加工食品の輸出拡大に向けた規格基準設定手法の確立のための研究

文献情報

文献番号
202124019A
報告書区分
総括
研究課題名
加工食品の輸出拡大に向けた規格基準設定手法の確立のための研究
課題番号
20KA1009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 食品部第五室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
  • 佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,357,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、最新の全国食事調査データを用いて、加工食品からの有害な化学物質のばく露量を推計できる手法を開発することを目的とする。
研究方法
研究分担者 佐々木は、日本人の食事記録に基づく加工食品の摂取状況から、農薬等ばく露(摂取)によって生じる健康被害に対する予防対策を講じるために必要な、農薬等が含まれる食品を原料の一部(または全部)とする加工食品の種類とその加工の程度、そしてその摂取量を明らかにした。また、各国の食事調査法のレビューを行い、本研究の中で活用した食品摂取頻度・摂取量調査の対象者数・調査実施期間、調査対象者数と調査日数について比較し評価を行った。
研究分担者 吉池は、日本食品標準成分表2015年版(八訂)に掲載されている加工食品の原材料的食品の配合割合を推測する方法を整理した。加工食品の原材料的食品の配合割合を推測する方法として、日本食品標準成分表に原材料配合割合が記載されている食品と掲載されていない食品に大きく分け、原材料配合割合が記載されていない食品の原材料配合割合を推測する方法を考案した。
研究代表者 中村は、農薬等の物性値から加工食品中の農薬等の残留量比、すなわち加工係数を推定する方法を開発した。また、本研究班で収集した日本人の食品の摂取量、調理加工係数、ならびに、残留農薬等の加工係数のデータを用いて、残留農薬等のばく露量を推定するための実用的なツールを開発し、残留農薬等の食品からのばく露量を算出し、国内外の基準値等と比較した。
結果と考察
①令和2年度厚生労働省委託事業「食品摂取頻度・摂取量調査」において取り纏められた食事調査データから、食事記録をもとに食品を加工レベルに応じて分類するシステムを構築し、日本人における加工食品の摂取状況を調査した。その結果、残留農薬等のばく露(摂取)によって生じる健康被害に対する予防対策を講じるためには、残留農薬等が含まれる食品を原料の一部(または全部)とする加工食品の種類とその加工の程度、そしてその摂取量を明らかすることが必要であると考えられた。また、国内外の食事調査法の相違点を調査した。その結果、食品摂取頻度・摂取量調査から得られたデータは、基礎データとして世界の食事調査に比肩するものであり、食事中の化学物質に関する政策決定にとどまらず、様々な目的の健康・栄養行政に広く資するものであることが示唆された。②日本食品標準成分表2015年版(八訂)に掲載されている加工食品の原材料的食品の配合割合を推測する方法を整理した。まず、加工食品の原材料的食品の配合割合を推測する方法として、日本食品標準成分表に原材料配合割合が記載されている食品と掲載されていない食品に大きく分けることができた。原材料配合割合が記載されていない食品の原材料配合割合を推測する方法には、原材料と加工食品の水分量に着目する方法(乾燥食品と塩蔵食品)、アルコール発酵、酢酸発酵の反応式に着目する方法、原材料と加工食品の成分値から(連立)方程式を用いる方法に分けることができた。③輸出拡大が期待されている日本産農作物のうち、りんご、ぶどう及びトマトに着目し、これらの加工食品における残留農薬の加工係数の予測法を開発した。現状では、加工係数を予測する重回帰モデルの説明率は最大でも31%であったことから、加工係数をより精確に予測するためには、さらなるデータの精査及びモデルの改良が必要であった。また、残留農薬等の長期ならびに短期ばく露量を推計可能なツールを開発し、本研究で収集した①食品の摂取量データ、②調理加工係数データ、③残留農薬加工係数データの情報をもとに算出されたばく露量と国内外の基準値と比較して考察した。その結果、残留農薬のばく露量は、年齢区分における食品への嗜好性が大きく影響することが示唆された。
結論
令和2~3年度の成果として、最新の全国食事調査データを精査し、加工食品を含む食品からの残留農薬等の化学物質のばく露量を推計できるツールを開発することができた。厚生労働行政で活用できるよう、推計に用いた日本人の食品の摂取量、調理加工係数、ならびに、残留農薬等の加工係数に関する情報を取り纏め、データベース化した。本研究で構築したデータベースならびに開発したばく露量計算ツールを用いて、日本人の食事を通じた残留農薬の短期ならびに長期ばく露量を推定することができた。本研究の最終年度(令和4年度)では、特に胎児期におけるばく露による神経行動学的異常が報告されているChlorpyrifosや、市販の国内産や海外産のぶどうのモニタリング試験より検出された農薬(Kresoxim-methyl、Famoxadone、Mandipropamid)の日本人のばく露量を推定し、国内外の基準等と比較して考察する。

公開日・更新日

公開日
2024-01-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-01-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,648,000円
(2)補助金確定額
9,543,000円
差引額 [(1)-(2)]
105,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,979,817円
人件費・謝金 4,818,587円
旅費 94,025円
その他 1,361,432円
間接経費 1,291,000円
合計 9,544,861円

備考

備考
複数人で1000円未満の切り捨てが生じたため、合計額と確定額に差が生じている

公開日・更新日

公開日
2023-09-05
更新日
-