国家検定の国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
200838008A
報告書区分
総括
研究課題名
国家検定の国際調和に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎智彦(国立感染症研究所 ウイルス2部)
  • 佐々木次雄(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構、品質管理)
  • 堀内善信(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構、生物系審査)
  • 高橋元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 布施 晃(国立感染症研究所 国際協力室)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 鹿野真弓(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構、生物系審査)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国におけるワクチンの国家管理体制を調査し、わが国におけるワクチンの国家管理の在り方について提言する。また、わが国と諸外国の基準では、ワクチンに対する力価試験や安全性試験方法が異なるものもあるので、その整合性を図るべき努力をする。更に、国家検定等を含めたわが国のワクチン品質・有効性・安全性の担保の方策全体の中での承認審査の位置づけやGMP査察のあり方についても考察する。
研究方法
管理体制調査は、研究班員が調査可能な国の担当者に依頼した.今年度は新たに米国を調査した.標準品等の制定に関する国際共同研究としては、日本脳炎ワクチンの力価試験用のWHO国際標準品、百日せきワクチンの台湾国内標準品に協力した.国内試験法の改良としては異常毒性否定試験に替わる方法を検討した.
結果と考察
米国のプロトコール審査は昨年までに調査したEUと比較すると自家試験結果提出内容、GMP査察の実施状況、検定試験の実施対象品目や実施頻度と検定費用等、多くの項目で異なる点が確認された。日本脳炎ワクチンの国際標準品の具体化策が示され国内で製造する候補品がWHOへ提供されることになった。台湾NCLとは台湾国内標準品の標準化試験をサポートした。異常毒性否定試験の代替法を目指し、網羅的遺伝子発現解析法を検討した。
結論
生物学的製剤の国家管理制度については、本年までの調査の積み重ねとして、現地調査とメール等で資料の収集に努めた。その結果、今回の調査で明らかになった点を考慮し、日本がEUと米国のシステムの利点を取り入れ、いかに現状のシステムを改善できるかが今後の課題となった。標準品の作製は知識と技術を備える日本が作製した国際標準品の候補品をWHOに提供することになった。無菌医薬品製造技術の発展及び無菌性バリデーションの実施により、無菌試験自体が形骸化しつつあるが、局方で定められた試験は実施が求められる。アジア各国のワクチン国家検定の現状は、大半の国では従来の技術に基づく検定はある程度試験法が導入された対応されている。しかし、全く新しい技術が要求される新規ワクチンについては、自国でのシステム充実は限界があるために、アジア地域内での協力体制を整えることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200838008B
報告書区分
総合
研究課題名
国家検定の国際調和に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 佐々木次雄(医薬品医療機器総合機構 品質管理部)
  • 堀内善信(医薬品医療機器総合機構 生物系審査部)
  • 高橋元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 布施 晃(国立感染症研究所 国際協力室)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究)
  • 鹿野真弓(医薬品医療機器総合機構 生物系審査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国におけるワクチンの国家管理体制を調査し、わが国におけるワクチンの国家管理の在り方について提言する。また、わが国と諸外国の基準では、ワクチンに対する力価試験や安全性試験方法が異なるものもあるので、その整合性を図るべき努力をする。更に、国家検定等を含めたわが国のワクチン品質・有効性・安全性の担保の方策全体の中での承認審査の位置づけやGMP査察のあり方についても考察する。
研究方法
管理体制調査は、研究班員が調査可能な国の担当者に依頼した.3年間で調査できた国は米国、欧州の5ヶ国およびアジア6ヶ国の計12ヶ国である.
結果と考察
生物学的製剤の国家管理制度調査で品質管理の先進国であるEUと米国の国家検定制度の詳細が判明した。基本的な枠組みはWHOの方針とも一致するものであったが、それぞれの品質管理に関する歴史や生物製剤に関する科学的立場、あるいは政治的な立場を反映して、その実施の方法は異なっている。日本のシステムはWHOの指摘にもあったように、正式なプロトコール審査を行っていないという点で、どちらのシステムとも異なっている。しかし、実際に行っている我が国の自家試験記録の添付内容は米国のプロトコール審査に用いられている内容に近いものとなっている。検定にかかる時間的配分や検定制度上の問題点を考慮し、将来の我が国の国家検定制度を見直すとすると、例えば、サマリーロットプロトコール(SLP)の評価と力価試験を中心とした検定に切り替えていくことが一つと考えられる。その場合には、総合機構が行っているGMP査察結果を現在以上に検定の審査に反映させることができる制度の確立が重要であろう。
結論
わが国の生物学的製剤の品質保証およびロットリリースの制度において、国際的な調和を図れる点は何かを判断するために、まずは各国における生物学的製剤の品質管理および保証の実態調査をおこなった。その結果、わが国と各国の間には制度上の差があることが分かってきた。また品質を管理する上での試験法における国際的調和を図る上での問題点の検討を行い、改良すべき点を明らかにした。今後のわが国の国家検定制度の在り方を考えた場合に、将来的にはSLPの評価を基盤としてそこに必要な安全性試験と力価試験を加えた制度に切り替えることを検討する時事に来ている。その変更に必要な制度および構造上の問題点を洗い出すことも必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国の生物学的製剤の品質保証およびロットリリースの制度において、各国における生物学的製剤の品質管理および保証の実態調査により、わが国と各国の間には制度上の差があることを確認した。わが国の国家検定制度は、将来的には国際的調和を考慮し、サマリーロットプロトコールの評価を基盤とすると供に必要な安全性試験と力価試験を加えた制度を具体化する時事に来ていると判断した。その変更に必要な制度および構造上の問題点を洗い出すことも必要である。
臨床的観点からの成果
生物学的製剤の品質保証システムの構築が完了することにより、臨床現場での有効性と安全性を高めることが期待される。
ガイドライン等の開発
本研究成果により、今後サーマリープロトコールの具体的運用を含めた問題整理を実施することにより、ワクチン等の国家検定制度、GMP基準の整備の足がかりとなることが期待される。
その他行政的観点からの成果
生物学的製剤にかぎらず、国家の役割と安心・安全を約束できる医薬品等の品質保証システムにも活用が期待される。
その他のインパクト
平成20年12月2日に感染研セミナーとして「ワクチン等の国家検定に係わる国際動向と我が国の現状と課題」を開催する。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
第11回ワクチン学会(横浜)・2007.12. で発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Mizukami T, Masumi A, Hamaguchi I., et al.
An improved abnormal toxicity test by using reference vaccine-specific body weight curves and histopathological data for monitoring vaccine quality and safety in Japan.
Biologicals, , 37 , 8-17  (2009)
原著論文2
Hamaguchi I, Imai J-I, Momose H., et al.
Application of quantitative gene expression analysis for pertussis vaccine safety control.
Vaccine, , 26 , 4686-4696  (2008)
原著論文3
Hamaguchi I, Imai J-I, Momose H., et al.
Two vaccine toxicity-related genes Agp and Hpx could prove useful for pertussis vaccine safety control.
Vaccine, , 25 , 3355-3364  (2007)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-