文献情報
文献番号
202124015A
報告書区分
総括
研究課題名
動物性食品輸出の規制対策のための研究
課題番号
20KA1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(星薬科大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 志田 静夏(齊藤 静夏)(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
- 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
29,981,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
EUに動物性食品を輸出するためには、残留物質モニタリング計画B物質のうち、牛及び鶏においてモニタリング部位が肝臓又は腎臓となっている物質について、筋肉を対象とした分析法を開発し、確立した分析法について妥当性評価を実施することにより、モニタリング検査で検出された場合に輸出再開に向けた迅速な対応が取れる体制を整備することを目的とした。また国内の対米輸出食肉取扱施設では、牛枝肉の微生物検査としてSTECの検査が求められている。STECが陽性となった陽性となった検体が由来するロットは、原則加熱加工原料用として国内向けに流通するようになる。他用途としてのブロック肉利用が求められており、STECリスク低減化の手法を示す必要がある。本研究では、国産食用ブロック肉の汚染状況を把握した上で、効果的な微生物コントロール方法を明らかにする研究を行うことを目的とする。
研究方法
鶏の筋肉を対象として12分析法(抗菌性物質29化合物)を確立し、これらの分析法の妥当性評価試験を実施した。牛枝肉のSTEC調査では、2021年4月から2022年2月に7施設の協力のもとに牛枝肉合計163検体について7血清群(O26、O45、O103、O111、O121、O145、O157)のSTECを対象とした調査を行った。供試検体を増菌培養後、STEC7血清群マルチプレックスリアルタイムPCRを行い、分離株の血清凝集試験および生化学的性状試験を行った。また、検体の生菌数の計測を行った。
結果と考察
鶏の筋肉を対象として、タイロシン及びチルミコシン分析法、チルバロシン分析法、③リンコマイシン分析法、ストレプトマイシン及びジヒドロストレプトマイシン分析法、カナマイシン分析法、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファキノキサリン、トリメトプリム及びチアンフェニコール分析法、エンロフロキサシン(シプロフロキサシンとの和)及びノルフロキサシン分析法、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン及びドキシサイクリン分析法、フロルフェニコール分析法、アモキシシリン、アンピシリン及びベンジルペニシリン分析法、ノシヘプタイド分析法及びエンラマイシン分析法の12分析法を確立し、29化合物について妥当性評価試験を実施した。その結果、真度77.3~115.7%、併行精度1.8~9.3%、室内精度2.4~14.2%となり、良好な結果が得られた。また、いずれも定量を妨害するピークは認められず、選択性に問題はなかった。これらの結果から、確立した分析法は鶏の筋肉を対象とした分析法として妥当であることが示された。
牛枝肉のSTEC調査では、1検体(0.6%)からSTEC O157が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。STEC O157が分離された検体および施設において生菌数が比較的高い値を示したことから、施設の環境状況の要因の可能性が考えられた。また、牛肉の消毒効果の検討では、消毒薬として、酸性の過酢酸製剤、酸性化した亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)、中性のエタノール(エチルアルコール)を選択し、牛肉でのSTECの消毒効果を検証した。消毒液の使用量を増やすことや濃度を高めることにより菌数減少の傾向が認められた。消毒薬の種類としては、肉表面に変化を起こさない過酢酸が最も優れていると考えられた。
牛枝肉のSTEC調査では、1検体(0.6%)からSTEC O157が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。STEC O157が分離された検体および施設において生菌数が比較的高い値を示したことから、施設の環境状況の要因の可能性が考えられた。また、牛肉の消毒効果の検討では、消毒薬として、酸性の過酢酸製剤、酸性化した亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)、中性のエタノール(エチルアルコール)を選択し、牛肉でのSTECの消毒効果を検証した。消毒液の使用量を増やすことや濃度を高めることにより菌数減少の傾向が認められた。消毒薬の種類としては、肉表面に変化を起こさない過酢酸が最も優れていると考えられた。
結論
鶏の筋肉を対象としてB物質の抗菌性物質分析法(12分析法、29化合物)を確立し、妥当性評価試験を実施した。その結果、いずれの分析法も良好な結果(真度、併行精度、室内精度及び選択性)が得られ、鶏の筋肉を対象とした分析法として妥当であることが示された。牛枝肉のSTEC調査では、1検体(0.6%)からSTEC O157:H7が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。STEC O157:H7が分離された検体および施設において生菌数が比較的高い値を示したことから、施設の環境状況の要因の可能性が考えられた。培養液から分離されたSTEC7血清群に該当しないstx遺伝子またはeae遺伝子を保有する菌株も分離されたことから指標菌とし食肉の衛生管理に役立つことも考えられた。牛肉の消毒効果の検討では、消毒液の使用量を増やすことや濃度を高めることにより菌数減少の傾向が認められた。消毒薬の種類としては、肉表面に変化を起こさない過酢酸が最も優れていると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2023-09-29
更新日
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