食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究

文献情報

文献番号
200837045A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 福田 茂夫(北海道立畜産試験場 基盤研究部)
  • 石黒 直隆(岐阜大学 応用生物学部)
  • 萩原 健一(国立感染症研究所 細胞化学部)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 堂浦 克美(東北大学大学院 プリオン病学)
  • 山河 芳夫(国立感染症研究所 細胞化学部)
  • 古岡 秀文(国立大学法人帯広畜産大学 畜産学部)
  • 横山 隆(独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所 プリオン病研究センター)
  • 寺尾 恵治(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 北本 哲之(東北大学 医学系研究科創生応用医学研究センター)
  • 村山 裕一(独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)
  • 新 竜一郎(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
116,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
牛海綿状脳症(BSE)プリオンの新しい高感度検出法、BSE感染発症機序の解明、病態や病態マーカーの解析、プリオン構造変換機序やそれに関わる宿主因子の解明、非定型BSEの性状解析、種の壁の解析を通して、ヒトへのリスク解明を目的として研究を行う。
研究方法
定型および非定型BSEに係わる感染発症機序の解明として、近交系マウス、遺伝子組み換えマウス、モルモット、牛、サル等を用いたin vivo研究、プリオン感染細胞や組織等を用いたin vitro研究、種の壁のメカニズムの解明として非定型BSEプリオンの動物への接種、遺伝子組み換えマウス。食肉検査における高感度検出法の開発としてPMCA法やQUIC法の開発、食用となるシカのCWDリスク評価をおこなった。
結果と考察
非定型BSEを接種した牛には75-118日後までには臨床所見はない。BSEプリオン接種モルモットは小脳皮質萎縮を来す病変が特徴的であった。非定型BSEプリオンを接種したマウスにはプリオンの蓄積は検出されなかった。PrPscの取り込み及び感染成立に関与する生体側因子の同定を進めた。BSEプリオンを接種したカニクイザルの血液、脳脊髄液及び尿中のタンパク質を網羅的に解析し同定する為に必要な技術の検討を行なった。スクレイピー由来のマウスプリオン接種マウスの延髄前庭核付近における宿主遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイ法で検討した。プリオンの産生に影響する宿主因子としてGabrb1を発見した。TgBoPrPでの潜伏期は定型BSEに比べて短かった。ヘテロのHu129M/Vマウスは、ヘミのHu129M/0と比べて、そしてHu219E/KマウスはホモのHu219E/EやHuPrP219K/Kと比べて明らかに異常型プリオン蛋白の沈着量が少なかった。脳内接種したカニクイサル3頭すべてが発症した。定型BSE増幅条件下では、非定型BSE PrPScの増幅はほとんど認められなかった。
結論
非定型BSEプリオンは定型例と性状が異なっていた。定型BSEプリオンのモルモットへの伝達試験が成功し、また脳内接種サルが3頭とも発症した。ヒト型プリオン蛋白を導入したvCJDプリオンの感染実験が順調に進んだ。PrPscの取り込み及び感染成立に関与する生体側因子の同定、プリオンの産生に影響する宿主因子の発見、スクレイピー由来のマウスプリオン接種マウスの延髄前庭核付近における宿主遺伝子発現変化として、ケモカインの発現が有意であったことなどの成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-18
更新日
-