自然毒のリスクプロファイル作成を目指した調査研究

文献情報

文献番号
200837052A
報告書区分
総括
研究課題名
自然毒のリスクプロファイル作成を目指した調査研究
課題番号
H20-食品・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
塩見 一雄(東京海洋大学 海洋科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長島 裕二(東京海洋大学 海洋科学部)
  • 荒川 修(長崎大学 水産学部)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 佐竹 元吉(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自然毒による健康被害の防止に資するために、自然毒のリスクプロファイルを作成する。近年問題になっている(あるいは今後問題になる可能性がある)新しい自然毒についても知見をできるだけ蓄積し、暫定的なリスクプロファイルを作成する。
研究方法
フグ、ハコフグおよび小型巻貝の毒性をマウス試験法で調べるとともに、小型巻貝の毒成分はLC/MSで分析した。テトラミンについては、中毒患者の血中テトラミンをLC/ESI-MSで定量した。さらに、スギヒラタケ中の細胞毒成分の単離を溶媒分画およびカラムクロマトにより試みた。リスクプロファイルに関しては様式を検討するとともに、国内外の文献調査に基づいてリスクプロファイル(案)を作成した。
結果と考察
(1)供試した17種フグのうち、アカメフグ卵巣は報告値(強毒)よりも強い猛毒レベルの毒性を示し、毒性評価を改めるべきと考えられた。(2)2008年10月に長崎県で中毒を起こしたハコフグ3個体は、いずれもマウスに対して遅延性致死活性を示した。(3)小型巻貝7種のうちキンシバイのみが有毒であることを認めた。キンシバイは供試した41個体すべてが有毒で、24個体の筋肉または内臓は猛毒と判断された。LC/MS分析により、毒成分としてテトロドトキシン(TTX)のほかに11-oxoTTXの存在が示唆された。(4)血中テトラミン濃度はLC/ESI-MS法により測定できることが判明し、テトラミン中毒は患者の血中テトラミン濃度の測定により特定できると考えられた。(5)スギヒラタケ中の細胞毒成分を単離し、スギヒラタケに特有の共役トリエン型脂肪酸であることを明らかにした。(6)自然毒に関するリスクプロファイルの様式を決定するとともに、リスクプロファイルの概要版も作成して厚生労働省のホームページに掲載する方針を決定した。さらに、データが蓄積されていると思われる自然毒を中心に文献調査を行い、フグ毒、麻痺性貝毒、下痢性貝毒、巻貝唾液腺毒および8種キノコ毒についてはリスクプロファイル(案)を、ハコフグ毒、小型巻貝毒および6種キノコ毒については概要版(案)を作成した。
結論
フグ、ハコフグ、キンシバイ、スギヒラタケの毒性および毒成分に関して新たな知見を得た。また、一部自然毒についてはリスクプロファイル(案)および概要版(案)を作成した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-