食品中の毒素産生食中毒細菌および毒素の直接試験法の研究

文献情報

文献番号
200837050A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の毒素産生食中毒細菌および毒素の直接試験法の研究
課題番号
H20-食品・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鎌田 洋一(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
  • 重茂 克彦(岩手大学 農学部)
  • 山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 宮原 美知子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
毒素が直接の危害因子になっている食中毒に関して、食品の安全安心を確保するため、ブドウ球菌およびセレウス菌の嘔吐毒素、ならびにウェルシュ菌下痢毒素とそれら毒素産生性細菌を、食品中から直接検出する試験法を開発し、食中毒発生予防に貢献する事を目的とする。
研究方法
ブドウ球菌の組換え新型エンテロトキシン(SE)でウサギおよびニワトリを免疫、抗体を得、サンドイッチELISAを構築した。セレウス菌嘔吐毒素(セレウリド)と、Salmonella minnesota株の酸加熱死菌を混合、マウスおよびウサギを免疫した。セレウリド処理後のHEp-2細胞を、連続観察撮影装置によってその形態変化を追跡した。カレーの食材について、ウェルシュ菌、特にエンテロトキシン遺伝子保有菌について調査した。食品中の毒素遺伝子を迅速に検出するため、核酸クロマト法の検出感度について検討した。
結果と考察
オルトフェニレンジアミン発色系ELISAにおいて、0.5から1.0 ng/mlを検出限界として、新型エンテロトキシンであるSEH、SElJ、SElK、SERの検出が可能となった。化学発光系ELISAでは0.1 ng/mlの検出限界をもって、SEG、SEI、SElM、SElNを検出できた。ニワトリIgY抗体による発色系ELISAを検討したところ、l0 ng/mlの検出感度を示した。セレウリドを免疫したウサギ血清およびマウス血清は、セレウリドに対し、陰性コントロール血清より高いELISA吸光値を示した。セレウリド処理後のHEp-2細胞の形態を連続観察したところ、従来よりも短時間で、かつ特殊な技術や経験なくセレウリドの細胞毒性を検出できた。カレーの食材となる肉3種19検体と香辛料6種25検体について、ウェルシュ菌分離とともに、エンテロトキシン遺伝子についてPCR法による検出を試みたが遺伝子陽性のウェルシュ菌は検出されなかった。食品中の毒素遺伝子を検出する新しい方法としての核酸クロマトでは検出コピー数として、10^9から10^10コピーが必要だった。
結論
ブドウ球菌新型エンテロトキシンのELSAによる定量が可能なこと、セレウス菌セレウリドについては抗体作製の可能性とバイオアッセイ法を改良できる可能性が示された。エンテロトキシン産生性ウェルシュ菌の食材汚染は少ないことがわかった。同菌エンテロトキシン遺伝子の食品中からの直接検出には大幅な感度の改良が必要と判断された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-17
更新日
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