文献情報
文献番号
200838016A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者の安全確保対策に配慮した採血基準の拡大に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-029
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 佐竹 正博(東北大学医学部 血液学・輸血学)
- 中島 一格(東京大学 医学部血液学、輸血学)
- 田山 達也(東京薬科大学 薬学部 薬化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
採血基準の見直しによる献血者の増大が、最新技術にいかなる経済的影響を与えるかについて、現行のNAT(核酸増幅検査)を例に経済モデルを構築し、費用-便益分析を行い、今後の採血基準の見直しの際に資する基礎資料の提供と現在54歳が採血の上限年齢となっている血小板採血の上限年齢の見直しが可能であるか検討し、献血集団の拡大と献血者の健康保護、血液製剤の安全性確保ならびに献血血液を安定供給することにより安心できる医療を提供できる体制を確保するため、科学的知見に基づいて採血の新基準を設定することが研究目的である。
研究方法
採血基準の変化と献血適格者との関係を考察するためにVVRのどの献血に伴う副作用等に関して日赤血液事業統一システム等からのデータを分析するとともに各種統計資料からNATの経済分析を行った。
結果と考察
採血基準の見直しによる献血者の増大が、最新技術にいかなる経済的影響を与えるかについて、現行のNATを例に経済モデルを構築し、費用-便益分析を行った。その結果、NATは輸血医療の安全性の向上に寄与した反面、費用-便益分析上は、極めて県財政が悪いという結論を得た。今後、献血者が増大した場合も想定して、安全性のコスト面からの再評価が必要にあるであろう。採血基準の見直しの一環として、現在54歳に設定されている血小板採血の上限年齢を見直すことができるか、その可能性を検討した。血小板採血の上限年齢の見直しについては、研究結果から55~59歳代女性でのPC採血はVVRの発生率が非常に高いことが予想される。そして重症例も多くなる可能性が高い。一方、同年代男性のPC採血に高いリスクを予想させる事象は見当たらなかった。したがって、現状では55~59歳の女性からのPC採血は避け、男性だけからのPC採血を導入するのが適切である。同時に、基準の見直しにより血小板の採血量が増え、わが国の血液事業ならびに輸血医療の安定的発展に大きく寄与することになるものと考えられる。
結論
本研究の成果は、日本赤十字社の検査業務等の事業の再構築、血液需要の増大への対処、新たな採血可能集団の開拓、献血者や輸血をうける者の健康保護を図るなどの効果が期待される。
公開日・更新日
公開日
2009-04-10
更新日
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