次世代の医療情報標準規格への改定等に関する研究

文献情報

文献番号
202122061A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代の医療情報標準規格への改定等に関する研究
課題番号
21IA2014
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 河添 悦昌(東京大学大学院 医学系研究科 医療AI開発学講座)
  • 木村 通男(国立大学法人浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
  • 中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
10,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存の厚生労働省標準、これまで標準化が困難であった家庭・生活圏での健康情報の収集管理などの領域も含めてHL7 FHIRに対応した広範な領域での保健医療情報の標準規格を策定あるいは改訂していく必要が高まっている。既存標準をFHIRに対応させるための課題を整理するとともに、標準化の国際動向を調査し、次世代の新たな標準規格として今後必要となる規格案の作成や、試行的運用を行うことで現行の標準規格の改訂案の作成やその試行的運用など、利用実態に応じた標準規格の見直し等を行う。これにより。改訂や見直しによる影響、今後の運用における課題等を洗い出し、課題を解決するための方策を検討する。
研究方法
本研究の1年目では7つの研究項目を設定し、実施した。1)既存標準コード3マスタの課題分析、2)アレルギー物質のコード表策定、3)国際化動向の調査と分析、4)FHIR日本国内様のコア仕様セットJP Coreの策定、5)既存電子カルテデータベースのFHIRアダプタ開発と課題分析、6)救急医学領域の診療情報共有のための項目セット検討研究との情報共有、7)FHIRデータバリデーション手法と運用方法の検討。
結果と考察
結果:1)既存標準コード3マスタの課題分析
ⅰ) HS027 処方・注射オーダ標準用法規格、ⅱ) HS014:臨床検査マスタ(いわゆるJLAC10)
ⅲ)HS001:医薬品HOTコードマスタ、の3標準についてFHIRで使用する際は必要となる用法コード表の全件表と検査コードのユースケース別URI識別子の整備、HOT9とHOT13における解決すべき課題としてその対応の過不足を充足することが挙げられた。
2)アレルギー物質のコード表の策定として、JFAGYコード表としてz食品2792項目、非食品586項目の計3378項目を作成した。
3)G7各国とオーストラリアについて調査した。カナダではHL7 FHIRはInfowayが定める全カナダ医療情報標準の一つとなっている。ドイツMedical Informatics Initiativeでは各大学病院で、診療データを研究活用するためFHIRに変換する取り組みがなされている。イギリスではNHS デジタルを中心に、オーストラリアではデジタルヘルス庁によりFHIRが推進されるなど公的機関が担っていることがわかった。国内ヒアリング調査では、医療情報標準化の課題として、①電子カルテベンダーに対する標準規格準拠へのインセンティブの不足、2) 標準コードが普及していないなど、必要な取組みとしては②若手人材の早期確保、2) 医療情報標準化を推進する団体・機関の設置、③国内標準コードの普及と必要とされるコードの開発、などが挙げられた。
4)FHIR日本国内様のコア仕様セットJP Coreの策定を関係団体メンバーと行いサイトに公表して日本HL7協会認定仕様となった。5)既存電子カルテデータベースのFHIRアダプタ開発と課題分析を1社の電子カルテで行い、既存データベースとFHIRリソースの対応づけにおける特有の論点を抽出した。6)救急医学領域の診療情報共有のための項目セット検討研究との情報共有を行い、7)FHIRデータバリデーション手法と運用方法の検討として既存の標準コードをFHIR CodeSystemリソースで記述できるようにし、HOT9コード、病名コードなどとともにTerminology Serverに格納して、インスタンスデータをFHIR profileにもとづくValidationが可能なことを示した。
考察:現在の標準とFHIRとの整合性を検討し、コードと交換のための情報記述規格について、FHIRへの対応が可能であるが、コードバインディングを定義していくことが必要であると考えられた。またFHIRで診療情報を記述する際に重要な情報として不足しているアレルギー物質情報についてDRAFT V2を作成できたので、今後は専門学会関係者に検討を依頼し、合意を得たのちに厚労省標準化を目指したい。また国際的な医療情報標準化動向を整理することができ、国内での医療情報標準化の課題なども整理できたので、2年目の研究につなげたい。
結論
主としてコードマスタに関する既存の課題を整理し改善策を提示し、FHIR JP Core(FHIRを国内で流通させる骨格共通仕様)のDraftを公開するとともに、不足するコードとしてアレルギー物質コード表のDraftV2を作成した。一方、既存の電子カルテデータからFHIRデータに変換する際に生じるいくつかの課題について解決方法を提示した。また資料にもとづいて国際的な医療情報標準化動向を整理することができ、国内での医療情報標準化の課題なども整理でき2年目の研究につながる情報が得られた。

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122061Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,000,000円
(2)補助金確定額
14,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,343,776円
人件費・謝金 0円
旅費 581,689円
その他 7,845,195円
間接経費 3,230,000円
合計 14,000,660円

備考

備考
自己資金660円

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-