食品中のウイルスの制御に関する研究

文献情報

文献番号
200837031A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中のウイルスの制御に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所 所長)
  • 小林 慎一(愛知県衛生研究所 微生物部)
  • 斎藤 博之(秋田県健康環境センター 保健衛生部)
  • 恒光 裕(動物衛生研究所 ウイルス病研究チーム)
  • 野田 衛(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 本村 和嗣(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 横山 勝(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 李 天成(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 岡 智一郎(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 白土 東子(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス性食中毒の主要な原因となっているE型肝炎ウイルス(HEV)、ノロウイルス(NoV)、およびサポウイルス(SaV)について、検査法ならびに検出法の確立、伝播経路の解明、食品や環境での汚染実態調査、検査診断法、および予防法の確立等をおこなう。
研究方法
NoV、SaV、HEVについて種々の検体を用いて、検査マニュアル(http://www.nih.go.jp/niid/reference/index.html)にしたがって実施した。めん羊由来畜産物の汚染リスク、豚でのHEV感染実態調査を行った。食中毒事例に関与するNoV/SaVの頻度、感染経路、ウイルス遺伝子学的特徴を調査した。環境中におけるNoV汚染実態とヒト感染事例との関連、食中毒事例および環境由来NoV遺伝子の分子疫学的解析、食品からのNoV検出、NoV診断法の改良、NoVレセプター分子の分離同定等を行った。また、SaV遺伝子の定量的解析および変異解析、迅速診断法の確立を実施した。
結果と考察
NoVの流行疫学、遺伝子学的解析から、2008/9のNoVは依然としてGII/4が主流であった。周期的大流行につながる可能性を秘めた高度変異株の出現の監視が必須である。食材からのNoV遺伝子検出法を確立した。パンソルビン-抗NoV抗体-NoV複合体の形成と、リアルタイムRT-PCRが効果的であった。NoV迅速診断用イムノクロマト、抗原検出ELISAを改良し、感度、特異性の向上を図った。これらの方法を用いることにより調理従事者のNoV保有状況を常時把握し、NoV食中毒予防に大きな貢献が出来るものと考える。HEVでは増殖のために培養細胞系が確立できた。SaVはNoV同様長期に渡って便中に排泄される可能性が示された。
結論
・市販のめん羊肉中にHEVが含まれる危険性は低い。糞便中のHEV RNA量は、出荷日齢で比較的高値を示す豚も確認された
・HEVの培養細胞による増殖系を確立した。
・食品等からのウイルス検出にはSDSを含む洗浄液を使用することにより、回収率が向上した。
・食材ではパンソルビン・トラップ法をNV検出方法として普遍化し、食の安心・安全に貢献できる。
・NoVイムノクロマト、ELISAを改良し、感度、特異性の向上を図った。
・NoVは依然としてGII/4が流行の主体である。

公開日・更新日

公開日
2009-03-23
更新日
-