国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究

文献情報

文献番号
200838007A
報告書区分
総括
研究課題名
国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 美保子(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療情報学科)
研究分担者(所属機関)
  • 横井英人(香川大学医学部附属病院)
  • 小出大介(東京大学大学院)
  • 柏木公一(国立看護大学校)
  • 武隈良治((財)医療情報システム開発センター)
  • 土屋文人(東京医科歯科大学歯学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際化を踏まえて、医療機関、関連企業、行政機関にわたる医薬品、医療機器安全性情報の円滑な電子伝達を推進することを目的とする。
研究方法
(1) 医療機器安全性報告について国際協調会議(GHTF)での情報収集を行う。用語集の作成状況について調査・検討する。(2) ICH個別症例安全性報告(ICSR)とISO版ICSRについて比較検討する。(3) MedDRAの現状調査を行い国際的な標準用語集のあり方を検討する。標準病名に関する研究の一環として未コード化傷病名と標準病名のマッチングを行う。(4) 医薬品辞書標準化の国際的動向を調査する。我が国における医療用医薬品の作成を試みる。
結果と考察
(1) N87と日本の医療機器安全性報告システムが基礎とするN32については、決定的違いは概ね4項目と考えられた。ISO/TS 19218はFDAの多くの用語と完全一致した。粒度が粗く大まかな分類にしか使えない。(2) 昨年見出されたISO版ICSRの問題点の多くは改善されていた。ISO版で対応できないビジネス・運用上の問題はICHの導入ガイドで対応する。(3)医薬品の有害事象/副作用情報の国際標準化というMedDRAの当初目的は達成されているが、次の時代の標準としてはさらなる機能開発が必要と考えられ、潜在する問題点を報告した。未コード化傷病名と標準病名は実用レベルでマッチ可能と考えられた。(4) ICH M5「医薬品辞書のためのデータ項目及び基準」の電子化はISOに委ねられ、現在5つのプロジェクトとしてM5とは異なるビジネス要件定義が進行中である。また、我が国の医療用医薬品のうち内服薬と外用薬を基礎とする12,879品目の医薬品辞書の作成を行った。
結論
(1)医療機器安全性情報の伝送についてGHTFの調和はISOも取り込み、少しずつ前進している。本邦でも、特に使用料や更新タイミングなど懸案の多いGMDNは方針を決める必要がある。(2) ISO版ICSRの些細なミスやICH CSRとの齟齬は修正されることとなった。ICHのIGで対応する部分がある。(3) 次の時代の標準としては、MedDRAはさらなる機能開発が必要である。(4) 作成した医薬品辞書は、国際的な医薬品辞書のたたき台として、実用的な医薬品辞書の構築に貢献できると考える。

公開日・更新日

公開日
2009-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200838007B
報告書区分
総合
研究課題名
国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 美保子(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療情報学科)
研究分担者(所属機関)
  • 横井 英人(香川大学医学部付属病院)
  • 小出 大介(東京大学大学院)
  • 柏木 公一(国立看護大学校)
  • 武隈 良治((財)医療情報システム開発センター)
  • 土屋 文人(東京医科歯科大学歯学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際化を踏まえて、医療機関、関連企業、行政機関にわたる医薬品、医療機器安全性情報の円滑な電子伝達を推進することを目的とする。

研究方法
(1) 国際協調会議(GHTF)における医療機器安全性報告の情報収集を行う。用語集に関する調査・検討を行う。(2) ICH医薬品個別症例安全性報告(ICSR)と標準開発団体による規格草案を比較分析する。(3) MedDRAの現状調査を行い国際的な標準用語集のあり方を検討する。標準病名とMedDRA/Jのマッチングを行う。(4) 医薬品辞書標準化の国際的動向を調査する。我が国における医療用医薬品の作成を試みる。
結果と考察
(1) 欧州で電子的不具合報告のパイロットがなされているN87と、日本の報告システムが基礎とするN32の決定的違いは概ね4項目と考えられた。ISO/TS 19218はFDAの多くの用語と完全一致した。(2) ICH E2Bの改訂版E2B(R3)に見られた問題点はガイドラインの改訂等で対応される。ISO版ICSR (HL7で開発)をICH ICSRと比較した。指摘した問題点の多くは、ビジネス・運用上の問題を残し、改訂される。(3) MedDRAの当初目的は達成されているが、次の時代の標準としてさらなる機能開発が必要と考えられる。MedDRA/Jと標準病名マスタのマッチングで、46,330件中いずれかの方法で一致したのは41.3%であった。(4) ICH M5「医薬品辞書のためのデータ項目及び基準」の電子化はISOに委ねられ5つのプロジェクトとして進行中である。我が国の医療用医薬品のうち内服薬と外用薬を基礎とする12,879品目を対象とし、医薬品辞書の作成を試みた。
結論
(1) 医療機器の不具合対策において不具合用語集を作成することは有用である。N32とN87の決定的違いは概ね4項目と考えられ、その対応はシステム的には軽微と考えて良いが、GMDNは本邦でも方針を決める必要がある。(2) ISO版ICSRの些細なミスやICH CSRとの齟齬は修正されることとなった。一部の問題はICHの実装ガイドで対応することとなる。(3) 次の時代の標準としてのMedDRAに必要な機能開発について纏めた。MedDRAと病名マスタは異なるポリシが明らかで、マッチングはかなり困難である。(4) 作成した医薬品辞書は国際的な医薬品辞書のたたき台として実用的医薬品辞書の構築に貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療機器安全性報告について、欧州で電子報告パイロットを行っているN87と、我が国の不具合報告が基礎とするN32の比較を行い、決定的違いは4項目に過ぎないことを明らかにした。医薬品個別症例安全性報告については、ICH仕様に基づいて、ISO規格草案の問題点を特定し、改善に結びつけることができた。また、我が国の医療用医薬品のうち内服薬と外用薬12,879品目を対象として、「成分名、剤形、規格」の3要素からなる医薬品辞書を作成した。
臨床的観点からの成果
本研究は、臨床研究ではなく、医薬品・医療機器の安全対策に貢献するために行われている。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
医療機器安全性報告に関する本研究の成果は、我が国の医療機器不具合報告システムが国際調和を踏まえた新たな仕組みに至るための具体的知見を提供する。国内ではICH準拠の医薬品電子副作用報告が実施されており、今後ISO規格が成立しICHで承認された後は、同仕様が国内にも導入されることが想定されるが、本研究の成果により円滑な新仕様への移行が期待できる。医薬品辞書に関する本研究の成果は国内における実用的な医薬品辞書の構築に貢献できる。
その他のインパクト
第27回医療情報学連合大会(2007年11月)にて「医薬品・医療機器安全性情報の伝達 - 国際的動向と国内における取り組み」と題するシンポジウムを開催した。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小出大介
UMINを利用した個別症例安全性報告システム
薬剤疫学 , 11 , 26-27  (2006)
原著論文2
髙月公博, 小出大介, 古川裕之
日本・米国・英国における安全性情報の電子的報告
月刊薬事 , 49 (4) , 599-606  (2007)
原著論文3
岡田美保子,黒羽真吾,横井英人,小出大介,柏木公一,櫻井靖郎,土屋文人
医薬品・医療機器安全性情報の伝達 - 国際的動向と国内における取り組み
医療情報学 , 27 , 17-18  (2007)
原著論文4
横井英人
医療機器安全性報告
医療情報学 , 27 , 27-30  (2007)
原著論文5
小出大介
医薬品安全性報告-国際的動向と国内における取り組み
医療情報学 , 27 , 23-26  (2007)
原著論文6
柏木公一
医薬品安全性情報の伝達とSNOMED-CT
医療情報学 , 27 , 31-34  (2007)
原著論文7
櫻井靖郎,武隈良治
医薬品安全性情報の伝達におけるMedDRAの役割-国際的動向と国内における取り組み
医療情報学 , 27 , 35-38  (2007)
原著論文8
髙月公博, 古川裕之, 小出大介, 木内貴弘, 宮本謙一, 岡田美保子
大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)を利用した個別症例安全性報告作成システムの予備テスト
臨床薬理 , 38 , 202-  (2007)
原著論文9
小出大介, 岡田美保子
医薬品の電子的個別症例安全性報告
医療情報学 , 28 , 436-  (2008)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-