医師の労働時間短縮のための手法に関する検討

文献情報

文献番号
202122049A
報告書区分
総括
研究課題名
医師の労働時間短縮のための手法に関する検討
課題番号
21IA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
馬場 秀夫(熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 掛地 吉弘(神戸大学大学院医学研究院 食道胃腸外学)
  • 武冨 紹信(北海道大学大学院医学研究科 外科学講座消化器外科学分野I)
  • 平井 俊範(国立大学法人 熊本大学 放射線診断学講座)
  • 生田 義浩(熊本大学病院 中央手術部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師の時間外労働の上限規制が適用される2024年4月に向け、「厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」がとりまとめた報告書において、医師の労働時間短縮のためには「医療従事者の合意形成のもとでの業務の移管や共同化(タスク・シフティング、タスク・シェアリング)」を徹底して取り組んでいく必要があるとされた。さらに、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」において、医療専門職種の法令等を精査した上で、タスク・シフト/シェアの具体的な検討が行われ、令和2年12月に「議論の整理」がとりまとめられた。その中で、現行制度の下で実施可能な業務のうち特に推進するものとして、患者への説明と同意の取得、各種書類の下書き・仮作成、診察前の予診・問診、患者の誘導が挙げられている。医師が行う業務には、患者毎に医学的な判断のもと異なった対応を必要とする業務がある一方、上述の特に推進するとされたタスク・シフト/シェア対象の業務は、一定程度、定型的な対応が可能であると考えられる。これらの業務についてタスク・シフト/シェアを推進するに当たっては、定型事項に関して、音声付き動画による説明(検査・輸血・麻酔・手術他)用のDVD等の資材を作成することで、医師の説明時間の大幅な短縮と業務の効率化が図られ、臨床上極めて有用と考えられる。
本研究においては、そうした定型的な対応が可能な業務を抽出し、当該事項についてのDVD等の資材の作成やその有効性の検証等を行い、各医療機関における実装を進めることで、医師の働き方改革に関わる一連の制度の円滑な運用に資することを目的とする。
研究方法
医師の労働時間の短縮のため、タスクシフティング/タスクシェアリングが可能な業務のうち、説明と同意の取得等において、定型化可能な業務を抽出し、次年度以降に作成予定の資料について検討を行った。
結果と考察
2020年4月~6月における熊本大学全体で取得された同意書について電子カルテシステムから抽出した。該当する同意書取得件数は27710件であった。診療科別の上位3診療科は消化器内科(3867件)、消化器外科(3559件)、循環器内科(1860件)であった。同意書の種類としては画像診断(造影CT、MRI、PET-CT)に関する同意書が6293件と最も多く、続いて輸血に関する同意書(2745件)、手術に関する同意書(1653件)、内視鏡に関する同意書(1535件)、麻酔に関する同意書(1363件)でおよそ半数を占めていた。
診療科別においては手術や内視鏡、カテーテル検査等の侵襲的手技が多い診療科において同意書取得件数が多く、種類毎では全診療科で共通する画像診断(造影検査)が最も多く、続いて上述の侵襲的手技に関連する内容の同意書取得件数が多いものと考えられた。侵襲的手技については各手技によって内容が異なることから、画像診断、輸血、麻酔等の同意書について定型的な内容を資材化することで説明と同意の取得に関する時間の短縮が得られるものと考えた。
結論
今回の抽出結果を受けて、令和4年度は動画の作成等を行うこととした。資材の作成にあたっては、関連団体及び医療機関の協力を得て、電子カルテ等院内システムの状況を問わない、汎用性の高い資材の作成を目標とする。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,200,000円
(2)補助金確定額
1,831,000円
差引額 [(1)-(2)]
369,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 769,397円
人件費・謝金 555,141円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 507,000円
合計 1,831,538円

備考

備考
自己資金:538円

公開日・更新日

公開日
2022-10-31
更新日
-