文献情報
文献番号
200838010A
報告書区分
総括
研究課題名
「専ら医薬品」としての規制の範囲に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
海老塚 豊(東京大学大学院 薬学系研究科天然物化学教室)
研究分担者(所属機関)
- 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 大塚 英昭(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 水上 元(名古屋市立大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では,新規に申請のあった品目について「専ら医薬品」であるかどうか判断するための調査を行うとともに,既に「専ら医薬品」リストに収載されている品目で,判断根拠が不明瞭な成分本質(原材料)について,食薬区分の観点から成分検討等を行う.また,既収載品目について,基原の確認のための検討を行う.さらに,強壮を標榜する健康食品中の勃起不全(ED)治療薬類似成分の構造決定を行い,PDE5阻害活性を予測する.
研究方法
品目の成分・本質について国内外の医薬品としての使用実態,毒性,麻薬様作用,含有成分の構造等について文献調査を行うとともに,既収載品目では対象物を入手し,別途,成分検討や分析に関する研究等を遂行した.基原の確認は,成分分析並びに遺伝子解析により遂行した. ED治療薬類似物質においては,単離構造決定を行うとともに,in silicoで活性を予測した.
結果と考察
検討を行った植物系新規品目のうち,数種の品目について専ら医薬品とすべき成分本質であるものと考察した.既収載品目では,以下の結果が得られた.オオバノイノモトソウからは,発がん性のあるptaquilosideは確認されなかった.遺伝子鑑別の結果,昨年度地上部からアリストロキア酸を検出した試料は,カンアオイと考えられた.党参では,ピロリジンアルカロイドを単離し,明らかにアルカロイドが含まれていることを確認した.また,新規のトリテルペン類も単離構造決定した.トケイソウ製品について成分分析を行ったところ,P. edulis由来と考えられる製品が3割強存在し,昨年度の遺伝子鑑別の結果を支持した.パキスタン市場のセロリの一部は,光過敏症誘発性や発がん性のあるフロクマリンを含む偽セロリであることが明らかとなった.健康食品等から新たに発見されたED治療薬類似物質においては,単離構造決定を行うとともに,その活性を予測し専ら医との判断を行った.本研究で構造決定を行った化合物はシクロペンチナフィル,N-オクチルノルタダラフィル,キサントアントラフィル,チオキナピペリフィルである.このうち,後2化合物は,企業においてED治療を念頭にPDE5阻害活性物質として合成,論文報告された物質である.
結論
本研究の成果は,厚労省において食薬区分を行う際の基礎資料となる.さらに,専ら医薬品,違法ドラッグ等の監視・指導行政に貢献する.
公開日・更新日
公開日
2017-05-30
更新日
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