と畜・食鳥処理場におけるHACCP検証方法の確立と食鳥処理工程の高度衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
202124012A
報告書区分
総括
研究課題名
と畜・食鳥処理場におけるHACCP検証方法の確立と食鳥処理工程の高度衛生管理に関する研究
課題番号
20KA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 幸雄(麻布大学 獣医学部)
  • 中馬 猛久(鹿児島大学 共同獣医学部)
  • 山崎 栄樹(国立大学法人 帯広畜産大学)
  • 小関 成樹(北海道大学大学院 農学研究院)
  • 廣井 豊子(帯広畜産大学 畜産衛生学研究部門)
  • 大屋 賢司(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
17,690,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者である廣井豊子は令和3年度末をもって帯広畜産大学を転出し、令和4年度より至学館大学へ転入した。

研究報告書(概要版)

研究目的
平成30年の「食品衛生法の一部を改正する法律」の公布に伴い、と畜場・食鳥処理場については「HACCP に基づく衛生管理」が求められることとなり、1年間の猶予期間を含みつつ令和2年度に施行予定となっている。同体制は事業者が行う内部検証に加え、自治体等が行う外部検証も要件とされる。本研究では、国内全てのと畜場・食鳥処理場において衛生管理システムが適切に構築されていることを検証する手法を構築し、国産食肉・食鳥肉の更なる安全性確保の向上を図ることを目的として検討を進めた。
研究方法
本研究では、(1)と畜場のHACCP外部検証に関する研究、(2)食鳥処理場のHACCP外部検証及び生食用食鳥肉製造加工における高度衛生管理に関する研究、(3)HACCP検証解析手法に関する研究、(4)国際動向を踏まえた情報の収集整理、(5)と畜場等での内部検証に関する研究を分担研究項目として、複数の食肉衛生検査所の協力を得て検討にあたった。
結果と考察
(1)では、ゼロトレランス検証の有用性を確認するため、と畜検査員による枝肉検査・検証時に確認された獣毛、糞便、消化管内容物、レールダスト、フットカッターの汚れ等の異物が付着した枝肉表面を採取し、色調や質感により識別した上で、これらが付着した検体における衛生指標菌数等を解析し、獣毛も糞便等と同様に留意すべき異物であることを明示できた。また、牛体表における腸管出血性大腸菌O157/O26の汚染状況を生産農家毎に調査し、同食中毒菌の検査にあたってのロット設定として同一農家かつ同一と畜解体日の枝肉群を1ロットとすることが妥当との知見を得た。また、豚・牛とたい並びに同外皮を対象に衛生指標菌数分布と病原菌由来遺伝子検出状況との関連性を探索し、生菌数が5 log CFU/cm2以上、腸内細菌科菌群数が2 log CFU/cm2以上を示した牛外皮の一部では、腸管出血性大腸菌関連遺伝子が検出される状況が確認され、対象施設での剥皮前後の工程管理の重要性が示唆された。このほか、馬とたいに対する微生物試験を実施する際の採材部位設定に向けた検討を進め、胸部または腹部を対象とすることが概ね妥当との知見を得た。(2)では、食鳥処理場でのHACCP運用上のCCPと位置付けられる冷却工程について、特に工程管理の適切性を判断するための微生物試験に供すべき採材時間軸を検討し、現行通知で示される処理半ばが妥当であることを裏付ける知見を得た。また、南九州地方で生食用食鳥肉を取り扱う小規模施設の工程管理実態並びにカンピロバクター汚染動態を解析し、汚染防止を更に高度化するために必要となる状況を精査した。(3)では、全国から厚生労働省に報告された検査データの解析に協力し、牛・豚・食鳥における一般生菌数と腸内細菌科群数、並びに食鳥とたいにおけるカンピロバクター数に関する現況について概説した。微生物検査データを衛生指導へ有効活用するためのMoving windows方式の評価手法原案を作成した。(4)では、米国、カナダ、EUの食鳥処理場での工程管理に関して用いられる微生物試験及び関連情報を収集整理し、共通点としては、冷却後工程で採材を行い、カンピロバクター及びサルモネラを試験項目としている内容を確認した。(5)では、内部検証に係る国際情報を収集整理した上で食肉衛生検査所との意見・情報交換を行い、外部検証との連携のとれた形へと内部検証を発展させていくことの意義を確認した。
結論
国内のと畜・食鳥処理場におけるHACCP検証方法の確立に向けて、分担研究課題を着実に進めた。引き続き、国際動向と国内の実態を踏まえた検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2022-06-01
更新日
2022-08-23

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,358,000円
(2)補助金確定額
20,358,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,116,963円
人件費・謝金 4,230,358円
旅費 366,260円
その他 977,915円
間接経費 2,668,000円
合計 20,359,496円

備考

備考
分担研究者1名が自己資金として1496円を負担したことにより、補助金確定額と支出合計額の間に差異が生じた。

公開日・更新日

公開日
2023-09-05
更新日
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