冷凍食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200837028A
報告書区分
総括
研究課題名
冷凍食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 小沼 博隆(東海大学 海洋学部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冷凍食品の安全性確保のためにその規格基準のあり方を再検討するために、冷凍食品ならびに同様の低温度帯で流通する食品の実態ならびに微生物汚染状況を把握し、科学的な規格基準設定の理論構築を目的とし、1)微生物汚染実態調査、2)冷凍保存試験の条件検討と予備試験、3)海外の食品微生物規格調査、4)微生物汚染の確率分布を前提とした規格基準設定理論の整理を行った。
研究方法
1)では、冷凍食品と規格のない凍結品について、一般生菌数、推定大腸菌、Enterobacteriaceae、Staphylococcus aureus、Salmonella及びVibrio parahaemolyticusの汚染状況を調査した。検査はISO法或いは同等の試験法に従い、昨年度、汚染率が高い傾向を示した食品類を対象とした。2)ではリステリアを滅菌豚挽き肉中に添加し、冷凍および冷蔵温度帯での保存試験を行った。3)では8つの国・地域を対象とし、冷凍食品および関連食品の規格基準を調査した。4)では、FSO、PO、PCなどの数的目標とそれを担保する食品規格基準の設定の概念をまとめたMicroorganisms in Foods No. 7 (ICMSF) を整理した。
結果と考察
1)凍結品の一般生菌数は、冷凍食品の微生物規格に当てはめた場合違反となるものがあった。Enterobacteriaceae の汚染率は飲茶類において凍結品が冷凍食品よりも有意に高く、推定大腸菌の分離率も揚げ物類と飲茶類で凍結品が有意に高かった。魚介類では、S. aureusの分離率が凍結品で有意に高かった。2)5?15℃での保存試験では、温度が高いほど菌の増殖速度が速くなる傾向があった。一方、-15℃では7日後に菌数が減少し、菌の損傷を示唆した。3)多くの国、地域において、食品群別に微生物規格が設定され、冷凍食品に特化した規格は限られていた。また病原体の規格が多かった。4)冷凍食品を例として微生物汚染の確率分布を前提とした規格基準設定理論を構築するための準備とした。
結論
規格基準の適用されない類似の食品が類似の温度帯で流通している状況は、科学的に正当化されにくいと考えられる。冷凍食品とその他の冷凍流通食品とは、基本的に同じ方針で扱われることが妥当であり、食品微生物規格について、海外の最新動向も参照しつつ、再検討することが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-