食品中残留農薬等の汚染実態把握と急性暴露評価に関する研究

文献情報

文献番号
200837027A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中残留農薬等の汚染実態把握と急性暴露評価に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
米谷 民雄(静岡県立大学 食品栄養科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 根本 了(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 坂井 隆敏(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
農薬等のポジティブリスト制導入に伴い、基準値がある農薬数が大幅に増加し、対象食品は畜水産物にも拡大された。そこで、農薬の新スクリーニング分析法や畜水産物対象の農薬・動物薬共通スクリーニング分析法の開発を企図した。又、GC/MSとLC/MSによる一斉分析により、市販農産物や加工食品中の残留農薬の種類を調査した。一方、残留農薬の急性暴露評価手法の確立が課題であるため、その手法確立を目指した。
研究方法
GC-MS/MS法を残留農薬分析に適用するため、MS/MS条件の最適化を検討した。様々な食品から広範囲のlogPow値を有する農薬及び動物薬を抽出しうる抽出方法を検討した。同一食品につき異なる3地域・業者の製品を混合し、429成分(茶では378成分)を分析した。昨年に基礎的検討を加えた1年4季節3日間の詳細な摂取量データを基として、メタミドホス・アセフェート、アセタミプリドなどを想定した短期暴露評価のための食品摂取量データベースを構築した。

結果と考察
食品のブランク試験溶液のノイズから求めたS/N比を指標とする方法を開発したが、シグナル強度を用いた方法よりも高い選択性と感度が期待できる。既通知の農薬試験法及び動物薬試験法の改良を試みた。一斉分析の結果、茶葉中の農薬は熱湯抽出時にはあまり移行しないことが再確認され、輸入かんきつ類ではイマザリル等の抗菌剤が確認され、加工食品中からも農薬が検出された。225の食品グループについて、加工過程における重量変化や材料比等を加味し、1日摂取量を算出した。そして、当該食品グループの摂取者のみと、対象者全てについて、1日当り及び体重kg当りの摂取量分布(1点推定法では97.5パーセンタイル)を求めた。また、算出に必要なユニット重量に関して、データ整備を行った。
結論
GC-MS/MS法において最適MS/MS条件を求める方法を開発できた。抽出法として通知農薬試験法をベースとした改法を選択し、精製法の追加や対象食品及び対象農薬等の追加を行い、最終的な包括分析法の開発を図る予定である。加工食品中からも一律基準を超える農薬が検出されたため、原材料に戻って適否を判定するために、加工係数を調査しておく必要性が再認識された。今回得られたような食品摂取量データベース等を用いて、各農作物の残留基準値の急性参照用量に対する妥当性の確認作業を進める。

公開日・更新日

公開日
2009-04-02
更新日
-