「栄養表示基準における栄養成分の分析方法」の測定精度向上のための研究

文献情報

文献番号
200837058A
報告書区分
総括
研究課題名
「栄養表示基準における栄養成分の分析方法」の測定精度向上のための研究
課題番号
H20-食品・若手-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松本 輝樹(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム )
研究分担者(所属機関)
  • 竹林 純(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品への成分表示は、公定法による分析値に基づいている。本研究では、公定法のうちMBA (微生物定量法) を主たる測定法として採用している栄養素について、測定精度を向上すべく分析方法の改良を行うと共に、現在適用が限定されているHPLC法について、前処理法を改良することによる適用範囲の拡張について検討する。本年度は、VB12及び葉酸に着目し、MBAにおける問題点を明確にすると共に、測定誤差の一因となっている煩雑な分析操作の簡便化について検討した。
研究方法
1. VB12のMBAで用いる定量菌はVB12以外の因子によっても増殖することから、その補正法としてアルカリ耐性因子 (ARF) を用いた方法が知られている。そこで、ARFによる補正の妥当性について検討した。
2. 操作の煩雑さが分析精度の一因として考えられるため、VB12のMBAに関し簡便化を行い、その妥当性を検討した。また、食品サンプルの測定を行い、ARFに対する補正の影響及び標品添加回収実験を検討した。
3. 葉酸は不安定な物質であり、熱等により分解する。公定法ではオートクレーブ処理が含まれているが、その影響について検討を加えた。
結果と考察
1. 入手可能なコバラミンに対してアルカリ処理を行い、全てのもので活性が消失することを確認し、ARFによる補正の妥当性を示した。
2. 分析操作の簡便化: 凍結保存菌の利用やスケール変更が結果に影響しない、低濃度で検量線が高い直線性を示す。実サンプルの測定: ARF補正により測定値が30 %程度減少する、アルカリ処理による着色の弊害。添加回収実験: マトリックスの影響がないこと、などが明らかとなった。
3. 葉酸のオートクレーブ処理により5.6 %が分解することが明らかとなった。現在の公定法では2回のオートクレーブ処理を行うが、標準溶液に関しては行わないため、過小評価している可能性が示された。
結論
MBAの分析操作について検討した結果、現在の方法では種々の問題点があることが明らかとなった。今後は分析精度を高めるためにこれらの問題点を解決し、分析法の改良を行う必要性があると考えられる。しかし、MBAにおいて食品マトリックスによる影響を完全に除くことは困難であるため、他の分析法による補完・代替が非常に重要であると考えられる。次年度はそのための分析法として、HPLC法について重点的に検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-