新規手法による食鳥肉におけるカンピロバクター汚染状況の調査に関する研究

文献情報

文献番号
202124026A
報告書区分
総括
研究課題名
新規手法による食鳥肉におけるカンピロバクター汚染状況の調査に関する研究
課題番号
20KA3003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 彩加(岐阜大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 猪島 康雄(岐阜大学 応用生物科学部共同獣医学科食品環境衛生学研究室)
  • 松原 達也(岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,117,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、カンピロバクターによる食鳥肉の汚染状況は分離培養により調査されている。しかし、カンピロバクターは化学的、物理的ストレスにより、通常条件では培養できない損傷菌や、生物学的ストレスにより、生きているが培養できないVariable but nonculturable(VBNC)状態になることが知られる。本研究では新規手法により、食鳥肉のカンピロバクター汚染状況を正確に把握することで、本食中毒低減策の作製に寄与することを目的とする。VBNC状態の菌を含めた生きたカンピロバクターを検出する手法として食鳥肉からPMA-qPCRによるカンピロバクターDNAの検出法を確立する。確立した手法を用いて食鳥処理場及び市販鶏肉における疫学調査を実施することで、真のカンピロバクター汚染状況を明らかにすることが可能となる。
研究方法
令和3年度前半はPMA-qPCR法の最適化を行うとともに、食品サンプルから効率的にDNAを検出するための前処理方法の検討を実施し、疫学調査に用いる検査法を確立した。令和3年度後半は実際に食鳥処理場で採材したサンプルや市販鶏肉におけるカンピロバクター汚染状況の調査を実施した。
結果と考察
PMA Enhancerはグラム陰性菌の生死判定の識別能を向上させる試薬である。本試薬の有無により、C.jejuniの死菌検出が抑制されるかを検証した。PMA Enhancerの添加は生菌の検出に影響を与えず、死菌の検出を大幅に抑制した。PMA Enhancerは死菌の誤判定低減に有効であることが示された。菌種によって最適なPMA濃度が異なることが報告されているため、検証した。PMAxxの濃度を高くしても死菌の誤判定は低減できず、どの濃度においても生菌の検出が抑制されなかった。そのため、マニュアルで推奨される25 µMを使用していくこととした。PMA Enhancerを使用し、様々な濃度のPMA処理を実施したが、死菌の検出を完全に抑制することができなかったため、PMA処理を2回実施し、死菌抑制効果を検証した。PMA処理を2回繰り返すことで、10^5CFU/mLのC.jejuniの検出を完全に抑制することができた。また、鶏肉乳剤にC.jejuniを添加して同様の実験を行ったが、不純物存在下でも完全に死菌の検出を抑制できた。密度勾配遠心法を用いた濃縮・精製ではロスが多いことがわかったため、密度勾配遠心法は実施せず、不純物の混入を増やさないリンス法にてカンピロバクターの回収を行うこととした。
確立した手法を用いて市販鶏肉および食鳥処理場のサンプルにおける疫学調査を実施したところ、培養法では検出できなかったサンプルからカンピロバクター属菌が検出され、VBNC状態の菌の存在が示唆された。また、培養法とPMA-qPCR法で同程度の検出率となり、短時間で結果を出すことのできるPMA-qPCR法の有用性が示された。
結論
死菌の検出を完全に抑制するPMA-qPCR法を確立することができた。予備試験として、食鳥処理場の中抜き後のと体で培養法と確立したPMA-qPCR法によりカンピロバクターの検出を実施し培養法と同程度の検出率でカンピロバクターを検出できた。9月以降、培養法とPMA-qPCR法による食鳥肉におけるカンピロバクター存在状況を調査している。来年度も引き続き調査を続けることで季節性の変動を明らかにすることができる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,752,000円
(2)補助金確定額
2,752,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,063,518円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 53,482円
間接経費 635,000円
合計 2,752,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-05
更新日
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