文献情報
文献番号
200838014A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの薬物依存形成メカニズムとその乱用実態把握に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
舩田 正彦(国立精神・神経センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
- 浅沼 幹人(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科神経情報学分野)
- 青尾 直也(国立精神・神経センター精神保健研究所 薬物依存研究部 )
- 和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所 薬物依存研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)であるN-OH MDMAおよびピペラジン系化合物(1-PP、2-CPP、4-CPP、4-MPP)の精神依存性、自覚効果および細胞毒性の評価とその基盤研究を行った。また、違法ドラッグの評価に関する基礎資料を提供する目的で、民間リハビリテーション施設における薬物依存症者を対象に、違法ドラッグと大麻種子を含む薬物乱用実態に関する疫学調査を実施した。
研究方法
行動解析:マウスを使用して、条件付け場所嗜好性試験法と薬物弁別試験法により、精神依存性および自覚効果の評価を行った。細胞毒性の評価:ドパミン系培養神経細胞CATH.a細胞およびセロトニン系培養神経細胞B65細胞を用いて、細胞毒性(LDH放出量測定)を検討した。疫学調査:無記名自記式による質問紙調査を実施した。
結果と考察
行動解析:N-OH MDMAは報酬効果の発現が認められた。N-OH MDMAの報酬効果発現には、ドパミン神経系が関与することが明らかになった。また、N-OH MDMA およびピペラジン系化合物はMDMAと類似した弁別刺激特性を有することが明らかになった。N-OH MDMAおよびピペラジン系化合物は乱用される危険性が高い薬物であることが判明した。細胞毒性の評価:B65細胞およびCATH.a細胞において、ピペラジン系化合物単独暴露によりLDH放出量の増加が確認され、細胞毒性を有することが明らかになった。疫学調査:主たる依存薬物を違法ドラッグとする症例が認められた。大麻種子の入手経験者の約60%は、大麻の栽培を目的として入手していることが判明した。
結論
違法ドラッグであるN-OH MDMAおよびピペラジン系化合物は、精神依存形成能および類似の中枢作用を有する危険性があるため、(保健衛生上の危害の恐れに応じた)適切な規制が重要である。また、薬物弁別試験法は、MDMA類似化合物、ピペラジン系化合物などの自覚効果の評価に有用である。培養細胞を利用した細胞毒性の評価は、迅速かつ正確な評価法として有用である。こうした一連の薬物評価システムにより、効果的に違法ドラッグの有害作用を解析できる。実態調査の結果から、違法ドラッグ依存症者が確認され、乱用される薬物が多様化していることが確認された。また、大麻種子は鑑賞用と称して販売されるケースが多いが、入手する側は大麻栽培を目的としており、対策が必要である。
公開日・更新日
公開日
2009-03-30
更新日
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