輸出に向けて加工食品に用いられる食品添加物の安全性評価の加速のための研究

文献情報

文献番号
202124023A
報告書区分
総括
研究課題名
輸出に向けて加工食品に用いられる食品添加物の安全性評価の加速のための研究
課題番号
20KA2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
窪崎 敦隆(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,925,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」(令和元年法律第57号)が令和2年4月1日に施行された。本法律に関連して、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等の中で、我が国の農林水産物・食品の輸出額を「2025年までに2兆円、2030年までに5兆円」へ拡大させることとなっており、令和2年12月15日の「農林水産業・地域の活力創造本部」において、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」が決定された。その中で、「菓子」等の食品添加物を含む加工食品が海外で評価され輸出拡大の余地が大きい品目として挙げられている。現在、日本の加工食品は、諸外国で人気が高く輸出量の拡大が見込まれるが、日本と輸出先国で食品添加物の規制が異なることから、日本で使用が認められている食品添加物を含む加工食品が、輸出先国で食品添加物の使用が認められていないことを理由に輸出できないという問題が生じている。海外に輸出する加工食品に用いられる食品添加物の安全性については、輸出先国としても関心が高く、相手国・地域における食品添加物にかかる評価への対応が輸出促進の課題の一つとなっている。そこで、本研究では、食品添加物、特に天然由来の添加物の規格基準や安全性に関して、欧州がどのような点に着目して評価しているか等について情報を収集し整理することで、輸出拡大のための規制等への対応に関する問題の解決につながる道筋を示すことを目的にした。
研究方法
本年度は、「欧州の透明性規則の施行に伴う欧州の規則及びガイダンス等の変更事項」「欧州の食品添加物の安全性審査等の情報」「毒性病理試験における国際調和の動向」「EHC240における食品中の化学物質に関する食事ばく露評価」「欧州の食品添加物使用許可申請におけるコンサルタントの役割」について調査研究を行った。
結果と考察
欧州では、令和3年3月27日に透明性規則が施行となり、それに伴って食品添加物に関連する規則の改正や新たなEuropean Food Safety Authority(EFSA、欧州食品安全機関)ガイダンス等が発出され、これまで行われていなかった申請の事前相談ができるようになるなど食品添加物の使用許可申請の手続きが大幅に変更されていた。そこで、透明性規則の施行に伴い改正となった食品添加物に関連する規則及びガイダンス等の変更事項を明らかにするとともに、それらの文書に仮訳を付すことで行政官が参考として活用できる資料を作成した。さらに、リスクコミュニケーションの必要性から、欧州委員会やEFSAから申請手続きに関するビデオチュートリアル等の多くの情報の提供があることが確認でき、その内容について整理した。また、欧州の「食品添加物評価のための提出に関するガイダンス」に記載されていた食品添加物の新規の認可申請時に求められる規格基準及び安全性試験について整理したところ、天然由来の食品添加物の規格基準に関して、製造段階で組成の変動がどの程度制御されているかを理解するために、できる限り多くの情報が必要とされていた。安全性試験結果については、国際的に合意された試験ガイドラインの最低要件を満足できなかった試験、又は1987年以降に行われたGLPに準拠しない試験の結果は受理されないと記載されており、日本の既存添加物を申請する際には注意が必要であることが明らかになった。さらに、令和2年度に行った国外への食品添加物の使用許可申請の経験者からの聞き取り調査において指摘されていた事項への対応として、「毒性病理試験における国際調和の動向」と「EHC240における食品中の化学物質に関する食事ばく露評価」について情報の整理を行った。また、昨年度の米国に引き続き、欧州の食品添加物使用許可申請におけるコンサルタントの役割についても情報を収集して整理を行った。
結論
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律が施行されたことを受けて、厚生労働省では農林水産省と共同で食品輸出拡大のため、相手国・地域の規制等への対応強化を進めている。食品添加物に関しては、輸出先国の許可申請等に関する技術支援を行っているが、本研究で得られた情報等を踏まえた申請支援や技術的指導を既に行っており、本研究の成果は、我が国の施策に直接活用されている。今後、輸出先国の新規使用許可申請を希望する企業や団体が出てきた際に、本研究の成果を利活用することにより、技術水準の向上や迅速化に資すると考えられ、食品安全政策の適切な施行に貢献すると考えられた。また、本年度は欧州に関する研究を行ったが、本研究成果は、日EU経済連携協定における衛生植物検疫措置(SPS)に関する専門委員会の対処方針案作成等の基礎資料としても活用できると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-09-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,925,000円
(2)補助金確定額
6,925,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 597,101円
人件費・謝金 1,741,348円
旅費 39,274円
その他 4,547,277円
間接経費 0円
合計 6,925,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-10-02
更新日
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