超高速・簡便な遺伝子組換え食品の新規確定検査法の開発

文献情報

文献番号
200837035A
報告書区分
総括
研究課題名
超高速・簡便な遺伝子組換え食品の新規確定検査法の開発
課題番号
H19-食品・若手-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
張替 直輝(武庫川女子大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 晋(住友ベークライト㈱S-バイオ開発部)
  • 阿部 碧(住友ベークライト㈱S-バイオ開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、遺伝子組換え食品(GMO)を短時間で簡便に検出できる新規検査法を開発することによって、GMOを使用した食品の正確な情報提供と多くの研究及び検査機関のGMO検査への参加を促進することである。本年度は、ワンポットPCR法とPCR-multiple primer extension (MPEX)法の開発を行った。
研究方法
ワンポットPCR法は、対象遺伝子を捕捉できるオリゴを固定したPCRチューブを使用することで、ハイブリダイゼーションによる対象遺伝子の抽出と定量PCRによる検出を一つのチューブで行う方法である。始めに大豆レクチン遺伝子(Le1)を実験対象として、チューブに固定するオリゴの配列や濃度、ハイブリダイゼーションの温度や時間などの基礎検討を行った。その至適条件で、定量性や食品マトリックスの影響を検討し、更に、遺伝子組換え(GM)大豆の検出に応用した。PCR-MPEX法は、DNAサンプルからMultiplex PCRで対象遺伝子を増幅し、そのPCR産物をDNAポリメラーゼの伸長反応にて検出するDNAマイクロアレー法である。今回、トウモロコシと大豆の各種特異的遺伝子、GMOの構造特異的配列(Event176、Mon810、Bt11、GA21、T25トウモロコシ、ラウンドアップレディー大豆)に対応する8種類のオリゴを固定したプレートを作製し、各GMOの検出を試みた。
結果と考察
最適化された条件下でワンポットPCR法は、1-100%の大豆溶解液からLe1を定量的に検出でき、大豆DNAを小麦やトウモロコシの溶解液に混和したサンプルからもLe1を検出することができた。更に、GM大豆の組換え遺伝子(RRS)を検出するチューブを作製したところ、1-100%のGM大豆溶解液から組換え遺伝子を定量的に検出することができた。PCR-MPEX法では、食品から抽出したDNAから対象の8種類の遺伝子をMultiplex PCRで増幅し、そのPCR産物をオリゴ固定プレートで発色反応にて検出した。この方法によって、GMトウモロコシ5品目とGM大豆1品目に対してGMO含有量1%まで判定することができた。
結論
ワンポットPCR法は40分程度の簡便な操作で食品溶解液から定量PCRを行うことができ、PCR-MPEX法は従来のマイクロアレーで1-18時間かかるハイブリダイゼーションの工程を3分間の伸長反応にすることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200837035B
報告書区分
総合
研究課題名
超高速・簡便な遺伝子組換え食品の新規確定検査法の開発
課題番号
H19-食品・若手-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
張替 直輝(武庫川女子大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 温子(武庫川女子大学 薬学部 )
  • 齋藤 晋(住友ベークライト(株)S-バイオ開発部)
  • 阿部 碧(住友ベークライト(株)S-バイオ開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、遺伝子組換え食品(GMO)を短時間で簡便に検出できる新規検査法を開発することによって、GMOを使用した食品の正確な情報提供と多くの研究及び検査機関のGMO検査への参加を促進することである。本研究では、分析工程の簡略化、食品中のGMOの重量%算出、加工処理の影響の軽微化、複数遺伝子の同時検出、可視での検出の5項目に着目し、それらの解決法として、内部標準法、ワンポットPCR法、PCR-multiple primer extension (MPEX)法の開発を行った。
研究方法
内部標準法は、内部標準遺伝子を添加した食品から抽出したDNAサンプルを定量PCRし、算出された組換え遺伝子と内部標準遺伝子のコピー数の比率からGMO含有量を算出する方法である。今回、遺伝子組換え(GM)大豆を混合した食品サンプルを使用して検討した。また、Duplex定量PCRでも検討した。ワンポットPCR法は、対象遺伝子を補足できるオリゴを固定したPCRチューブを使用して、ハイブリダイゼーションによる対象遺伝子の抽出と定量PCRによる検出を一つのチューブで行う方法である。今回、大豆レクチン遺伝子で基礎検討を行い、GM大豆の検出に応用した。PCR-MPEX法は、DNAサンプルからMultiplex PCRで対象遺伝子を増幅し、そのPCR産物をDNAポリメラーゼの伸長反応にて検出するDNAマイクロアレー法である。今回、トウモロコシと大豆の種特異的遺伝子の配列、GMトウモロコシ5品目とGM大豆1品目の構造特異的配列に対応したオリゴを固定したプレートを作製して検討した。
結果と考察
内部標準法では食品中のGMOの重量%を算出することができた。そのDuplex定量PCRでは、試薬量や操作の軽減だけでなく、測定精度においても優れていた。ワンポットPCR法では、GM大豆の組換え遺伝子用のチューブを使用することで短時間の簡便な操作で、1-100%のGM大豆溶解液だけでなく、市販の1、2、5%のGM大豆標品からも組換え遺伝子を定量的に検出することができた。PCR-MPEX法では短時間の操作で、GMトウモロコシ5品目とGM大豆1品目に対して1%GMO含有サンプルまで可視で判定することができた。
結論
今回、短時間で簡便にGMOを検出できる3つの検査法を開発することができた。これらの方法はそれぞれ目的で挙げた5項目の幾つかを解決でき、GMOを使用した食品の正確な情報提供を促進するものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200837035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、遺伝子組換え食品(GMO)の新規検査法の開発にあたり、分析工程の簡略化、食品中のGMOの重量%算出、加工処理の影響の軽微化、複数遺伝子の同時検出、可視での検出の5項目に着目した。その解決法として開発した内部標準法、ワンポットPCR法、PCR-MPEX法の3つの新規検査法は、それぞれ上記の5項目の幾つかを実現することができた。これらの方法は、GMOを使用した食品の正確な情報提供と多くの研究及び検査機関のGMO検査への参加を促進するものと思われる。
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Harikai N, Saito S, Abe M et al.
A real-time PCR method using capture oligo-immobilized PCR tubes to determine the specific gene for soybean and genetically modified soybean in food matrices.
Biosci. Biotechnol. Biochem. , 72 (11) , 2953-2958  (2008)
原著論文2
Harikai N, Saito S, Abe M et al.
Optical detection of specific genes for genetically modified soybean and maize using multiplex PCR coupled with primer extension on a plastic plate.
Biosci. Biotechnol. Biochem. , 73 (8) , 1886-1889  (2009)
原著論文3
Harikai N, Saito S, Tanaka A et al.
Determination of unprocessed genetically modified soybean in foods using simplex and duplex real-time PCR with an internal standard.
Int. J. Food Sci. Tech. , 44 (9) , 1778-1785  (2009)
原著論文4
Harikai N, Saito S, Tanaka A et al.
Gene expression assay in blood and various tissues by a single-tube real-time reverse transcription-polymerase chain reaction method using an oligo-deoxythymidine immobilized polymerase chain reaction tube.
Methods Find. Exp. Clin. Pharmacol. , 31 (5) , 303-309  (2009)
原著論文5
Harikai N, Akiyama H, Kondo K et al.
A novel chromogenic method for determining the genetically modified soybean content in soybean powder with primer extension.
Jap. J. Food Chem. Safety , 17 (2) , 110-115  (2010)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-