食品の規格基準に係る測定値に伴う不確かさに関する研究

文献情報

文献番号
200837048A
報告書区分
総括
研究課題名
食品の規格基準に係る測定値に伴う不確かさに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 英明(東京農工大学 大学院共生科学技術研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Codex委員会において、分析値の不確かさについてのガイドライン(CAC/GL54 2004)が作成され、食品分析値の不確かさを推定し分析値と共に示すことが要請されている。この要請に応えるために、理化学的試験の一例として残留農薬等の分析法、生化学的試験の一例として遺伝子組換え食品の定量分析法、微生物学的試験の一例として生菌数測定法〔集落計数法(寒天培地法)及び最確数法(液体培地法)〕に即して、不確かさの推定方法を検討する。また、不確かさに関する研究やガイドライン策定等に関する国際動向の継続的調査を推進するために、産官学を横断的に結ぶ研究者・技術者ネットワークの構築を目指す。
研究方法
理化学的試験では、平成15-19年の5年間に実施された、食品中の食品添加物、重金属、等を対象とした技能試験結果を解析し、併行精度、室間精度を求めた。生化学的試験では、組換えDNA技術応用食品を対象としたリアルタイムPCR法を取り上げ、全国25機関の協力の下、複数種のリアルタイムPCR機器を用いた共同試験として実施した。微生物学的試験では、平成17?19年度に実施された食品衛生外部精度管理調査の一般細菌数測定データに基づいて不確かさを推定した。情報ネットワーク構築では、11名の委員及び若干名のオブザーバーからなる専門調査委員会を設置した。
結果と考察
理化学的試験では、分析法毎に不確かさの差が認められる場合があったが、HorRat値はから判断される1以下であり、分析法は妥当性確認された方法と判定された。生化学的試験では、人的要因とは別に、リアルタイムPCR機器の性能や、検量線のデザインが測定値の偏りやばらつきに影響を与える主要因の一つとなっていることが明らかになった。微生物学的試験では、拡張不確かさは0.24?0.26(log10)とほぼ一定の値であった。情報ネットワーク構築では、文献情報の分析に際して、統計解析の専門家の協力を得ることが出来るようになった。
結論
室間再現標準偏差、あるいは室間再現相対標準偏差に関連させた値として不確かさを推定する考え方は理化学的試験、生化学的試験、微生物学的試験のいずれの場合も同様である。不確かさを推定する前提はその試験法が妥当性確認されていることであるが、そのためには、試験法の変動の要因分析が重要である。そのことは微生物学的試験において特に顕著である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-