文献情報
文献番号
202122067A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科口腔保健の推進に資するう蝕予防のための手法に関する研究
課題番号
21IA2020
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
相田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野)
研究分担者(所属機関)
- 晴佐久 悟(福岡看護大学 基礎・基礎看護部門 基礎・専門分野 )
- 濃野 要(新潟大学 医歯学総合研究科口腔生命福祉学講座)
- 竹内 研時(東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野)
- 磯﨑 篤則(朝日大学 朝日大学歯科衛生士専門学校)
- 荒川 浩久(神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔科学講座)
- 石塚 洋一(東京歯科大学 歯学部)
- 古田 美智子(九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野)
- 松山 祐輔(東京医科歯科大学 国際健康推進医学分野)
- 廣瀬 晃子(朝日大学 保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
1,384,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2021年5月の世界保健機関(WHO)の第74回世界保健総会にて、口腔保健の決議が採択された。これは、世界的に強かった「う蝕は減った」というイメージが、最近約10年の国際的な調査で見直されたことが大きな契機である。具体的には、う蝕をはじめとする歯科疾患は、過去より改善していても、他の病気と比べると極めて有病率が高く、健康格差も存在し、そのため他の非感染性疾患(NCDs)と同様に国民全体の大きな負担となっている事実である。こうした背景からWHOの決議では歯科疾患の予防と治療の重要性がユニバーサルヘルスカバレッジの観点と合わせて重視されている。有病率と健康格差も大きいう蝕の減少には、どのような家庭環境や経済状況の人にも恩恵のあり、エビデンスと安全性が数十年にわたる研究と実践から確認されている、集団フッ化物洗口の効果が大きい。この施策に関して、「フッ化物洗口ガイドライン」及び「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」が平成15年に策定・作成された。しかしこれ以降、フッ化物洗口に用いられる薬剤の多様化等、フッ化物洗口を取り巻く状況は変化しており、令和元年6月にとりまとめられた「歯科口腔保健の推進に係るう蝕対策ワーキンググループ」報告書においても、「フッ化物洗口ガイドライン」の見直しを検討すべき旨が記載されていること等の状況がある。そこで本研究では、近年のう蝕とフッ化物洗口の状況を整理し、フッ化物洗口ガイドラインの改訂案を作成することを目的とした。
研究方法
本研究は文献のレビューや行政の情報を収集し、フッ化物洗口の必要性やその方法をまとめ、行政や学校などの施設が集団フッ化物洗口をすすめる際に有用な情報をまとめた。研究は「フッ化物洗口ガイドライン・マニュアル本体更新班」、「フッ化物洗口エビデンス集更新班」、「フッ化物洗口に関するQ&Aの作成、歯科専門職以外にもわかりやすい資料整理作成班」の3つの班によりすすめられ、「フッ化物洗口ガイドライン」の更新版として「フッ化物洗口マニュアル」の作成を行った。
結果と考察
研究の結果、日本においてもう蝕が有病率が高いことで大きな負担となっていることが確認された。そして集団フッ化物洗口には子どものみならずその後の成人期にもう蝕予防効果が認められ、費用対効果にもすぐれ、公衆衛生的に平等性が高く健康格差の縮小効果があることが認められた。これらの知見をとりいれ、「フッ化物洗口ガイドライン」の更新版として集団フッ化物洗口の普及に資するべく「フッ化物洗口マニュアル」を作成した。
結論
近年の日本においても、健康格差や他の病気と比べた際の有病率の高さとそこからくる医療費負担などの観点から、う蝕は依然として重要な健康課題であり、その予防と健康格差縮小のための集団フッ化物洗口の一層の普及が求められる。
公開日・更新日
公開日
2022-06-21
更新日
2022-07-26