ドクターヘリの効果的な運用と安全管理に関する研究

文献情報

文献番号
202122064A
報告書区分
総括
研究課題名
ドクターヘリの効果的な運用と安全管理に関する研究
課題番号
21IA2017
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
猪口 貞樹(東海大学 医学部医学科)
研究分担者(所属機関)
  • 荻野 隆光(川崎医療福祉大学 医療技術学部)
  • 高山 隼人(長崎大学病院 地域医療支援センター)
  • 北村 伸哉(国保直営総合病院君津中央病院 救命救急センター)
  • 早川 達也(聖隷三方原病院 高度救命救急センター)
  • 中川 雄公(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)
  • 土谷 飛鳥(東海大学 医学部 救命救急医学)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 辻 友篤(東海大学 医学部 救命救急医学)
  • 鵜飼 孝盛(慶應義塾大学 理工学部)
  • 高嶋 隆太(東京理科大学理工学部経営工学科)
  • 中村 隆宏(関西大学 社会安全学部)
  • 堤 悠介(独立行政法人国立病院機構水戸医療センター救急科)
  • 鳥海 重喜(中央大学 理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,624,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、持続可能なドクターヘリ運用体制の確立に向けて、日本航空医療学会のドクターヘリ症例登録(以下JSAS-R)およびインシデント/アクシデント データベース(以下JSAS-I/A)を活用したドクターヘリの包括的な品質評価システムを構築し、併せて必要な関連研究を行うことである。
研究方法
①品質評価システムの開発・構築
 1)基本構想
  1.運用:JSAS-R、JSAS-I/Aを用い、各地域ドクターヘリの運用状況を包括的に評価する方法を検討した。質的評価指標(以下QI)のタイプとして「構造」「過程」「結果」、質の次元として「公平性」「適時性」「効率性」「有効性」「安全性」「患者満足度」について、それぞれ検討した。
  2.安全管理:JSAS-I/Aに登録された情報を解析のうえ、これを活用したドクターヘリ安全運航のための評価システムの枠組みを検討した。
 2)評価指標案の作成と可視化
  1.評価指標案の作成:前項の結果を踏まえて各QI指標の算出方法を検討のうえ、登録データを使用して、各項目を試算した。
  2.可視化手法:QI指標の可視化手法を検討した。
②近隣県等との連携に関する調査
 平時及び災害時における近隣県等との連携協定の有無、協定書の内容について全国調査を行い、現状を分析した。さらに研究の成果を踏まえて、協定書のひな型を作成した。
結果と考察
①品質評価システムの開発・構築
 1)基本構想
  1.運用:QI項目案の妥当性等に関して検討を行い35項目を抽出した。
  2.安全管理:JSAS-I/Aに登録された事例(以下I/A)は391件、13/58病院は未入力であった。当事者は医療関係者が多く、事象発生は現場活動中・救急車内が最も多かった。多くはヒューマンエラーで、レベル3a:23件(5.9%)、3b:4件(1%)であった。運航クルーから報告された13件のうち故障による運航停止は11件であった。
  2)評価指標案の作成と可視化
  1.評価指標案の作成:登録データを用いて上記QI項目の試算を行ったところ、24項目が算出可能であった。
  2.可視化手法:棒グラフや散布図など通常の手法に加え、地図上に指標に応じた色分けを行なうヒートマップや個々の施設と全国平均との比較が可能な表示手法等を用いることにした。
②近隣県等との連携に関する調査
 (1)出動地域:地域名、基地病院からの距離、両者併記の3種類の記載が見られた。
 (2)出動要請の要件:多くの地域で自県ヘリを優先し、他県ヘリの要請は、自県ヘリが出動できない、多数傷病者発生、他県ヘリの方が近い、などに限定されていた。
 (3)協定の方法:相互応援(18/29)と共同利用(11/29)があり、主な目的は、前者は自県ヘリの補完、後者はヘリ未導入県および遠距離地域への対応であった。
 (4)局所災害対応:協定書に記載:11/29、その他に記載:8/29、不明10/29で、記載されたものも対象となる状況が明確でなかった。
 (5)費用負担:相互応援の多くは出動側、共同利用は全て要請側の負担であった。
 (6)広域連携協定書のひな型:4通りの連携パターンについて、広域連携協定書のひな型を作成した。
結論
①品質評価システムの開発・構築
 QI項目案を抽出のうえJSAS-Rの実データで試算したところ、うち24項目が算出可能であり、DHの品質管理システムの構築に利用可能と思われた。今後、各基地病院へI/Aの入力を啓蒙するとともに、詳細情報の収集について検討する。
②近隣県等との連携に関する調査
 ドクターヘリを有効活用するため、費用負担の在り方を含め、各地域間の実情に応じた広域連携協定を検討する必要がある。広域連携協定書のひな型を作成した。

公開日・更新日

公開日
2022-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122064Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,410,000円
(2)補助金確定額
3,410,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 875,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 1,749,000円
間接経費 786,000円
合計 3,410,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-05-23
更新日
2022-12-01