文献情報
文献番号
202124011A
報告書区分
総括
研究課題名
食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究
課題番号
20KA1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 公益事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
28,575,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食品の安全性を確保するために外部精度管理調査プログラムの改善と開発を実施し、食品衛生検査施設等の分析値の信頼性の維持に寄与することを目的とした。
研究方法
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いた残留農薬検査用試料及び器具・容器包装用試料の開発を検討し、微生物検査については、一般細菌検査用試料の開発を行った。また、特定原材料検査においては、パイロットスタディを実施した。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、黄色ブドウ球菌定性試験法についてLOD (Level of detection)50%の推定を行った。食品添加物試験法の妥当性評価では、複数機関による共同試験を行い試験法の評価を行った。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、室間試験における精度管理用試料の調製について検討した。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、検査用試料の均質性を評価するための分析法の確立とマトリックス効果を受けないHPLC-FLDを開発した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤで作製した外部精度管理調査試料に分析値を付与した。
結果と考察
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いて玄米粉を基材として残留農薬検査用試料の作製条件を検討し、回収率の良好な最適条件が確認された。微生物学検査では、コメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発し、食品衛生外部精度管理調査試料として用いることできることが示された。また、36機関参加の下、異なる基材2種を用いた特定原材料検査(乳)のパイロットスタディを実施した。その結果、基材の違いによるキット間差が認められた。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、黄色ブドウ球菌定性試験法について、チャーハン、カレー、チーズケーキ、生うどん、ソーセージを用いて金添加試験を実施した結果、LOD(Level of detection)50%は25 cfu/g~48 cfu/gであった。食品添加物試験法では、「ソルビン酸試験法」(10食品)及び「二酸化硫黄試験法(滴定法)」(6食品)について複数機関による共同試験を行い、いずれの試験法も真度及び室間精度とも良好であった。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、室間試験に向けた精度管理用試料の調製法について検討した結果、市販の精度管理用試料のQC Materialを利用することによって、カカオの測定妨害に対する改良法を評価するための試料を調製した。調製した試料は2機関による改良法の評価によって回収率の改善が確認された。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、検査用試料の調製法の検討において、ホタテガイ試料の均質性を評価し、外部精度管理用として十分均質であることを確認した。また、マトリックス効果に影響されない分析法の開発においては、マトリックス効果を低減できる試料調製法を開発した。さらに、液体クロマトグラフィー/蛍光検出法について、より精密な分離を可能とする絡むスイッチング技術を検討した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤにより開発した残留農薬検査用玄米試料中のクロルピリホス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオンを対象とし、IDMSを用いて高精度化した一斉試験法および超臨界抽出法(SFE法)により分析値を付与した。なお本法を適用するにあたり、添加回収試験により正確さを精密に評価し、対象農薬について一斉試験法とSFE法で同等の分析値が得られることも確認した。
結論
外部精度管理調査プログラムに使用する適正試料の開発において、スプレードライヤで作製した玄米粉の残留農薬用試料は、安定性が期待できる乾試料の作製が可能となった。微生物学検査においてコメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発した。また、黄色ブドウ球菌定性試験法についてLODを推定できた。一方、食品添加物の妥当性評価において、ソルビン酸試験法および二酸化硫黄試験法について共同試験を行い、真度、室間精度ともに良好であった。アレルギー物質検査では、QC Materialを利用することでカカオの測定阻害に対する改良法を評価するための試料が調製できた。また、下痢性貝毒検査用試料調製においてマトリックス効果に影響されない分析法を開発した。さらに、スプレードライヤで作製した残留農薬用玄米試料をIDMSによる高信頼性分析により分析値を付与した。
公開日・更新日
公開日
2022-09-22
更新日
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