検査におけるサンプリング計画並びに手順のハーモナイゼイションに関する研究

文献情報

文献番号
200837044A
報告書区分
総括
研究課題名
検査におけるサンプリング計画並びに手順のハーモナイゼイションに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部 )
  • 花岡 研一(独立行政法人水産大学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
検査対象となる母集団(ロット等)を代表する試料が目的に応じて適切に採取(サンプリング)されることが、得られた分析値に基づき対象母集団の適合性を判定する上での前提条件であり、特に行政上の行動においてはその正当性の根拠として重要である。本研究では、分析値の運用の際に適切な科学的根拠を与えうるサンプリング計画及び手順の確立と標準化を目的とした。
研究方法
国内外で運用あるいは推奨されているサンプリング計画を整理しその性能をモンテカルロ法により作成したOC曲線に基づき比較した。また、同シミュレーションの手法を用い、 不均一分布を対象としたサンプリング計画の最適化を検討した。不均一分布の原因となりうる食品内での化学物質の局在について文献調査を行った。圃場での生鮮野菜に残留する農薬濃度の実測値をサンプリング並びに分析を通じて得、この実測値に基づきサンプリングに起因する不確かさの推定方法を検討した。
結果と考察
厚労省のモニタリング計画で策定されているサンプリング計画中、残留農薬分析を目的とした計画について、 CodexガイドラインCAC/GL33で推奨される計画と比較した結果、 同程度の性能が得られることが明らかとなった。また、不均一分布を対象としたシミュレーションの結果とも一致するが、対象母集団の分布型を考慮し抜き取りサンプル数等を決定することが分析値の信頼性確保並びに検査の効率化に有効であることが示された。さらに、加工食品等に比べて管理水準の低い生鮮野菜等の食品中では化学物質濃度が非常に広い範囲に分布しており、これから推定される不確かさは検査の実効性を損ねるほどの大きさとなった。
結論
サンプリング計画や手順を標準化するためには、その前提として検査の目的を明確にすべきである。そのためには、消費者危険と生産者危険、化学物質のリスク、分析コスト等の総合的な考慮と判断が必要である。内容は統計学的に規定されるものであるため、現在運用されている計画や国際的なガイドライン等の十分な検討が不可欠である。また、母集団中での化学物質の分布型が重要な要素であることが明確に示された事から、今後も種々の分布型を対象とした検討を継続して行う。サンプリングに起因する不確かさについては、理論研究が先行し国際的な標準化が進められようとしている中で、実測値に基づいた推定方法を確立し分析における影響を明らかにすることは、学術的価値のみならず行政上の有用性が高い。

公開日・更新日

公開日
2009-04-17
更新日
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