医薬品等の品質・安全性に係る国際的動向を踏まえた評価に関する研究

文献情報

文献番号
200838002A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の品質・安全性に係る国際的動向を踏まえた評価に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 早川 堯夫(近畿大学薬学総合研究所)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は新規医薬品等の品質及び安全性確保基準、製造管理技術・品質確保技術について外国での進捗状況を調査すると共に、外国の技術水準に留意した科学的に妥当性のある品質・安全性確保基準及び製造技術管理技術・品質確保技術の確立及び検証に関する研究とそれらに関連する評価技術開発を行うことを目的とする。
研究方法
以下の点について調査および研究を行った。
1.RNA interferenceを用いた医薬品開発の現状と展望
2.医薬品の製造方法の評価
3.生物薬品の特性・品質評価解析、品質評価法の開発
4.トランスジェニック植物により製造されるタンパク質性医薬品の品質評価等
5.バイオ医薬品の品質・安全性評価
6.腫瘍溶解性ウイルスの品質・安全性確保
7.包括的な医薬品品質監督システムの国際動向
結果と考察
1.RNA interferenceを用いた治療法は有望と考えられるが、飽和、競合、免疫反応の惹起等の毒性に関連した問題点について解決する必要がある。
2.バイオ医薬品製造に関する新しい製剤開発・品質管理アプローチ(QbDアプローチ)の適用の試みなどが行われているが、その適用は限定的であると考えられる。
3.HPAEC-PADを用いた単糖/オリゴ糖分析により各種低分子ヘパリンの構造特性の類似性の評価、デルマタン硫酸エステル/コンドロイチン硫酸エステル等の混入の検出が可能であることを見出した。 
4.トランスジェニック植物を用いて製造される組換えタンパク質性医薬品の生産においてはバンクの樹立と工程管理の確立が重要であることを明らかにした。
5.モノクローナル抗体医薬品の承認申請を含めた評価において共通のプラットホームにより効率的な開発や承認審査が可能となることを明らかにした。
6.非臨床試験では選択性、生物活性、安全性、生体内分布と感染性の評価ウイルス排出の評価等の実施が必要である。臨床試験では血中ウイルス量やウイルスに対する免疫反応のモニタリングなどが重要である。
7.医薬品規制国際会議で議論されている医薬品品質システム(Q10)のガイドラインの導入は必要であるが、日本での適用には数々の問題点があることを明らかにした。
結論
これらの成果は、外国と同水準の品質/安全性を保証できる品質/安全性確保基準および製造管理技術・品質確保技術の確立、検証、評価、外国で開発された製品の迅速な患者への提供などに貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200838002B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品等の品質・安全性に係る国際的動向を踏まえた評価に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 早川 堯夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構  近畿大学 薬学総合研究所)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は新規医薬品等の品質及び安全性確保基準、製造管理技術・品質確保技術について外国での進捗状況を調査すると共に、外国の技術水準に留意した科学的に妥当性のある品質・安全性確保基準及び製造技術管理技術・品質確保技術の確立及び検証に関する研究とそれらに関連する評価技術開発を行うことを目的とする。
研究方法
以下の点について調査および研究を行った。
1.新規医薬品の品質基準の評価、特性・品質解析等
2.医薬品の製造方法の評価
3.生物薬品の特性・品質評価解析、品質評価法の開発
4.トランスジェニック植物により製造されるタンパク質性医薬品の品質評価等
5.バイオ医薬品の品質・安全性評価
6.遺伝子治療用医薬品の品質・安全性評価に関する研究
7.包括的な医薬品品質監督システムの国際動向とありかた
結果と考察
1.タンパク質及び低分子化合物の分子標的薬を用いた抗血管新生療法、RNA interferenceを用いた治療法は有望と考えられるが、克服すべき課題もある。
2.バイオ医薬品製造に関するQbDアプローチの適用の試みなどが行われているが、その安全性、有効性への影響予測は難しく適用は限定されると考えられる。
3.HPAEC-PADは同一あるいは異なるJANを持つ低分子量ヘパリンの異同及び不純物の評価に利用できる。同一アミノ酸配列のフォリトロピンα及びβの糖鎖プロファイルはよく似ていた、 
4.トランスジェニック植物を用いた組換えタンパク質性医薬品の生産において植物特異的な糖鎖を付与しない発現系、バンク、工程管理の確立が重要である。
5.抗体医薬品の安全性については、新たな試験法の開発及び非臨床試験系の妥当性の検証、品質については共通のプラットホームを前提とした効率的な開発や承認審査が求められる。
6.臨床開発段階のバイオ医薬品及び遺伝子治療薬の非臨床試験におけるウイルス安全性、ウイルスベクターのshedding、腫瘍溶解性ウイルスについて考慮すべき問題点を考察した。
7.ICHの医薬品品質システム(Q10)のガイドラインの導入は必要であるが、その適用には問題点があり、国際的な品質基準作成と国内における基準の統一化が必要である。
結論
これらの成果は、外国と同水準の品質/安全性を保証できる品質/安全性確保基準および製造管理技術・品質確保技術の確立、検証、評価、外国で開発された製品の迅速な患者への提供などに貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.抗血管新生療法、RNA interferenceを用いた治療法の開発において克服すべき点について明らかにした。
2.HPAEC-PADは同一あるいは異なるJANを持つ低分子量ヘパリンの異同及び不純物の評価に利用できることを明らかにした。
3.トランスジェニック植物を用いた組換えタンパク質性医薬品の生産における問題点について明らかにした。
4.抗体医薬品の安全性、品質確保における問題点を明らかにした。
臨床的観点からの成果
1.遺伝子治療薬による遅発性有害事象のリスクの評価法と被験者の長期フォローアップ観察実施の判断、長期フォローアップ観察の実施において考慮すべき事項及び問題点を明らかにした。
2.遺伝子治療用ウイルスベクターを投与した患者からのウイルス/ベクター排出試験に関して臨床試験計画で考慮すべき事項及び問題点を明らかにした。
3.腫瘍溶解性ウイルスの安全性確保について臨床試験で考慮すべき事項及び問題点を明らかにした。
ガイドライン等の開発
ICHの品質システム(Q10)のガイドライン作成に以下のように関与した。2007年11月にQ8,Q9, Q10のガイドラインの導入・実践を推進するために、Q&Aを作成する方針が立てられた。2008年6月にQ8, Q9, Q10に関連する課題を列挙し、Knowledge management, Quality by Design, Quality systemの領域にわけてQ&A案を作成した。2008年11月に多くのQ&Aが仮採択され、2009年3月に約20のQ&Aが最終合意された。
その他行政的観点からの成果
2007年秋?2008年春、主に米国において,ヘパリンナトリウムを使用した患者に、ヘパリンナトリウムに混入された高度に硫酸エステル化されたコンドロイチン硫酸エステル(OSCS)による有害事象が発生した際、低分子量ヘパリン製剤にもOSCSが混入されていることが国際的な問題となった。本研究で得られたPAEC-PADは同一あるいは異なるJANを持つ低分子量ヘパリンの異同及び不純物の評価に利用可能という結果は、今後の日局各条ヘパリンナトリウム等の純度試験法整備に応用できるものと期待される。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
19件
原著論文(英文等)
72件
その他論文(和文)
54件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
104件
学会発表(国際学会等)
11件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
9件
その他成果(普及・啓発活動)
37件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kawanishi T.
Regulatory perspectives from Japan - comparability of biopharmaceuticals.
Biologicals , 34 , 65-68  (2006)
原著論文2
新見伸吾
Follow-on Biologics ワークショップ (Follow-on たん白質製剤の類似性の評価における科学的な問題点)の報告
医薬品研究 , 37 (8) , 526-540  (2006)
原著論文3
新見伸吾、原島 瑞、日向昌司、他
血管新生療法の現状と展望
医薬品研究 , 37 (10) , 641-670  (2006)
原著論文4
早川堯夫
局方の国際調和と日本薬局方の今後の動向
医薬品研究 , 37 (10) , 676-696  (2006)
原著論文5
早川堯夫
第十五改正日本薬局方の概要、医薬品各条(生物薬品)及び今後の動向
医薬品研究 , 37 (11) , 769-788  (2006)
原著論文6
Yamaguchi T., and Uchida E.
Regulatory aspects of oncolytic virus products.
Curr. Cancer Drug Target , 7 , 203-208  (2007)
原著論文7
早川堯夫
Biotechnology(品質)に関するガイドラインの動向について
医薬品研究 , 38 (1) , 14-23  (2007)
原著論文8
山口照英
Gene Therapy Discussion Groupの動向について
医薬品研究 , 38 (2) , 50-59  (2007)
原著論文9
山口照英
ICH遺伝子専門家会議
医薬品研究 , 38 (6) , 277-285  (2007)
原著論文10
川西 徹
平成17年度「日本薬局方の試験法に関する研究」研究報告-バイオ医薬品の日局収載環境の整備に関する研究-
医薬品研究 , 38 (8) , 381-390  (2007)
原著論文11
早川堯夫
品質に関するトピックの動向(Quality Strategy Discussion)
医薬品研究 , 38 (8) , 391-406  (2007)
原著論文12
山口照英、土屋利江
細胞組織利用医薬品・医療機器の安全性とその有用性評価
YAKUGAKU ZASSHI , 127 , 839-840  (2007)
原著論文13
Kawasaki, N., Itoh, S., Hashii, N., et al.
Mass spectrometry for analysis of carbohydrate heterogeneity in characterization and evaluation of glycoprotein products.
Trends in Glycosci. Glycotech. , 20 , 97-116  (2008)
原著論文14
新見伸吾、原島瑞、日向昌司、他
癌に対する抗血管新生療法の現状と展望(その1)
医薬品研究 , 39 (1) , 1-37  (2008)
原著論文15
新見伸吾、原島瑞、日向昌司、他
癌に対する抗血管新生療法の現状と展望(その2)
医薬品研究 , 39 (6) , 359-387  (2008)
原著論文16
原園 景、川崎ナナ、伊藤さつき、他
質量分析法を用いたペプチド及びタンパク質性医薬品の確認試験法に関する研究
医薬品研究 , 39 (10) , 627-646  (2008)
原著論文17
橋井則貴、川崎ナナ、髙倉大輔、他
ヘパリン純度試験に関する研究(第1報)1H-NMRによるヘパリンナトリウム純度試験に関する研究
医薬品研究 , 39 (10) , 651-659  (2008)
原著論文18
橋井則貴、川崎ナナ、髙倉大輔、他
ヘパリン純度試験に関する研究(第2報)1H-NMRによるヘパリンカルシウム純度試験に関する研究
医薬品研究 , 39 (10) , 660-664  (2008)
原著論文19
掛樋一晃、木下充弘、橋井則貴、他
ヘパリンナトリウム純度試験に関する研究(第3報)キャピラリー電気泳動法によるヘパリンナトリウム不純物の分析
医薬品研究 , 39 (11) , 713-720  (2008)
原著論文20
川崎ナナ、橋井則貴、杉本直樹、他
ヘパリン純度試験に関する研究(4) 合成過硫酸化コンドロイチン硫酸の日局標準品としての適用性の評価
医薬品研究 , 39 (11) , 721-729  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-