死因究明等の推進に関する研究

文献情報

文献番号
202122053A
報告書区分
総括
研究課題名
死因究明等の推進に関する研究
課題番号
21IA2006
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
今村 聡(公益社団法人 日本医師会)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 弘司(公益社団法人 日本医師会)
  • 澤 倫太郎(日本医科大学 医学部)
  • 上野 智明(日本医師会ORCA 管理機構株式会社)
  • 水谷 渉(公益社団法人 日本医師会 総合政策研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化の進展に伴う死亡数増加や、新興感染症や大規模災害の発生時の検案等、死因究明とその体制強化の重要性はますます高まっている。令和3年6月には、新たな「死因究明等推進計画」が閣議決定され、そこでは、“死亡診断書(死体検案書)の様式、その電子的提出等の在り方についての検討の必要性”が課題として指摘されている他、①死亡診断書(死体検案書)の様式等の必要な見直しと、死亡診断書(死体検案書)の電子的交付の実現可能な体制等の方向性を示すこと、②検案に際して行われる検査の費用や検案書発行料等の金額の基準や算定根拠の在り方についての、地方公共団体への還元、といった事項が、死因究明等に関し講ずべき施策として記されている。そこで、令和3年度の研究においては、死亡診断書(死体検案書)の様式とその電子的提出等の在り方の課題に重点をおくこととし、死亡診断書(死体検案書)の電子的作成と交付により、実際の医師・医療機関、遺族、市区町村役場、その他の関係機関等の実務にどのような効用と解決すべき課題が生ずるのかを洗い出し、統計の精緻化や死因情報の活用に資する制度設計に向けた提言を行うことをめざす。併せて死体検案(書)の費用負担や検査の在り方をめぐる問題についても、政府の死因究明等推進計画検討会での議論を踏まえつつ、死因究明の推進に資する提言につなげることをめざす。
研究方法
死亡診断書(死体検案書)に記載すべき項目等については、令和元年度までの研究の中で提示した様式案を踏まえ、引き続き死因究明施策や公衆衛生の観点から新たに加えるべき事項がないかなどについて、死亡診断書の電子化という要素も踏まえ研究班内部で討議のうえ精査した。死亡診断書(死体検案書)の電子的交付については、本研究における現在のスキームの諸課題が明らかになったところであり、関係省庁における検討も踏まえ、スキームの再検討並びに各スキームにおける利点及び課題を分析した。そして、実証的運用実施のための研究班が別途立ち上げられ、実際に地域の医師会と市区町村に協力を仰ぎつつ、本研究の成果物である死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフト(以下、『「DiedAi」』という。)を利用して電子的に作成した死亡診断書(死体検案書)を自治体にオンライン提出する枠組みの実証的な研究、さらにはその有用性と必要性を検証するための研究を実施した。死体検案時の諸検査、体制及び費用負担の在り方については、これまでに策定した検案費用の算定基準と単価を用いて、令和2年度にモデル事例について実際の金額算定を試みたものについて、更に精査した。
結果と考察
死亡診断書(死体検案書)の様式の提示については電子提出と一体化した議論が必要であるため、各記載事項について、現状の制度に見合う形での見直しを検討し、国での関連する検討会にての提案を通じて法令改正に結び付ける等、より実現性の高い方向を見据えた取組の必要性が明らかとなった。死亡診断書(死体検案書)の電子的交付については、実証実験を行っている研究班とも連携して進捗を相互に報告し、その成果を踏まえたところ、死亡診断書(死体検案書)の電子的提出を行ううえでは死亡届もあわせて電子化することによって初めて電子化のメリットを享受することができ、また行政の事務負担の軽減にも繋がるのではないかということが示唆された。「DiedAi」においては、死亡診断書(死体検案書)と死亡届との突合作業を精緻化するための機能の精度を向上させた。検案の際の検査費用や検案書発行料等の金額の基準や算定根拠の在り方については、これまでの本研究班における議論を踏まえて最終的に死因究明等推進地方協議会(以下、「協議会」という。)での議論に供することを目指し、考え方を整理した。
結論
死亡診断書(死体検案書)の電子的交付は、死因統計作成の迅速化、精緻化とともに、行政手続のデジタル化の観点からも非常に重要な課題である。令和3年度の実証実験を実施した研究班に寄せられた自治体や医療機関からの意見から問題点を整理し、今後、関係省庁との更なる連携を通じて、死亡診断書(死体検案書)に加えて死亡届も電子的交付ができる仕組みを検討することが必要である。その一方で、戸籍事務の現状を踏まえた実現可能な体制の方向性も示すことも重要である。検案の際の検査費用や検案書発行料等の金額の基準や算定根拠の在り方については、地域の実情を踏まえた意見の反映が必要であると考えられたことから、警察活動等へ協力する医師等へヒアリングを行い、検討を続けることが必要であると考えられた。そして今後、研究によって得られた結果を各地域の協議会に還元することによって、新しい死因究明等推進計画において期待される、各自治体の協議会での議論の発展に寄与したい。

公開日・更新日

公開日
2022-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,362,000円
差引額 [(1)-(2)]
138,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 120,000円
旅費 95,050円
その他 1,147,410円
間接経費 0円
合計 1,362,460円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-12-02
更新日
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