中でも妊活者(不妊治療を行っている者を含む)の利用は、保険適用化等の体制整備も相まって今後ますます増加すると考えられる。不妊治療の成功率が高くないために、妊活者は妊娠を目指し、不妊治療以外にもあらゆる手段を用いると考えられ、特に、サプリメント等の健康食品を選択する場合が多いと考えられる。しかしながら、不妊治療者を含む妊活者が、どのような健康食品を摂取しているか等の実態については報告されていない。そこで、本研究は、妊娠目的と考えられる健康食品における健康被害や、関連して発生している販売者・消費者間のトラブルの実態および妊活者を対象とした健康食品摂取の実態と課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
研究方法は、1)妊娠目的と考えられる健康食品における健康被害や、関連して発生している販売者・消費者間のトラブルの実態を把握するため、消費者庁「事故情報データバンクシステム」と医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全・有効性情報:被害関連情報」を用いてキーワード検索を実施した。2)妊活者の健康食品に対する実態や意識等に関する調査をインターネット調査によって行った。調査対象は、25-39歳の女性、既婚、子どもがいない者2万人を対象に第一次調査を行い、そのうち妊活中、過去に妊娠経験なし、現在健康食品を摂取している900名を対象に第二次調査の実施と解析を行った。
結果と考察
1)健康被害は2006-2021年の期間において19件で、サプリメント形状(成分が濃縮されたカプセル・錠剤・粉末・顆粒形態の製品)が15件(79%)と最も多かった。被害者(申告者)の年齢は20-50歳代までで、1件の男性の事例以外は女性のものだと推測された。商品などの名称は「妊活用サプリメント」「不妊治療サプリメント」「妊活専用サプリ」等があった。健康被害は消化器障害が10件(53%)と最も多く、皮膚の障害が3件(15%)、その他6件(32%)だった。医師の診察を受けた事例は4件(21%)、診察を受けなかった事例は12件(63%)だった。解約を希望しても満額の返金がなされないというトラブルも多くの事例で共通する等の結果が得られ、日本の妊活者における健康食品の健康被害情報を整理した最初の研究となった。2)妊活者に対する健康食品摂取の実態や課題に関する調査結果は、妊活目的で摂取している健康食品・サプリメントの種類は、1種類が最も多く50.1%の一方で6種類以上と回答した者も3.3%存在しし、またこれまでの妊活のための健康食品に費やした累計費用は、1万円以上5万円未満が最も多い一方で、100万円以上の者も存在する等、妊活に対する層が二極化しているとも考えられた。厚生労働省が示している「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」を知らない、あるいはよくわからないと回答している者が9割以上であり、最も基本的で重要と考えられる食生活指針に関しては周知されていない現状が明らかになった。健康食品の区分については全く知らない者が41%であり、健康食品に関しても、食品選択をする上での知識として周知する必要があると考えられた。摂取している栄養素は、葉酸が最も多いが、自身が摂取している健康食品に関して強化されている栄養素を把握していない者も存在した。健康食品を摂取する目的は、妊娠の確率を上げるためと回答した者が44%存在し、正しい情報を妊活者に確実に届くような手段を考える必要があると考えられた。
結論
妊娠を促進するような健康食品、とくにサプリメントにおける健康被害の申告が存在し、被害としての症状は比較的軽かったと考えられるが、表面化していない事例が数多くあると考えられた。また、妊活者を対象とした健康食品の実態と課題を明らかにすることで、妊活者が安全な健康食品を選択するために必要な情報等を得ることができ、安全確保のためのリスクコミュニケーション方策の確立にも繋がることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2022-12-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-12-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,957,000円
(2)補助金確定額
2,957,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 720,373円
人件費・謝金 469,492円
旅費 49,158円
その他 1,718,541円
間接経費 0円
合計 2,957,564円

備考

備考
自己負担額   564円

公開日・更新日

公開日
2023-09-07
更新日
-